2025年の蔦屋重三郎展 歌麿展 写楽展
《東京国立博物館》
☆特別展「蔦屋重三郎 コンテンツビジネスの風雲児」 2025年4月22日~6月15日⇒公式サイト
江戸時代の傑出した出版業者である蔦重こと蔦屋重三郎(1750~97)は、喜多川歌麿、東洲斎写楽といった現代では世界的芸術家とみなされる浮世絵師を世に出したことで知られている。本展では、その蔦重の活動をつぶさにみつめながら、天明、寛政(1781~1801)期を中心に江戸の多彩な文化を紹介する。蔦重は江戸の遊郭や歌舞伎を背景にしながら、狂歌の隆盛に合わせて、狂歌師や戯作者とも親交を深めるなど、武家や富裕な町民、人気役者、人気戯作者、人気絵師のネットワークを縦横無尽に広げて、さまざまな分野を結びつけながら、さながらメディアミックスによって、出版業界にさまざまな新機軸を打ち出した。蔦重はその商才を活かして、コンテンツ・ビジネスを際限なく革新し続けた。そこに根差したものは徹底的なユーザー(消費者)の視点であり、人々が楽しむもの、面白いものを追い求めたバイタリティーにあったる。この展覧会では、蔦屋重三郎を主人公とした2025年の大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」(NHK)とも連携し、江戸の街の様相とともに、蔦重の出版活動を幅広く展示しながら、江戸時代後期の出版文化の一翼を担った彼の価値観や芸術性を体感する機会となる。
《東京・すみだ北斎美術館》
☆北斎×プロデューサーズ 蔦屋重三郎から現代まで 2025年3月18日〜5月25日
商業的な出版物である浮世絵は、絵師だけでは成り立たず、企画から販売まで手掛ける板元、板木を彫摺する彫師と摺師が必要。中でも世の流行を見極め、売れ行きの伸びる企画を立案し、絵師の起用から彫師・摺師の指揮までを担う板元は、いわば浮世絵師の総合プロデューサーにあたる重要な存在だった。本展は、その板元たちが北斎をどのようにプロデュースし、どのような作品を世に生み出したかを辿る展覧会。江戸のメディア王と評され、北斎の才能に早くから目をつけていた蔦屋重三郎をはじめ、「冨嶽三十六景」をヒットさせた西村屋与八、『北斎漫画』を出版した永楽屋東四郎といった江戸の板元たち、また伝統木版として、浮世絵制作、北斎からインスパイアされた現代アーティストの作品を紹介する。江戸時代の蔦屋重三郎から現代まで浮世絵業界を支えるプロデューサーズの世界が楽しめる。
《藤澤浮世絵館(神奈川県藤沢市)》
☆藤沢と江戸の出版事情 ~蔦屋重三郎と絵師たち~ 2024年12月24日~2025年2月24日
江戸市中と藤沢宿、相互の出版事情を所蔵の浮世絵と版本から紹介。藤沢は、東海道五十三次の宿場、江の島道、大山道など主要な交通網があることから、江戸市中の文化の影響を受けながら様々な出版物の題材となった。江戸時代における出版事業の第一人者である蔦屋重三郎についても紹介する。
《中山道広重美術館》
☆春季特別企画展 潜入! 江戸の浮世絵出版社 2025年4月3日〜6月15日
浮世絵の企画・制作・販売を統括した、江戸時代の出版社・版元(地本問屋)に注目。蔦屋重三郎(耕書堂)をはじめ、佐野屋喜兵衛(喜鶴堂)、竹内孫八(保永堂)、蔦屋吉蔵(紅英堂)、魚屋栄吉といった版元たちの仕事を掘り下げる。そして、浮世絵師・歌川広重をプロデュースした主要な版元や出版流通の様相をご紹介すると共に、絵師・彫師・摺師による制作の裏側へ潜入する。
《千葉市美術館》
☆開館30周年記念 江戸の名プロデューサー 蔦屋重三郎と浮世絵のキセキ 2025年5月30日〜7月21日
2025年の大河ドラマの主人公ともなる蔦屋重三郎は、西村屋与八など老舗の版元たちがしのぎを削る中、新興の版元として出版界に彗星の如く現れ、斬新な作品を次々と世に送り出した。本展では、蔦屋重三郎が活躍した「浮世絵の黄金期」を中心に、鳥居清長や喜多川歌麿らの美人が、東洲斎写楽による役者絵を一堂に展観。あわせて、初期浮世絵から江戸時代後期までの名品を集め、浮世絵史も総覧する。
《MOA美術館》
☆歌麿・写楽と浮世絵黄金時代 2025年7月25日〜9月9日
江戸時代、大都市に成長した江戸では、活発な経済活動を背景に町人の文化が開花し、庶民の関心事を主題とする浮世絵がめざましく発展した。江戸中期には、浮世絵黄金時代の立役者である版元・蔦屋重三郎(1750−97)が登場し、喜多川歌麿、東洲斎写楽をはじめとする現在世界的人気を集めているスター絵師の才能が見出された。美人画の第一人者と謳われた絵師、喜多川歌麿(?−1806)は、上半身をクローズアップして描く「美人大首絵」を確立し、女性の仕草や表情を繊細に描写するだけでなく、色香や内面までも見事に表現した。役者の似顔を巧みに捉えた東洲斎写楽(生没年不詳)は、寛政6年(1794)5月から翌年1月までのわずか10ヵ月間の活動期間に約140種の作品を残し、印象的な役者大首絵を描いた。同時期には、勝川春章(?−1793)や鳥文斎栄之(1756−1829)、歌川豊国(1769−1825)らが活躍し、浮世絵は最盛期をむかえた。本展では、歌麿・写楽をはじめ、天明・寛政期から文化・文政期に活躍した絵師たちの錦絵や肉筆美人画を展観し、江戸町人文化の賑わいとともに花開いた黄金期の浮世絵の魅力を紹介する。