記事内に商品プロモーションを含む場合があります

豊田市美術館が2024年度展覧会ラインナップを発表

2024年度も多彩な展覧会

 豊田市美術館(愛知県)が2024年度の展覧会ラインナップを発表した。

 春には、2023年度に引き続き、隣地の豊田市博物館開館に関連した現代美術展「未完の始まり: 未来のヴンダーカンマー」を開催。その後、夏休みには、親子で楽しめる展覧会「エッシャー 不思議のヒミツ」、秋には、美術の本質を問い、その可能性を展望する展覧会「アナーキズムと美術(仮)」、年明けには気鋭の現代美術作家・玉山拓郎 の個展、人間国宝・黒田辰秋の回顧展を開く。

 また、1年間に及ぶ改修工事のための休館を経て新しくなる髙橋節郎館のリニューアル記念展も予定している。

2024年度ラインナップ

未完の始まり: 未来のヴンダーカンマー 2024年1月20日-5月6日

 2024年4月に隣接する敷地に豊田市博物館が開館するのに合わせ、5人の現代美術作家の作品をとおして、文化表象の実践の場としてのミュージアムの未来の可能性を探る。

エッシャー 不思議のヒミツ 2024年7月13日-9月23日

 グラフィックアートの可能性を追求したオランダの画家マウリッツ・エッシャー(1898-1972年)。遠近法的、幾何学的、そして構成的な手法を用いて芸術と科学とを融合させた作品は、見る人の視覚を刺激し、多くの驚きを与えてきた。初期から晩年まで、エッシャー芸術の神髄を体験コーナーを交えて紹介する。

写像球体を持つ手 1935年 リトグラフ Hand with Reflecting Sphere 1935 Lithograph M.C. Escher Foundation Collection, The Netherlands All M.C. Escher works © 2023 The M.C. Escher Company, Baarn, The Netherlands. All rights reserved mcescher.com
相対性 1953年 リトグラフ Relativity 1953 Lithograph Maurits Collection, Italy All M.C. Escher works © 2023 The M.C. Escher Company, Baarn, The Netherlands. All rights reserved mcescher.com

アナーキズムと美術(仮) 2024年10月12日-12月27日

 美術とはそもそも、いまだ了解できていない認識や知覚、領域を拡張してゆく行為だといえる。本展では、制度化され、統治されることへの抵抗=アナキズムのうちに美術の本来的な性質と力を認め、近代以降、現在に至る作家たちの活動を通して、その可能性を問う。

ドットアーキテクツ《コーポ北加賀屋》photo:Yuma Harada
オル太『超衆芸術スタンドプレー 夜明けから夜明けまで』2020年 撮影:縣健司 Hyper Popular Art “STAND PLAY” 2020, photo: Kenji Agata

玉山拓郎(仮) 2025年1月18日-5月18日

 玉山拓郎(1990 年-)は絵画制作を出発点としながら、立体的な造形や光、映像、音を組み合わせたインスタレーションを展開してきた、現在最も注目を集める若手作家の一人。美術館での初めての個展となる本展では、同館の特徴的な展示空間に巨大な物体を貫入させ、未知なる領域を作り出す。

玉山拓郎 ©TAMAYAMA Takuro and Toyota Municipal Museum of Art, 2024

玉山拓郎 ©TAMAYAMA Takuro and Toyota Municipal Museum of Art, 2024

生誕120 年 黒田辰秋展(仮) 2025年3月15日-5月18日

 漆、貝、木竹など多様な素材を生かす高い技量と造形力により、独自の足跡を工芸史に残した黒田辰秋(1904-1982年)。華やかさとおおらかさを併せ持つ作品を文人墨客は日常的に愛した。本展では、初期から晩年にいたる代表作に未発表資料も加えて展観し、人間国宝・黒田辰秋の作品世界の真髄にせまる。

黒田辰秋《赤漆捻紋蓋物》1949年 漆、ヒノキ
19.6×23.2×20.8cm 豊田市美術館蔵

髙橋節郎館 リニューアル記念展(仮) 2025年1月18日-5月18日

 現代工芸を代表する漆芸家の髙橋節郎(1914-2007年)。髙橋は、これまで生活道具であった漆芸を、屏風や絵画などの美術作品として展開した。本展では、髙橋節郎館のリニューアルオープンを記念して、その革新的な漆作品の数々を紹介する。

髙橋節郎《蜃気楼》1960年 鎗金、彩錆絵、螺鈿
197.5×182.0cm豊田市美術館蔵

豊田市美術館の2021年度展覧会ラインナップはこちら
豊田市美術館の2023年度展覧会ラインナップはこちら

最新情報をチェックしよう!
>文化とメディア—書くこと、伝えることについて

文化とメディア—書くこと、伝えることについて

1980年代から、国内外で美術、演劇などを取材し、新聞文化面、専門雑誌などに記事を書いてきました。新聞や「ぴあ」などの情報誌の時代、WEBサイト、SNSの時代を生き、2002年には芸術批評誌を立ち上げ、2019年、自らWEBメディアを始めました。情報発信のみならず、文化とメディアの関係、その歴史的展開、WEBメディアの課題と可能性、メディアリテラシーなどをテーマに、このメディアを運営しています。中日新聞社では、企業や大学向けの文章講座なども担当。現在は、アート情報発信のオウンドメディアの可能性を追究するとともに、アートライティング、広報、ビジネス向けに、文章力向上ための教材、メディアの開発を目指しています。

CTR IMG