記事内に商品プロモーションを含む場合があります

『ぜんぶ、ボクのせい』伏見ミリオン座(名古屋)などで8月12日公開

© 2022『ぜんぶ、ボクのせい』製作委員会

絶望の果てに希望を見出そうとする少年   

 愛を見失い、孤独を抱えた少年ら3人の魂の交流を描く骨太な人間ドラマ『ぜんぶ、ボクのせい』が2022年8月11日から、全国で順次公開される。

 中部地方では、名古屋・伏見ミリオン座ミッドランドシネマ名古屋空港で8月12日から上映される。

 監督・脚本を手掛けたのは、秋葉原無差別殺傷事件をモチーフにした『Noise ノイズ』(2019年)が国内外の映画祭で話題を呼んだ松本優作。

 日本映画界の新鋭が、心に傷を負い、自分の居場所を見つけられない3人の男女の生の軌跡を力強い語り口と鮮烈な映像で紡ぎ出す。

 松本監督は鋭い眼差しで社会のリアルを見つめながら、自分の力で生きていくことを学び始めた少年の成長をみずみずしく切り取った。

 絶望の果てに希望を見出そうとする少年の葛藤を描いた『ぜんぶ、ボクのせい』は、閉塞した社会に生きる私たちの物語でもある。

 映画のエンディングでは、日本のポップスを代表する伝説的なミュージシャン、大滝詠一の作詞作曲による名曲「夢で逢えたら」が響く。

 映画で使われるのは、大滝が亡くなった後、2014年に初公開された大滝本人が歌ったヴァージョン。大切な人を強く想う歌詞、美しいメロディーが物語とリンクして胸を打つ。

出演

 主演の優太を演じるのは、オーディションで抜擢された15歳の新人、白鳥晴都。

 演技未経験ながら、瀬々敬久監督の映画『とんび』(2022年)でスクリーン・デビューを果たし、2作目で主演の座を射止めた。

 繊細な佇まいのなかに時折見せる鋭い眼差し。強烈な存在感を発揮して複雑な内面を持った優太を見事に演じた。

 一方、誰にも言えない苦しみを抱えながら優太に優しく接する詩織役は、ドラマや映画で活躍している期待の女優、川島鈴遥だ。

 『ある船頭の話』(2019年)で主役を演じ、第34回高崎映画祭最優秀新人女優賞を受賞した。

 飄々としながら、心に深い傷をもつ坂本を演じるのは、唯一無二の個性で日本映画界を代表する名優、オダギリジョー。確かな存在感で、2人の新人の熱演を支えている。

 その他、松本まりか、若葉竜也、仲野太賀、木竜麻生など、多彩なキャストが参加している。

ストーリー

 児童養護施設で暮らす13歳の中学生、優太(白鳥晴都)は、施設でも学校でもいじめられている。自分を理解してくれる大人もいない。

 母・梨花(松本まりか)が迎えに来てくれることだけを心の支えに毎日を過ごしているが、一向に現れず、不安を募らせていく。

 そんなある日、偶然、母の居場所を知った優太は、会いたい一心で施設を抜け出し、地方に住む母のアパートを訪ねる。

 ようやく再会するも、男に依存し自堕落な生活を送る母は、優太に施設へ戻ってほしいと頼むのだった。

 絶望した優太が当てもなくたどり着いたのは、さびれた海辺。軽トラで暮らすホームレスの男、坂本(オダギリジョー)と出会い、わずかな金銭を稼ぎながら寝食をともに過ごす。

 時折、坂本の元を訪れる少女、詩織(川島鈴遥)は、裕福な家庭に育ちながら、誰にも言えない空虚感を埋めるかのように援助交際をしていた。

 優太は、自分と同じ寂しさを抱えながらも心優しい詩織に惹かれていく。

 初めて感じた家族のような絆、そして、初恋めいた胸のときめき。そこに、孤独を抱えた三人の魂の交流があった。

 しかし、そんな穏やかな日々もある事件によって終わりを告げる——。

監督・脚本:松本優作

 1992年生まれ、兵庫県出身。ビジュアルアーツ専門学校大阪に入学し、映画制作をはじめる。

 2017年、自主映画『Noise ノイズ』がレインダンス映画祭をはじめ、多数の海外映画祭で上映され、海外メディア「Psycho-cinematography」では日本映画ランキング第1位、「Asian Film Vault」ではアジア映画ランキング第4位に選出され、高い評価を得る。

 2018年、ネパール×日本の合作短編映画『Bagmati River』が、Moon Cinema Projectで企画グランプリを獲得。

 2019年に公開された短編映画『日本製造/メイド・イン・ジャパン』でも国内外の映画祭に出品、30分の短編としては異例の単独公開を成功させる。

 映画作品のほか、BMW、三井住友カードなどの広告作品や、「乃木坂シネマズ~STORY of 46~」(20/FOD)、「湘南純愛組!」(20/Amazon)、「神様のえこひいき」(22/Hulu)、「雪女と蟹を食う」(22/テレ東)、などのドラマ作品も手掛ける。

最新情報をチェックしよう!
>文化とメディア—書くこと、伝えることについて

文化とメディア—書くこと、伝えることについて

1980年代から、国内外で美術、演劇などを取材し、新聞文化面、専門雑誌などに記事を書いてきました。新聞や「ぴあ」などの情報誌の時代、WEBサイト、SNSの時代を生き、2002年には芸術批評誌を立ち上げ、2019年、自らWEBメディアを始めました。情報発信のみならず、文化とメディアの関係、その歴史的展開、WEBメディアの課題と可能性、メディアリテラシーなどをテーマに、このメディアを運営しています。中日新聞社では、企業や大学向けの文章講座なども担当。現在は、アート情報発信のオウンドメディアの可能性を追究するとともに、アートライティング、広報、ビジネス向けに、文章力向上ための教材、メディアの開発を目指しています。

CTR IMG