《志野茶碗》 2023年 個人蔵
初期作品から最新作までを一堂に展示
岐阜県現代陶芸美術館で2025年3月29日~6月1日、「卒寿記念 人間国宝 鈴木藏の志野展」が開催される。
鈴木藏は1934年、岐阜県土岐市生まれ。荒川豊蔵(1894-1985年)に続き、2人目の「志野」における重要無形文化財保持者(人間国宝)となり、令和6年度には文化功労者に顕彰された。
多治見市市之倉の丸幸陶苑に勤務する父の助手として働く中で、本格的にものづくりの道へと進んだ。

《志埜大皿》 1991年 国立工芸館蔵
1966年に31歳で独立し、 薪窯でしか焼けないとされていた「 志野」 にガス窯で挑戦。自然への畏敬の念を重んじ、伝統を大切にした中から独自の作陶スタイルを確立していった。
「志野には日本人の美意識の独特さと素晴らしさがある」と語る鈴木藏。作品を作るなら「新しくて、力強いもの」という姿勢を崩さず、今日まで取り組んできた。
本展では、2024年12月に卒寿を迎えた同氏の初期から最新作までの作品を一堂に展示。古典を大切にしつつ、自らの美意識を映し出した独自の作品によって、鈴木藏の軌跡と “今” を紹介する。

《志野陶塑》 2021年 個人蔵
展覧会概要
会 場:岐阜県現代陶芸美術館 ギャラリーⅠ
会 期:2025年3月29日(土)~6月1日(日)
休 館 日:月曜日(ただし、5月5日は開館)、5月7日(水)
開館時間:10:00~18:00(入館は17:30まで)
主 催:岐阜県現代陶芸美術館、NHK エンタープライズ中部
共 催:中日新聞社、東海テレビ放送、TOKAI RADIO
観 覧 料:一般1,000円(900円)、大学生800円(700円)、高校生以下無料
*( )内は20名以上の団体料金
*以下の手帳のある人および付き添いの1名まで無料
身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳、療育手帳、特定医療費(指定難病)受給者証・登録者証

《志野香炉》 2017年頃 個人蔵
見どころ
・鈴木藏の志野-創作の軌跡にせまる
高校卒業後、多治見市市之倉の丸幸陶苑に勤務する父の助手として働いたのち、本格的なやきものづくりの道に進んでいった鈴木藏。1966年、31歳のときに独立し、ガス窯で焼く独自の志野の世界を拓いていった。本展では、独立前後の時代、最初期の作品から現在までの代表作で、その歩んできた創作の軌跡をたどる。
・新作ずらり、鈴木藏の “今” を知る
鈴木は志野に日本人の美意識の独特さと素晴らしさを見いだし、常に「新しくて、力強いもの」をという姿勢で今日まで取り組んできた。本展では、2024年の卒寿を前に、鈴木が本展のために制作した最新作の茶碗が展示の冒頭にずらりと並ぶ。鈴木藏が向き合う志野の “今”がそこに現れている。
・桃山時代の志野の名品を特別出品
志野を作陶の中心におく鈴木藏にとって、師は美濃桃山陶。鈴木は、素材や質感、造形、装飾など制作における多くの教えを美濃桃山陶から受け、他方で、桃山時代にはない成形方法や装飾技法を取り込んで、今の時代に生きる作り手としての志野を生み出している。本展では、重要文化財を含む桃山時代の志野の名品5点も特別出品し、その魅力を紹介する。

《志埜蓋付碗》 1990年 阿含宗本山蔵
イベント
講演会「志野の魅力-人間国宝 鈴木藏の作陶と作品-」
日 時 | 2025年5月3日(土・祝)14:00-15:30 |
会 場 | 岐阜県現代陶芸美術館 プロジェクトルーム |
講 師 | 唐澤昌宏氏(本展監修者・国立工芸館館長) |
定 員 | 50名 |
参加費 | 聴講無料、申し込みは3月29日(土)10:00から |
トークイベント「美濃陶芸・次世代の挑戦者たち」
日 時 | 2025年5月17日(土)14:00-15:30 |
会 場 | 岐阜県現代陶芸美術館 プロジェクトルーム |
出 演 | 酒井博司氏(志野・土岐市)鈴木徹氏(緑釉・多治見市) 若尾誠氏(青瓷・多治見市) |
定 員 | 50名 |
参加費 | 聴講無料、申し込みは4月5日(土)10:00から |
ギャラリートーク(当館学芸員による展示解説)
日 時 | 2025年4月13日(日)、5月11日(日) 各日14:00- |
会 場 | 岐阜県現代陶芸美術館 ギャラリーⅠ |
参加費 | 無料、要観覧券(高校生以下は無料)、事前申し込み不要 |

重要文化財《鼠志野茶碗 銘 峯紅葉》桃山時代 16~17世紀 五島美術館