2021年秋 streaming heritage 2021 autumn
春に続く現代アートイベント
「なごや日本博事業実行委員会」は、名古屋城と熱田台地を結ぶ堀川を舞台に、streaming heritage 2021 autumn 「ストリーミング・ヘリテージ|台地と海のあいだ」を2021年11月12〜 28日(金土日祝と17日)に開催する。
2022年秋に開催の「ストリーミング・ヘリテージ 2022」については、こちら。
2021年3月に開催したstreaming heritage 2021 springに続く現代アートイベント。アートと地域文化を組み合わせ、名古屋の魅力向上を図る。
参加アーティストは、市原えつこ、篠田千明、softpad、中山晃子、フォルマント兄弟、堀尾寛太の6人(組)。
概要
名古屋城から堀川沿いに熱田・宮の渡しまで、名古屋台地と熱田台地のへりにある文化資源や観光資源をひとつづきに結ぶ [stream]を舞台に、現代アートによって名古屋の歴史・文化遺産 [heritage]にフォーカスする。
歴史と現在を交差させ、名古屋独自の文化芸術の魅力を世界に向けて発信。地域の再活性化を目指す。
今回は、名古屋城エリア(名古屋能楽堂・四間道)、納屋橋エリア、熱田・宮の渡しエリアの各会場で、アーティストによる作品展示やパフォーマンス、トークイベントなどを催す。
普段は一般公開していない指定文化財を展示会場としているのも見どころである。
展示(11:00-20:00)
《名古屋城エリア(名古屋能楽堂・四間道) 》
伊藤家住宅:市原えつこ、softpad
《納屋橋エリア》
納屋橋:中山晃子
《熱田・宮の渡しエリア》
丹羽家住宅:篠田千明(11月19日以降)、堀尾寛太
パフォーマンス・トーク
●11月12日(金)、13日(土)16:30~17:15 会場:宮の渡し公園(予定) 篠田千明パフォーマンス
●11月19日(金)18:30~19:00 会場:納屋橋シャムズガーデン 中山晃子パフォーマンス
●11月20日(土)15:00~15:30 会場:名古屋能楽堂会議室 堀尾寛太パフォーマンス
●11月20日(土)リレートーク「注ぐ/注がれる」 会場:名古屋能楽堂会議室
① 16:00~17:00 上芝智裕(softpad)× 秋庭史典(本展ディレクター)
②17:15~18:15 水野勝仁(インターフェイス / メディアアート研究者)× 伏木 啓(本展ディレクター)
●11月27日(土)15:00~15:30 / 17:00~17:30 会場:納屋橋 堀川船上 フォルマント兄弟パフォーマンス ※雨天延期の場合、28日(日)に開催
名古屋能楽堂スペシャルトーク 「能からTrio A へ」
レクチャー + パフォーマンス鼎談
日時:11月17日( 水 )19:00~20:15 会場:名古屋能楽堂
〈レクチャー〉
中島那奈子(ダンス研究者、ダンスドラマトゥルク)
〈パフォーマンス〉
高林白牛口二(喜多流能楽師)、寺田みさこ(コンテンポラリーダンス)
中島那奈子
ダンス研究者、ダンスドラマトゥルク。
大学で教鞭をとりながら、ダンス創作を支えるドラマトゥルク として国内外で活躍。2017年北米ドラマトゥルク協会エリオットヘイズ賞特別賞受賞。
老いと踊りの研究を並行して進め、研究と実践を組み合わせる近年のプロジェクトに「イヴォンヌ・レイナーを巡るパフォーマティヴ・エクシビジョン」(京都芸術劇場春秋座、2017)、老いた革命バレエダンサーの作品『When my cue comes, call me, and I will answer』(演出・振付:メンファン・ワン、北京中間劇場、2019)など。
2020年にベルリン自由大学ヴァレスカ・ゲルト記念招聘教授に着任し『ダンスアーカイブボックスベルリン』を上演。
今年、ダンスドラマトゥルギーの情報サイトを開設。 編著に『The Aging Body in Dance: A Cross-cultural Perspective』 (共編:Gabriele Brandstetter、Routledge、2017)、『老いと踊り』(共編:外山紀久子、勁草書房、2019)。
参加アーティスト
市原えつこ
1988年、愛知県生まれ。メディア・アーティスト、妄想インベ ンター。
早稲田大学文化構想学部表象メディア論系卒業。日本的な文化、習慣、信仰を独自の観点で読 み解き、テクノロジーを用いて新しい切り口を示す作品を制作する。
第20回文化庁メディア芸術祭エンターテインメント部門優秀賞、アルス・エレクトロニカで栄誉賞を受賞。近年の展覧会として、「デジタル・シャーマニズム―日本の弔いと祝祭」(NTTインターコミュニケーション・センター[ICC]、東京、2016‒17)、「Ars Electronica Festival」、「文化庁メディア芸術祭」など。2025年、大阪・関西万博日本館の基本構想策定クリエイター。
