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没後20年 柳原義達展―彫刻の道標―三重県立美術館で2024年10月12日-12月1日に開催

所蔵の代表作を一挙展示する特別展

 「没後20年 柳原義達展―彫刻の道標―」が2024年10月12日~12月1日、三重県立美術館で開催される。

 戦後日本の具象彫刻界を代表する彫刻家・柳原義達(1910~2004年)。鴉や鳩をモチーフとした「道標」シリーズや、「犬の唄」と題された女性立像などで知られる。

 三重県立美術館では、作家本人から、主要作品と関連資料の寄贈を受けたことをきっかけとして、2003年に柳原義達記念館を開設。以来、作品資料等を常時公開して柳原の顕彰に努めてきた。

柳原義達《道標・鴉》 1978年 ブロンズ 三重県立美術館蔵

柳原義達《道標・鴉》 1978年 ブロンズ 三重県立美術館蔵

 今回は、通常作品を展示している柳原義達記念館に加え、企画展示室第4室を展示会場とし、館所蔵の代表作を一挙展示する特別展を開催する。

 また、柳原が制作に用いた素材や技法を読み解き、さまざまな側面から柳原義達とその作品について考え、創作の背景に迫る。

柳原義達

 1910(明治43)年、神戸市に生まれる。十代の頃は日本画家を志していたが、美術全集に掲載されていたブールデルの彫刻の図版に感銘を受け、彫刻家を志す。
 1931(昭和6)年に東京美術学校(現・東京藝術大学)彫刻科に入学し、学んだ。戦後、40歳を過ぎてからフランスに留学。ヨーロッパの新しい彫刻表現に触れ、約4年間、彫刻を学び直した。
 1960年代半ばから、鳩や鴉を扱った「道標」シリーズを制作し、独自の境地を開いた。戦後日本の具象彫刻界を代表する作家として高く評価され、現代に続く日本の彫刻表現に大きな影響を与えてきた。

柳原義達《道標・鳩(長寿の鳩)》 1981年 ブロンズ 三重県立美術館蔵

開催概要

会  期:2024年10月12日(土)~12月1日(日)
会  場:三重県立美術館 柳原義達記念館+企画展示室第4室
開館時間:午前9時30分から午後5時(入館は午後4時30分まで)
休 館 日:毎週月曜日(ただし10月14日、11月4日は開館)、10月15日(火)、11月5日(火)
主  催:三重県立美術館
助  成:柳原操基金・柳原義達顕彰事業、公益財団法人三重県立美術館協力会
観 覧 料:一般700(600)円 学生500(400)円 高校生以下無料

※( )内は20名以上の団体割引料金
同時開催「知っておきたい 三重県の江戸絵画」とのセット券(当日券のみ)
 一般1,000円 学生800円
※この料金で、2階常設展示室「美術館のコレクション」も見ることができる。
※生徒、学生の方は生徒手帳、学生証等を提示。
※障害者手帳等(アプリ含む)のあるおよび付き添いの方1名は観覧無料。
※教育活動の一環として県内学校(幼・小・中・高・特支)および相当施設が来館する場合、引率
者も観覧無料(要申請)。
※毎月第3日曜の「家庭の日」(10月20日、11月17日)は団体割引料金で見ることができる。

柳原義達《犬の唄》 1961年 ブロンズ 三重県立美術館蔵

見どころ

✔犬の唄、道標シリーズなど代表作を一挙公開
 片手を前に突き出したポーズが特徴的な女性立像「犬の唄」、生命の鼓動を感じさせる鳩や鴉を表した「道標」シリーズなど、柳原義達の代表作を一挙に紹介する。
 このほか、三重県立美術館が所蔵する初期から晩年までのブロンズ彫刻を一堂に展示し、柳原が挑み、創り上げた彫刻の世界に迫る。

✔創作の軌跡を知るデッサンや道具も展示
 柳原義達は制作にあたって、膨大な数のデッサンを行った。デッサンは、彫刻家が対象を捉え、空間を把握するために必要不可欠なものである。彫刻家の手と目の軌跡を示すデッサンの数々を紹介する。
 また、柳原が実際に用いていたヘラなどの道具や回転台(回転機)等も資料として展示する。

柳原義達《道標・鴉》 1980年 サインペン・紙 三重県立美術館蔵

✔彫刻家による実演映像も
 ブロンズ彫刻は、作家が粘土で制作した作品を石膏や樹脂等で型取って原型を作り、その原型を元に作成した鋳型にブロンズを流し込み制作する。
 一般的にはなじみの薄い塑像の制作工程を知ってもらうために、彫刻家の藤原彩人氏による塑造、石膏取りの実演を映像化した。美術館では見ることの少ない、制作の裏側もあわせて紹介する。

関連プログラム

※手話通訳・要約筆記、その他支援を希望する人は2週間前までに相談を。
※ワークショップ①と②は、美術館ウェブサイトの申込フォームからの事前申込が必要。希望者多数の場合は抽選。

① ワークショップ「あるとないのあいだ」
 彫刻の材料である粘土、石膏に触れ、かたちの反転など制作プロセスについて学ぶ。
講師:中谷ミチコ(彫刻家、多摩美術大学准教授)
日時:
・11月 9日(土) 午後1時から4時
 対象 5歳から8歳(保護者同伴)/定員8名
・11月10日(日)午前10時から午後4時 (途中昼食休憩あり)
 対象 小学3年生以上(小学生は保護者同伴)/定員8名
※各回内容は異なる。
参加費:無料
申込締切:10月25日(金)午後5時
② ワークショップ「彫刻のためのデッサン会」
 立方体ブロックにデッサンを描き、立体表現への理解を深める。
講師:長谷川寛示(彫刻家)
日時:11月16日(土)
・午前の部(対象 小学生) 午前10時から12時 定員15名
・午後の部(対象 中学生以上) 午後2時から4時 定員15名
参加費:無料
申込締切:11月1日(金)午後5時
③ ギャラリートーク「彫刻家が語る柳原義達」
 彫刻家として、また教育者として活躍する二人をゲストに招き、柳原義達の彫刻の見どころや、その魅力について話を聴く。
講師:藤原彩人(彫刻家、東京造形大学准教授)、奥田真澄(彫刻家、三重大学教育学部教授)
日時:12月1日(日)午後2時から3時まで
会場:柳原義達記念館
※展示室に入るため、柳原義達展観覧券が必要。

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文化とメディア—書くこと、伝えることについて

1980年代から、国内外で美術、演劇などを取材し、新聞文化面、専門雑誌などに記事を書いてきました。新聞や「ぴあ」などの情報誌の時代、WEBサイト、SNSの時代を生き、2002年には芸術批評誌を立ち上げ、2019年、自らWEBメディアを始めました。情報発信のみならず、文化とメディアの関係、その歴史的展開、WEBメディアの課題と可能性、メディアリテラシーなどをテーマに、このメディアを運営しています。中日新聞社では、企業や大学向けの文章講座なども担当。現在は、アート情報発信のオウンドメディアの可能性を追究するとともに、アートライティング、広報、ビジネス向けに、文章力向上ための教材、メディアの開発を目指しています。

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