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白鳥庭園(名古屋)で景の園【アートの景】

  • 2021年11月28日
  • 2023年7月13日
  • 美術

白鳥庭園(名古屋) 2021年11月20日〜12月12日

開園30周年記念 観楓会 『景の園』Landschaft(ラントシャフト) 華、茶、アートで楽しむ秋の庭

 開園30周年を迎えた名古屋市の白鳥庭園で開催されているアート展である。ちょうど紅葉が見頃で、作品とともに楽しむことができる。

 池泉回遊式日本庭園の各所に、中田ナオトさん、ニシテツロウさん、赤塚剛さんの3人が作品を展示した。

 入園料は、大人が300円で中学生以下無料。名古屋市内在住の65歳以上(要・敬老手帳等)は100円である。

中田ナオト

中田ナオト

 中田ナオトさんは1973年、愛知県生まれ。名古屋芸術大学美術学部デザイン科卒業、 多摩美術大学大学院修士課程美術研究科修了。

 現在は、名古屋芸術大学准教授。愛知県江南市のギャラリー数寄などでの個展のほか、精力的に各地のグループ展に出品している。

中田ナオト

 中田ナオトさんの作品は、3人の中で最も多く、庭園の各所に配置されている。器物ではないが、かといって、いわゆるオブジェというのとも、趣を異にする。

 今回の作品を見た限りでも、置き換え、連想、ひらめき、遊び心、異化、驚き、ユーモア、空想、物語性などの言葉が浮かび上がる。

中田ナオト

 他の素材や庭園内の「もの」や「こと」など、別のメディアとも組み合わせたハイブリッド性も顕著な特徴である。

 土から陶へのプロセスを重視していないかといえば、そんなことは全くなく、ベースは陶芸そのものである。陶芸でありながら同時にアート寄りでもあり、引き裂かれた意外な感覚を巧みに作品に取り入れている。

中田ナオト

 池のほとりに、こまのような物体を置いたかと思えば、池には、陶の球体108個をつないだ吹き出し雲のような形を浮かべる。あるいは、石灯籠から、にょろっと陶が垂れている。

 天体望遠鏡を陶器を連ねた筒状の立体に置き換えた作品もあった。

中田ナオト

 庭園近くの高層マンションが池に映る風景に魅せられ、そのイメージをタイルに転写して焼き付けたとみられる作品も興味深い。この映像は、かなり不鮮明だが、過去作から思うと、ピンホールカメラで撮られたものかもしれない。

ニシテツロウ

 ニシテツロウさんは、1964年、大阪生まれ。1991年、愛知県立芸術大学大学院美術研修科修了。美術家、サウンドアーティストである。

  筆者は、2017年に亡くなられた栗本百合子さんとのコラボレーションで作品に接する機会を得た。

ニシテツロウ

 ニシさんは、白鳥庭園にある3つの水琴窟の音を採取。それらの音量をわずかに大きくし、庭園内の東屋周辺に散りばめた。

 東屋に座ったとき、かすかに耳に届き、周囲の紅葉を眺めながら移動すると、違った聞こえ方がする。

 筆者が訪れた際も、一休みしていた高齢夫婦が作品の音を話題に会話を楽しんでいた。

赤塚剛(造景集団 某)

 庭師を中心に「造景集団 某(なにがし)」を結成。植物を中心とした有機的な素材を使い、自然を生かした景観や空間表現を生み出している。

 今回は、竹を素材に、橋の上に造形物を構築した。

 竹がつくるしなやかな円窓から庭園を眺めると、まったく異なる印象を受ける。竹による額縁が、あたかも1つの風景画のように庭園を切り取ってくれる。

赤塚剛
赤塚剛

最後までお読みいただき、ありがとうございます。(井上昇治)

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文化とメディア—書くこと、伝えることについて

1980年代から、国内外で美術、演劇などを取材し、新聞文化面、専門雑誌などに記事を書いてきました。新聞や「ぴあ」などの情報誌の時代、WEBサイト、SNSの時代を生き、2002年には芸術批評誌を立ち上げ、2019年、自らWEBメディアを始めました。情報発信のみならず、文化とメディアの関係、その歴史的展開、WEBメディアの課題と可能性、メディアリテラシーなどをテーマに、このメディアを運営しています。中日新聞社では、企業や大学向けの文章講座なども担当。現在は、アート情報発信のオウンドメディアの可能性を追究するとともに、アートライティング、広報、ビジネス向けに、文章力向上ための教材、メディアの開発を目指しています。

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