愛知・豊田市美術館で2020年10月17日〜12月13日、「開館25周年記念コレクション展VISION-DISTANCE いま見える景色」が開かれている。 現代美術を中心に、とても美しく、見応えのある展示である。
月曜日休館(11月23日は除く)。 観覧料は、 一般300円、高校・大学生200円、中学生以下無料。
豊田市美術館は1995年に開館。国内外の近現代美術、デザイン、工芸を対象に収蔵してきた。焦点を当てた作家の複数作品の収蔵が基本。
本展は、開館25周年を記念して開く通年のコレクション展「VISION」の一環。2つのテーマで約150点が展示された。
豊田市美術館25年のあゆみ―展覧会ポスターとコレクション
前半では、これまでに開いてきた展覧会ポスターと所蔵作品を並べ、あゆみを振り返っている。
1996年から新聞社の美術記者だった筆者は、豊田市美術館の開館(1995年)から間もない時期を取材してきた。会場に飾られたポスターを見て、懐かしい思いでいっぱいになった。
開館第2弾の「ホフマンとウィーン工房」展以降、6年ほどは、ほとんどの展示を取材したはずである。
以後、順に展示作品(抜粋)を紹介する(作品画像をクリックすると、美術館WEBサイトの解説ページにリンクしている)。
トニー・クラッグ
ジュゼッペ・ペノーネ
河原温
ミケランジェロ・ピストレット
アリギエロ・ボエッティ
ピーノ・パスカーリ
ジルベルト・ゾリオ
荒木経惟
奈良美智、村瀬恭子、杉戸洋
奈良美智さん、村瀬恭子さん、杉戸洋さんについては、「奈良美智さんの新作展示 杉戸洋さん、村瀬恭子さんの作品と 豊田市美術館」を参照。
フジイフランソワ
距離のたのしみ―所蔵作品にみる遠近の感覚
後半では、新型コロナウイルスの感染拡大で、距離が否応なく意識される中、収蔵作品を通して、距離の表現、遠近の感覚、空間の厚み、遠くを思うことや、近くを見つめなおすことを探っている。
対象との間に生じた見え方、すなわち距離を彫刻に持ち込んだアルベルト・ジャコメッティの胸像が起点となり、「距離」を巡って、多くの作家が紹介される。
中でも、筆者が1990年代後半から亡くなる2003年までに何度も取材した若林奮の作品は、あいだの距離、視点の二重性、水平方向の遠さや近さ、深さへの意識などから空間把握への思索を深めた作家として、中心的な位置を占めている。