softpad
京都を中心に活動するアート/デザインユニット。現在のクリエイション・メンバー は粟津一郎、上芝智裕、奥村輝康、竹内創、外山央、泊博雅、南琢也。
インスタレーシ ョン、パフォーマンス、サウンド、デザイン分野など、ジャンルを超えながら、それぞれのメディアの境界線と接点を探る表現活動を行っている。
主な展覧会に「物質性 – 非物質性 デザイン&イノベーション」(京都 ddd ギャラリー、2016)、「VOICE AND SOUND WAVES」(LE26BY Galerie Félix Frachon、ブリュッセル・ベルギー、 2019)など。
中山晃子
1988年生まれ。画家。
様々な素材を反応させることで、絶えず変容していく《Alive Painting》シリーズや、その排液を濾過させるプロセスを可視化し定着させる《Still Life》シリーズなど、パフォーマティブな要素の強い絵画を制作。
近年では、「TEDxHaneda」(東京、2015)、「Ars Electronica Fes」(オーストリア、2019)、 「Biennale Nemo」(パリ、2018) 、「LAB30 Media Art Festival」(アウグスブル グ、2018) 、「MUTEK モントリオール」(2019)、「Tokyo 2020 オリンピック」閉会 式等に出演。
フォルマント兄弟
「フォルマント兄弟」は、三輪眞弘(兄)と佐近田展康(弟)という父親違いの異母兄弟によって2000年に結成された作曲・思索のユニット。
テクノロジーと芸術の今日的問題を《声》を機軸にしながら、哲学的、音楽的、技術的に探求し、21世紀の《歌》を機械に歌わせることを目指す。
人工音声を人間の手で演奏する『兄弟deピザ注文』『 Neo都々逸』『夢のワルツ』など多数の作品を発表。『フレディの墓 / インターナショナル』ではPrixArsElectronica2009入賞。
篠田千明
1982年東京生まれ。演劇作家、演出家。
2004年に多摩美術大学の同級生と「快快」を立ち上げ、2012年に脱退するまで、中心メンバーとして、主に演出、脚本、企画を手がける。
以後、バンコクを拠点とし、ソロ活動を続ける。劇の成り立ちそのものを問う『四つの機劇』『非劇』や、チリの作家の戯曲を元にした人間を見る動物園 『ZOO』、その場に来た人が歩くことで革命をシュミレーションする『道をわたる』 などを製作。2018年、「Bangkok Biennial」で『超常現象館』を主催。2019年、台北 でADAM artist lab、「マニラWSKフェスティバル」Music Hacker’s lab参加。
堀尾寛太
1978年、広島県生まれ。アーティスト、エンジニア。音や光、磁力、位置などのエネルギーと物理的な動きを結びつけることをベースに、日用品や自作の装置を使ってその 場で自律 的に発 生する現 象を作るライブパフォーマンスやインスタレーション 作 品 を発表。
また、触覚と振動に基づく電子楽器やインタフェイスの開発・製作を行って いる。主な展覧会に「CTM Festival 2019」(クンストラウムクロイツベルグ/ベタニ エン、ベルリン、2019)、「札幌国際芸術祭2017」(札幌市内、2017)、「オープン・ス ペース2016メディア・コンシャス」(ICC、東京、2016)。主なパフォーマンスに「サウ ンドパフォーマンス・プラットフォーム2018」(愛知県芸術劇場、2018)、 「FESTIVAL DE ARTE SONORO TSONAMI」(Teatro del Parque Cultural de Valparaíso、バルパライソ、2018)、「FINALBY( )」(w/∈Y∋,COSMICLAB新美太 基+堀尾寛太、フジロックフェスティバル、2021)など。
2021年春 streaming heritage 2021 spring
新たな現代アートイベント
名古屋城から熱田までの堀川沿いが舞台
「なごや日本博事業実行委員会」が、新たな現代アートイベント「ストリーミング・ヘリテージ | 台地と海のあいだ」を2021 年 3月12 ~28日(期間中の金・土・日曜日) に開催する。
参加アーティストも発表された。情報は、随時追加する。
概要
参加アーティストは、井藤雄一、グランドレベル(田中元子+大西正紀)、佐藤美代(音楽:BONZIE)、さわひらき、Barrack(近藤佳那子・古畑大気)+阿野太一、日栄一真+竹市 学、平川祐樹、MOBIUM。
実行委は、名古屋市、ユネスコ・デザイン都市なごや推進事業実行委員会、公益財団法人名古屋まちづくり公社、名古屋商工会議所、中日新聞社で構成される。
