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ソビエト時代のタルコフスキー名古屋シネマテークで1月23日から

共産党政権下 抑圧された自由の中でこそ うまれた傑作の数々
その源泉を辿る。

 象徴性をたたえた独特の映像美で深い精神性を探求したロシアの巨匠、アンドレイ・タルコフスキー監督(1932〜1986年)がソ連政権下で生み出した作品を紹介する特集上映「ソビエト時代のタルコフスキー」が2021年1月23〜29日、名古屋・今池の名古屋シネマテークで開催される。

 ラインアップは「ローラーとバイオリン」「僕の村は戦場だった」「アンドレイ・ルブリョフ」「惑星ソラリス」「鏡」「ストーカー」の6本と、プラスワン上映として追加された「ノスタルジア」。

 当日券のみ1作品一般1500円、大学生1300円、シニア1100円、夫婦50割2200円(2人で)。

 2プログラム目以降は、一般料金から200円割引。

アンドレイ・タルコフスキー

 長編監督作は7本と寡作ながら、水、雨、光など自然を駆使した抒情的な作風によって映像の詩人と呼ばれ、世界中の映画ファンを魅了した。ソ連からフランスに亡命してわずか2年後の1986年、54才で肺がんによりパリで客死。

スケジュール

23日(土)16:30 惑星ソラリス19:30 ノスタルジア
24日(日)16:30 ローラーとバイオリン
   僕の村は戦場だった
19:10 ストーカー
25日(月)16:30 アンドレイ・ルブリョフ19:50 鏡
26日(火)16:30 ノスタルジア18:50 惑星ソラリス
27日(水)16:30 ストーカー19:30 ローラーとバイオリン
   僕の村は戦場だった
28日(木)16:30 鏡18:40 アンドレイ・ルブリョフ
29日(金)16:30 惑星ソラリス19:30 ノスタルジア

作品紹介

『ローラーとバイオリン』(1960年/カラー/スタンダード/46分)

1961年ニューヨーク国際学生映画コンクール第一位
バイオリンが得意な少年サーシャは、近所の少年たちにいじめられているところを、労働者のセルゲイに助けられたのをきっかけに友だちになる。しかしサーシャの母親はそれを快く思っていなかった。ラモリスの『赤い風船』に刺激された作品とのことである。

『僕の村は戦場だった』 デジタル・リマスター版(1962年/モノクロ/スタンダード/91分)

1962年ヴェネツィア国際映画祭サン・マルコ金獅子賞
1962年サンフランシスコ国際映画祭監督賞

舞台は第二次世界大戦下のソビエト。両親と妹をドイツ軍に殺され独りぼっちになり、復讐心に燃える12才の少年イワンは、パルチザンに協力し、危険をおかして敵の占領地域への偵察活動に従事するが…。戦争の悲惨さと虚しさの浮かび上がる傑作である。

『アンドレイ・ルブリョフ』(1967年/モノクロ&カラー/シネスコ/183分)

1969年カンヌ国際映画祭国際批評家連盟賞
1973年ジュシー賞(フィンランド)外国語映画賞 他多数

時は15世紀初頭。アンドレイたち僧侶は雨の道中、権力を風刺した旅芸人が捕らえられるのに遭遇した…。ロシア最高のイコン画家アンドレイ・ルブリョフの生涯を描きながら、当時のロシア社会の真実に迫った意欲作。ロケ地となったノヴゴロドなどの古都も美しい。

『惑星ソラリス』 デジタル・リマスター版(1972年/モノクロ&カラー/シネスコ/160分)

原作:スタニスワフ・レム著「ソラリスの陽のもとに」
1972年カンヌ国際映画祭審査員特別賞 他多数

世界SF映画史上に金字塔を打ち立てた作品。海と雲に覆われ、生物が確認されていない惑星ソラリスの海は理性を持つと科学者は考え、海と接触しようと試みるが失敗。宇宙ステーションは混乱に陥り、地上との交信は途切れる…。極限状態にある人間の心に焦点を当て、哲学的命題を観客に投げかける。

『鏡』(1975年/カラー/スタンダード/107分)

タルコフスキーの自伝的要素の濃い作品。過去と現在の交差から<私>の記憶が蘇る。家族の許から去った父。母の職場の同僚の死。第二次世界大戦、文化大革命、中ソ国境紛争など、激動の世界情勢を通し心象風景が形づくられる。母の場面に流れるのは、タルコフスキー自らが詠む実父アルセニー・タルコフスキーの詩である。

『ストーカー』(1979年/カラー/スタンダード/155分)

原作:ストルガツキー兄弟著「路傍のピクニック」
1980年カンヌ国際映画祭エキュメニカル審査員賞
1983年ファンタスポルト映画祭観客審査員賞

隕石でも落ちたのか大地に突然現れた空間ゾーン。<願掛けの部屋>があると言われ、ストーカーと呼ばれる三人の案内人の男がいる。雨、水、火などを駆使して規制の多い当時のソビエト社会の暗喩と、そこに生きる人々の苦悩と未来への希望を描く。タルコフスキーの名を世界映画史に刻印した作品。

『ノスタルジア』(1983年/126分)=プラスワン上映

ソビエトを離れたタルコフスキーがイタリアで制作した長編第6作。不治の病に冒された詩人と、世界の救済を説く老人の出会いを研ぎ澄まされた映像で描く。

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文化とメディア—書くこと、伝えることについて

1980年代から、国内外で美術、演劇などを取材し、新聞文化面、専門雑誌などに記事を書いてきました。新聞や「ぴあ」などの情報誌の時代、WEBサイト、SNSの時代を生き、2002年には芸術批評誌を立ち上げ、2019年、自らWEBメディアを始めました。情報発信のみならず、文化とメディアの関係、その歴史的展開、WEBメディアの課題と可能性、メディアリテラシーなどをテーマに、このメディアを運営しています。中日新聞社では、企業や大学向けの文章講座なども担当。現在は、アート情報発信のオウンドメディアの可能性を追究するとともに、アートライティング、広報、ビジネス向けに、文章力向上ための教材、メディアの開発を目指しています。

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