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劇団メメントCの舞台「太平洋食堂」が多言語字幕付きでオンライン配信

多言語字幕付きで配信

 大逆事件(1910、11年)の犠牲になった和歌山県新宮市の医師 、大石誠之助さん(1867~1911年、舞台では別名、以下同様)を主人公に、明治末の自由主義者の夢と挫折を描いた劇団メメントCの舞台「太平洋食堂」の上演映像が2022年3月20日から、配信される。

 2020年の再演舞台の映像で、文化庁・国際交流基金が、日本の優れた舞台公演作品をオンライン配信するプロジェクト「STAGE BEYOND BORDERS –Selection of Japanese Performances– 」の一環。

 日・英・仏・露・中(簡体・繁体)、スペインの多言語字幕付きである。

2020年 東京の座・高円寺での再演舞台

 「太平洋食堂」は2020年12月2~6日、 東京の座・高円寺で再演された。 冤罪で死刑となった大石さんは、2018年、新宮市の名誉市民に認定されている。

 初演は2013年。作者はメメントCを主宰する静岡県掛川市出身の嶽本あゆ美さん。 演出は藤井ごうさん。メメントCでの「太平洋食堂」は今回が最終上演となる。

 今回は、大逆事件の演劇2作品(「太平洋食堂」と「彼の僧の娘」)を同時上演し、オンライン配信もする。

「太平洋食堂」

大石誠之助さんは、明治37(1904)年、日露戦争の最中に、新宮市で洋食レストラン「太平洋食堂」を開業した。米国などで学び、コックの経験もあった。
 自由な雰囲気の中で、 被差別部落問題に取り組んだ真宗大谷派の僧、高木顕明さん、牧師の沖野岩三郎さんなど実在の人物も登場。非戦と自由、平等、弱者救済を熱く語り合う。

  舞台で、大石さんは、「大日本帝国、バンザーイ!」という周囲の声に対して、あえて「大日本帝国、アブナーイ!」と叫ぶ人物として描かれる。シニカルにものを言い続けると同時に、未来に希望を持っていた。

 だが、開店からわずか7年後、 思想弾圧された社会主義者の幸徳秋水らに連座し、死刑となる。冤罪だった。

 「希望を捨てるな! 負けて負けて、最後に人類は勝つ!」。舞台では、前を見続ける姿勢が描かれる。

 藤井ごうさん演出の舞台は、高く評価された。歴史を描くだけでなくユーモアも盛り込み、エンターテインメントとしても受け入れられた。

 2020年バージョンは、司法史上に残る名弁論といわれる弁護士の平出修さんの最終弁論シーンを加えた。

太平洋食堂

「彼の僧の娘」

 「彼の僧の娘」は、事件後を生きた、高木顕明さんの養女の半生を描いた物語。

 独自取材によるドキュメンタリーと邦楽のコラボレーションが、事件から現代までの「時」を浮かび上がらる。

料金

「太平洋食堂」: 一般(前売・当日)5000円 学生3500円

「彼の僧の娘」: 一般(前売・当日)3500円

2演目セット券7000円

スケジュール

2日(水)「食堂」18:00 =ライブ配信あり
3日(木)「食堂」13:00/(トーク 嶽本あゆ美ほか)  =ライブ配信あり
4日(金)「食堂」13:00/「食堂」/18:00 
5日(土)「食堂」13:00/「彼の僧の娘」18:00 (ゲスト 日本史家・成田龍一 =ライブ配信あり
6日(日)「食堂」12:00/「彼の僧の娘」 17:00 

オンライン配信

配信チケットはこちら

  • Zikoでの会員登録が必要(無料)
  • 決済はクレジットカード、コンビニ、Paypalなど
  • ネット応援席で、当日のライブ配信と上演後のアーカイブ映像((上演後5日間)を見られる
  • 高精細カメラによる収録を予定。配信はフルハイビジョン
  • 各回2000円+配信手数料(12月2日18時「太平洋食堂」、3日13時「太平洋食堂」、5日12時「太平洋食堂」、18時「彼の僧の娘」)

メメントCでの「太平洋食堂」は今回が最終上演。収録は、高精細カメラ(4K,6K)となる。映像編集後、4K品質の上演DVDを予約販売する。
販売予定価格は、2枚組・プログラム付きで、4000円+送料(370円)。

嶽本さんが「論座」に寄稿

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>文化とメディア—書くこと、伝えることについて

文化とメディア—書くこと、伝えることについて

1980年代から、国内外で美術、演劇などを取材し、新聞文化面、専門雑誌などに記事を書いてきました。新聞や「ぴあ」などの情報誌の時代、WEBサイト、SNSの時代を生き、2002年には芸術批評誌を立ち上げ、2019年、自らWEBメディアを始めました。情報発信のみならず、文化とメディアの関係、その歴史的展開、WEBメディアの課題と可能性、メディアリテラシーなどをテーマに、このメディアを運営しています。中日新聞社では、企業や大学向けの文章講座なども担当。現在は、アート情報発信のオウンドメディアの可能性を追究するとともに、アートライティング、広報、ビジネス向けに、文章力向上ための教材、メディアの開発を目指しています。

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