会場は、 名古屋城エリア、納屋橋エリア、熱田・宮の渡しエリア 。
文化庁による2020年度の「日本博を契機とする文化資源コンテンツ創成事業」の一環である。
ディレクターは、秋庭史典さん、河村陽介さん、伏木啓さん、山田亘さん、江坂恵里子さん。
[ロゴ]デザイン:服部一成
コンセプトと狙い
名古屋城が築かれた名古屋台地から、熱田神宮のある熱田台地まで、名古屋市の中心部を南北に伸びる台地エリア。その縁(へり)を流れる堀川沿いの文化資源にスポットを当てた新たな現代美術のイベントである。
名古屋城、納屋橋、宮の渡し・・・。これらを結ぶ堀川の流れ [stream]に現代アートが光をあて、名古屋の歴史的、文化的な遺産 [heritage] をリアルタイムに再生する。
アートを通じて、歴史と現在を交差させ、名古屋独自の文化芸術の魅力を世界に向けて発信することで、地域社会と経済、市民活動の活性化を目指す。
参加アーティスト
井藤雄一
愛知県豊田市出身。2014年、中京大大学院情報科学研究科メディア科学専攻 博士後期課程修了(博士、メディア科学)。その後、中京大工学部で助手、助教を務め、2019年から、神奈川工科大情報学部情報メディ ア学科講師。
映像、音などのデジタルメディアを意図的に誤用。ノイズやグリッチと呼ばれるデータのエラーを表出させる手法のメディア表現に注目し、そのシミュレーションから物事を複眼的に見ることができる作品を目指している。
グランドレベル(田中元子+大西正紀)
独学で建築を学んでいた田中元子と、大学院修了後、ロンドンの設計事務所に勤めていた大西正紀が、建築の専門分野と一般の人々とをつなぐことを目的に、2004年 、クリエイティブユ ニ ット m o s a k i( モ サ キ )を設 立 。
2 0 1 0 年 か ら 、「 けんちく体 操 」ワークショップ に 参 画 。2 0 1 4 年 以降、都市部の遊休地にキャンプ場を 出現させる「アーバンキャンプ」や 、個人がフリー で振る舞う「パーソナル屋台」ワークショップを全 国に展開し た。2016年に 、株式会社グランドレベルを設立。2018年、「喫茶ランドリー」をオープンさせ 、国内外から注目された。
佐藤美代(音楽:BONZIE)
愛知県名古屋市出身のアニメーション作家。2015年、東京藝術大大学院 アニメーション専攻修了。主に砂絵アニメーションやペイントオングラス、2Dアニメーションなどで作品を制作。
BONZIE(ボンジー)は米国の歌手、作曲家、マルチプレイヤー。
さわひらき
1977年、石川県生まれ。高校卒業後、英国に渡りロンドン大スレード校美術学部で彫刻の修士号を取得。ロンドン在住。
自身の心象風景や記憶の中にある感覚といった実態のない個人的な領域をビデオインスタレーションで表現する。映像や立体造形物を巧みに操って再構成することで、現実にはありえない光景を描きながら、どこか親しみを感じさせる世界を展示空間に生み出す。
Barrack(近藤佳那子・古畑大気)+阿野太一
近藤佳那子と古畑大気の運営するギャラリー&カフェスペース 及びユニット 。愛知県瀬戸市で元電器店を改装し 、美 術 と 人 、まちがつながる実験の場として運営している。
写真家の阿野太一は建築を撮影。「瀬戸現代美術展2019」では、自身が撮りためた瀬戸の風景に内包された歴史や遍歴を読み解く「瀬戸2015」を発表した。
今回は、明治期に世界へ向けた瀬戸の陶磁器輸送に大きく貢献した瀬戸電気鉄道と、水運のターミナル駅があった 堀川の関係にスポットを当てる 。
日栄一真+竹市 学
日栄一真はサウンド ・メディア・アーティストとして、テクノロジーによるサウンド表現の可能性を追求する。
竹市学は、能楽 笛方 藤田流職分 重要無形文化財(総合指定) 。1972年、愛知県生まれ。1983年、藤田流宗家11世藤田六郎兵衛に入門した。 1996年、国立能楽堂卒業。2002年、米国ニューヨークで9.11追悼公演。2018年、フランス・パリJaponism杉本博司プロデュース、野村萬斎公演出演。 2019年、名古屋市芸術奨励賞受賞。
平川祐樹
1983年、名古屋市生まれ。愛知県を拠点に活動。メディア考古学的な視点を通して、場所や物質に宿る時間を即物的に提示する映像作家。
近年では、物質の燃焼や蒸留、浄化といった錬金術的手法を使い、古い映画フィルムから銀を抽出、フィルムの灰を平面と置き換えるなど、静謐で儚いミニマルな作品を制作する。
MOBIUM
バスを改造した移動型のミュージアム/ラボラトリー。2005年 から、都市部 、山間部を問わず 、停車可能な場所であればどこ でも、作品展示や ワークショップ 、音楽公演 、映像上映など の表現活動を展開している。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。(井上昇治)