©Rectangle Productions/Gaumont/TF1 Films Production/De l’huile/Pcf Aline Le Film Inc./Belga ©photos jean-marie-leroy
2020年製作/126分/G/フランス・カナダ合作
原題:Aline
配給:セテラ・インターナショナル
ヴォイス・オブ・ラブ
世界的歌姫セリーヌ・ディオンの半生をモチーフに、愛と葛藤を描いた音楽映画「ヴォイス・オブ・ラブ」が2021年12月24日の先行公開に続き、12月31日に全国公開される。
東海地方の上映館は、伏見ミリオン座をはじめ、ミッドランドスクエアシネマ、ユナイテッド・シネマ豊橋18、イオンシネマ東員など。
アルバム総売上2億5000万枚を超え、音楽史上最も人気のあるアーティストの1人となったセリーヌ・ディオン。
14人きょうだいの末っ子として生まれ、後の夫となるプロデューサーに才能を見いだされた彼女は12歳で歌手デビューを果たした。
「ヴォイス・オブ・ラブ」は、スーパースターとしての階段を駆け上がり、数々の名曲を世に送り出したセリーヌ(役名はアリーヌ)の半生を初めて映画化したドラマである。
見どころは、不朽の名曲と共に完全再現されたゴージャスなステージ、家族や夫への愛、そして輝かしい表舞台とは裏腹の葛藤である。
映画監督としても活躍するフランスの女優ヴァレリー・ルメルシエが監督・脚本・主演を務め、ユーモアとフィクションを交えながら、セリーヌ・ディオンの軌跡を忠実に再現した。
あらすじ
1960年代、カナダ・ケベック州の田舎町。音楽好きな一家の14人目の末っ子アリーヌは、5歳のときに人前で歌い始め、並外れた歌唱力で町の話題を集める。
歌手を夢見る娘の夢をかなえるため、母親は地元の有名音楽プロデューサー、ギィ=クロードにデモテープを送る。
12歳でデビュー。アリーヌは天才少女と、もてはやされるが、ギィ=クロードは彼女を世界的な大歌手にするため数年間の活動停止を決め、英語の特訓やダンスに専念させる。
そしてついに、世紀の歌姫への階段を駆け上がる。それは、アリーヌとギィ=クロードにとって、真実の愛と出会う旅でもあった——。
見どころ
セリーヌ・ディオンの半生を基にしたフィクションである。ただし、役名はセリーヌではく、アリーヌ。
映画の中で歌われるセリーヌ・ディオンの楽曲は、フランスで活躍中の歌手ヴィクトリア・シオがカバーしている。
スターダムを駆け上がる中での不安や孤独 、愛する家族との別れ、才能を見出してくれたプロデューサーとの26歳差の大恋愛など、数々の困難を乗り越えて世界へ羽ばたいていく波乱の人生が、テンポ良く展開。飽きさせない物語である。
前半、田舎の小娘が英語、ダンスを習い、歯並びを矯正して成長する展開に、筆者は「マイ・フェア・レディ」を重ねた。母親のステージママ的な立ち位置は物語のスパイスになっている。
いくら才能があっても、家族や夫など周囲の協力がなければ長い間、スターの座にいることはできない。
音楽映画の形をとりながら、家族愛、夫婦愛を丁寧に描いているので、たとえ音楽ファンでなくても十分楽しめる高品質のドラマに仕上がっている。
フランスの国民的スター、ヴァレリールメルシエさんが監督・脚本・主演をこなし、なんと少女時代のアリーヌ(セリーヌ)も演じている。
ぐんぐんと引っ張る展開だが、内容をしっかり描いているから、飛ばし感はない。
自立した女性として、妻として、母として、娘として、どう生きるか——。大スターとしての仕事と不妊治療、出産や子育ての両立、家族との関係など現代的なテーマが全体を貫いている。
セリーヌ・ディオンのファンデなくとも、多くの人が共感するのではないか。
ヴァレリー・ルメルシエ
1964年、フランスのノルマンディ地域圏セーヌ・マリティーム県ディエップ⽣まれ。
ルーアン・コンセルヴァトワールで演技を学んだ後、1989年にコメディ番組”パレス”でテレビデビュー。
翌年に映画デビューも果たし、フランス国内で1,300万⼈の動員記録を誇ったコメディ映画『おかしなおかしな訪問者』(1993年)の演技でセザール賞助演⼥優賞に輝く。
監督としても、1997年に『カドリーユ』でデビューすると、今作を含め6作品の脚本・主演を兼任。
⼥優としても、『モンテーニュ通りのカフェ』(2008年)で、2度⽬のセザール賞助演⼥優賞に輝くなど精⼒的に活動している。
テレビ、舞台、映画のどの分野でも活躍するフランスを代表するマルチ・タレントの1⼈である。