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映画「RED SHOES/レッド・シューズ」2024年3月15日にTOHOシネマズ木曽川ほか全国公開 ミッドランドスクエアシネマ(名古屋)は4月5日から

心の成長を描くリアルで美しい青春物語

 オーストラリア発のヒューマンドラマ「RED SHOES/レッド・シューズ」が2024年3月15日、TOHOシネマズ木曽川ほかで全国公開される。バレエを通じ、喪失を乗り越えようとする少女の姿を描いた、リアルで美しい青春物語である。

 バレエ・アカデミーのプリマだった姉を不慮の事故で失った妹のサムが、一度はバレエを離れるも、友人や師に背中を押され、再びバレエの世界で自分を解放するまでを描く。

 リアルを追求するためにバレエの国際コンクール等で実績のあるダンサーを起用。バレエシーンはすべて役者自身が踊っている。

 舞台となるアカデミーはオーストラリアで最も権威のあるオーストラリア国立演劇学院が使用された。振付師には、オーストラリア・バレエ・カンパニーのプリンパルであったダニエル・ガウディエッロを招き、圧巻のバレエシーンの創出に成功した。

 物語のテーマは、心の成長。自己も世界も否定し、心を閉じた自分をどう乗り越えるか。悲しみ、喪失や罪悪感、弱さや怖れを美しいものに変える自分の内なる力と愛にどうやって気づくか。

 人生に向き合うため、自分自身を見つめ、信じる。そして、悲しみが幸せを教えてくれることに気づく。女優で元バレリーナの草刈民代さんは「競争に勝つことではなく、人としての成長に焦点を当てているところが素晴らしい」と本作にコメントを寄せている。

 「外を見るものは夢を見、内を見るものは目覚める」ーー。映画のクライマックスで語られる心理学者、カール・グスタフ・ユングの言葉である。集中し、心を開き、愛で世界を見ることが本作の主題だともいえる。

 バレエ、ティーンエイジャーを描く青春映画ながら、多くの人の心に届くだろう。

ストーリー

 バレエの有名校に通う才能豊かな若きバレエダンサー、サムは自身がプリマの演目「赤い靴」の公演間際に、常に憧れの存在であった同じくバレエダンサーの姉の訃報を耳にし、ショックのあまり踊れなくなってしまう。

 精神的に大きな傷を負ったサムは学校を辞め、自堕落な暮らしをしていた。万引きをして 200時間の社会奉仕活動を課されたサムは、母親に半ばだまされる形でかつて通っていたバレエ学校で清掃員として奉仕活動をすることになる。

 はじめは身近にバレエの存在があることにうんざりしていたサムだったが、当時のライバル、密かに恋心を抱いていたダンスパートナー、そして今も変わらず少年少女を厳しく鍛え上げている師との再会を通じて、その胸の奥に再びバレエへの深い情熱が湧き上がってくる。

 だが、またステージに立つには過去のトラウマが大きな壁となっていた。そんな時、今年も「赤い靴」の公演が決まり、サムの心は激しく揺れ動く。

スタッフ

監督:ジェシー・エイハーン

 母は本作の共同監督を務めたジョアンヌ・サミュエル、父は撮影監督として活躍しているニック・エイハーンという映画一家に生まれる。

 音楽大学院を卒業後、プロデューサー、監督、ポストプロダクション監修として活躍。映画作品に加え、メル・ギブソンなどのオーストラリア映画界で著名な映画人らのインタビューを特集したドキュメンタリー「Wake In Film」への取り組みでも知られている。本作が長編初監督作品となる。

監督:ジョアンヌ・サミュエル

 ハニーブルック・スタジオでバレエ、タップ、コンテンポラリーダンスを学び、ノースシドニーのインディペンデント・シアターで演劇を学んだ。

 『The Legend of the Five』(20/未)で監督デビュー。子供の芸術教育を長年にわたって提唱しており、2004 年にスリー・シスターズ・ユース・スタジオを設立し、青少年向けに演劇を上演している。『マッドマックス』(79)のメル・ギブソンの妻役で知られている。

キャスト

サム:ジュリエット・ドハーティ

 1997年6月10日、ニューメキシコ州アルバカーキ生まれ。オーストラリア系アメリカ人の俳優・ダンサー。

 同じくダンサーである母親のクリスタ・キング=ドハーティから指導を受け、その後サンフランシスコ・バレエスクールでクラシックの稽古を続けた。米国最大級のバレエコンクール、ユース・アメリカ・グランプリ(YAGP)でゴールドメダルに輝き、他にも全米芸術文学協会(NSAL)、北京国際バレエコンクールでの受賞など輝かしい成績を収めている。

 スーザン・ストローマン演出のミュージカル「Little Dancer」への出演や、ミュージカル「巴里のアメリカ人」ではヒロインのリズ役で出演するなど活躍。主な映画出演作は『ハートビート ネクスト・ステージ』(18)など。

出演:ジュリエット・ドハーティ、ローレン・エスポジート、ジョエル・バーク、キャロリン・ボック、プリムロー
ズ・カーン、ニコラス・アンドリアナコス、ミエッタ・ホワイト、アシュリー・ロス
監督:ジェシー・エイハーン、ジョアンヌ・サミュエル
プロデューサー:ターニャ・エスポジート、ジェシー・エイハーン
脚本:ザカリー・レイナー、ジョン・バナス、ピーター・マクロード 撮影監督:ケント・マルクス 音楽:ドミニ
ク・カブーシ、ブロンテ・マリー・オニール 振付:ダニエル・ガウディエッロ
2023/オーストラリア/英語/シネマスコープ/5.1ch/111 分/原題:The Red Shoes: Next Step/字幕翻訳:大西公
子/配給:彩プロ 映倫 G
© 2023 One Tree Productions

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>文化とメディア—書くこと、伝えることについて

文化とメディア—書くこと、伝えることについて

1980年代から、国内外で美術、演劇などを取材し、新聞文化面、専門雑誌などに記事を書いてきました。新聞や「ぴあ」などの情報誌の時代、WEBサイト、SNSの時代を生き、2002年には芸術批評誌を立ち上げ、2019年、自らWEBメディアを始めました。情報発信のみならず、文化とメディアの関係、その歴史的展開、WEBメディアの課題と可能性、メディアリテラシーなどをテーマに、このメディアを運営しています。中日新聞社では、企業や大学向けの文章講座なども担当。現在は、アート情報発信のオウンドメディアの可能性を追究するとともに、アートライティング、広報、ビジネス向けに、文章力向上ための教材、メディアの開発を目指しています。

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