STANDING PINE(名古屋) 2023年4月15日〜5月13日
設楽知昭
2021年7月に白血病のため、66歳で急逝した設楽知昭さん(1955-2021年)の追悼展である。
没後、設楽さんの作品世界を紹介する「追悼 設楽知昭」が2022年10月29日~12月25日、愛知県美術館で開かれた。
今回の展示は、設楽さんが長く作品を発表していた白土舎(名古屋・伏見)の閉廊後に個展を開いていたSTANDING PINEでの追悼展である。
島渡り 2014年
設楽知昭さんは1955年、北海道に生まれた。愛知県立芸術大大学院を修了後、油彩、テンペラ、エンコスティック(蜜蝋)、シルバーポイントなどを用いた絵画やドローイングなどを制作した。
キャンバスだけでなく、さまざまな支持体の上に展開し、視覚や描く行為を身体や、意識した世界と意識できない世界、夢、鏡像、生死、此岸と彼岸などの思索から深く探究した。全てを解明することは不可能だといってもいい、とても謎めいた世界である。
オーバーテーブルと心臓 2013年
個展は、白土舎(愛知)、不忍画廊(東京)、STANDING PINE(愛知)などで多数開催。愛知県美術館、名古屋市美術館、豊田市美術館などに作品がコレクションされている。
STANDING PINEでは、2009年以降、「毎日、尻尾を食べていた」「大きなモレスキンのノート」「壊れた紙芝居」「二つ折りにして封筒に入れました 手紙」「赤い」「曇空ニ穴ノ空イテイル絵」という計6回の個展を開いた。
二つ折りにして封筒に入れました 手紙 2015年
今回の展覧会では、過去にギャラリー等で発表した作品と、未発表の近作を合わせて展示している。
冬ノ桐ノ葉 春の子
STANDING PINEで紹介された作品を再展示しているが、ほかに、設楽さんが亡くなる直前に描いていた未発表作品を展示しているのが何よりの見どころである。
設楽さんが最後に描き、自宅に遺していた3点のうちの1点、未発表作品「冬ノ桐ノ葉 春の子」が画廊の最奥、中央に展示してある。
また、お粥など身近なモチーフを描いた作品も胸を打つ。
お粥 2020年
冬ノ桐ノ葉 春の子 2021年
青い臍(へそ) 2021年
フェルトのウルトラマンの面 2017年
青くんと黄いろちゃん 2017年