記事内に商品プロモーションを含む場合があります

「清流の国ぎふ」文化祭2024 PARALLEL MODE:オディロン・ルドン-光の夢、影の輝き- 岐阜県美術館で2024年9月27日-12月8日に開催

約330点でルドンの作品を読み解く

 岐阜県美術館で2024年9月27日〜12月8日、「『清流の国ぎふ』文化祭2024 PARALLEL MODE:オディロン・ルドン-光の夢、影の輝き-」が開催される。

 19世紀後半から20世紀初頭にかけて、フランスを中心に活動した画家オディロン・ルドン(1840-1916年)は、ジャン=レオン・ジェロームやロドルフ・ブレスダンに学び、木炭画や版画、パステル画や油彩画と表現媒体を変えながら、イマジネーションの世界を描いた。

 その夢幻の芸術は、フランスのみならず日本においても美術や文学、音楽、漫画等、幅広い分野に影響を与えている。

オディロン・ルドン《オリヴィエ・サンセールの屛風》1903年 岐阜県美術館

 本展覧会は、万国博覧会に象徴される技術革新によって、流動的な社会情勢にあった19世紀後半から20世紀初めまでの欧州が舞台。アカデミックな芸術に対して、印象派などが台頭する中で、フランスで生まれたルドンが、伝統と革新の狭間で独自の表現を築き上げていく姿を紹介する。

 技術革新は画材の種類を豊富にし、芸術家に新たな技法や表現への挑戦の機会をもたらした。ルドン作品における多様な表現の成り立ちを検証し、保存科学や修復時における作品情報の力も借りながら、表現の真実に迫る。

オディロン・ルドン《卵》1885年 フランス国立図書館
©Bibliothèque nationale de France

 同時に、日本でルドンを紹介する意義として、ルドンと同時代を生きた日本の芸術家への影響を紹介。

 約330点の作品により、両国で愛されてきたルドンの作品を読み解きながら、知られざる色彩の秘密へといざなう。

オディロン・ルドン(Odilon Redon,1840-1916)

 フランスの画家。ボルドーでスタニスラス・ゴランに学び、ロマン主義の芸術観に触れる。その後、植物学者アルマン・クラヴォーとの交流を通して顕微鏡下にうごめく生命の神秘や、哲学、文学に興味を持つ。

 オディロン・ルドン《自画像》1867年 オルセー美術館
© RMN-Grand Palais (Musée d’Orsay) / Hervé Lewandowski/ distributed by AMF

 

 パリでジャン=レオン・ジェロームに師事し、さらにボルドーでロドルフ・ブレスダンからは版画を学んだ。

 画業の前半期は木炭画や版画を中心にモノクロームの作品を発表した。1890年代以降はパステルや油彩絵具による色彩豊かな作品へと移行。国内外で評価やコレクターを獲得するとともに、各国文学者や次世代の芸術家たちに影響を与えた。1916年パリで没。

 日本でも存命中の明治末頃から紹介され、今日に至るまで、洋画家に限らず日本画家や文学者、音楽家、漫画家まで、様々なジャンルの芸術家たちに刺激を与えている。

オディロン・ルドン《眼をとじて》1890年 個人蔵(フジカワ画廊協力)

開催概要

展覧会名:「清流の国ぎふ」文化祭2024 PARALLEL MODE:オディロン・ルドン-光の夢、影の輝き-
会  場:岐阜県美術館 展示室3
会  期:2024年9 月27日(金)~12月8日(日)10:00~18:00
休 館 日:毎週月曜日(祝 ・休 日の場合は翌平日)
※夜間開館日の10月18日(金)、11月15日(金)は午後8時まで
※展示室の入場は閉館の30分前まで
料  金:一般 1,500(1,400)円 大学生 1,200(1,100)円 高校生以下無料
( )内は20名以上の団体料金
※身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳、特定医療費(指定難病)受給者証の交付を受けている方および、その付き添いの方(1名)は無料
◆山本芳翠展/オディロン・ルドン展共通券
一 般 2,000円 大学生 1,600円
※共通券は団体割引なし
主  催:岐阜県美術館
共  催:岐阜新聞社、岐阜放送、中日新聞社
協  力:日本航空、日本通運
後  援:在日フランス大使館、アンスティチュ・フランセ日本、朝日新聞社、NHK岐阜放送局、日本経済新聞社岐阜支局

オディロン・ルドン《絶対の探求・・・哲学者》1880年 岐阜県美術館

見どころ

近年世界中で続いたルドン展のトリとして開催されるアジア・オセアニア地域過去最大規模の展覧会
 リーマンショック以降、激変する時代が求めた画家として、ルドン評価についての研究が進んだ。2010年のフランスでのルドン展以降、スイスのバイエラー財団やヴィンタートゥール美術館、オランダのクレラー=ミュラー美術館やゴッホ美術館、米国のニューオーリンズ美術館等、各国で、ルドンの芸術が最終的にどこに向かっていったのか、その問いに答える展覧会が行われてきた。本展は、こうした世界的なルドンブームの中、アジア・オセアニア地区で開催される展覧会として、過去最大規模のものとなる。

石版画集すべてが揃う初の機会
 ルドンの全画業を紹介する回顧展として、ルドンが生涯に制作した石版画集をすべて展示。特に創造の源泉である『起源』が揃いで展示されるのは今回が初めとなる。

オディロン・ルドン《起源 1.おぼろげな物質の奥底で生命が目覚めた時》1883年
フランス国立図書館 ©Bibliothèque nationale de France

オディロン・ルドン《起源 8.そして人間が現れた。彼が出てきた。彼を引き寄せる大地に訊ねなが
ら、暗い光に向かって道を切り開いていった》1883年 フランス国立図書館
©Bibliothèque nationale de France

新旧の画材と技法による表現への挑戦—木炭からパステル・油彩へ
 石版画とともに前半期の「ノワール(黒)」の時代に制作したのは木炭画だったが、1890年代以降、ルドンはパステル画と油彩画の制作に挑む。本展では、ルドンの中にある創造性が、異なる描画材料によって具体的に表現されていく姿に迫る。

日本人画家が愛したルドン作品
 ルドンの芸術は日本でも生前から紹介され、美術のみならず文学や音楽など、幅広い分野で影響を与えてきた。本展覧会では、土田麦僊や竹内栖鳳ら日本画家や、岡鹿之助、須田国太郎、伊藤清永ら洋画家が手元に置いていたルドン作品に注目する。

オディロン・ルドン《ダブル・プロフィル》制作年不詳 岐阜県美術館

新収蔵作品のお披露目を含む、岐阜県美術館のルドンコレクションを全て公開する初の機会
 岐阜県美術館が所蔵するオディロン・ルドン作品256点が展覧会で一挙公開されるのは今回が初めての機会となる。40年間に収集してきた作品と共に新収蔵作品《窓》をお披露目する。

オディロン・ルドン《窓》1906年頃 岐阜県美術館

ルドン展 ×アートまるケット ルドン晩年の大作にアプローチするプロジェクト
 ルドン展開催にあわせ、岐阜県美術館のアートプロジェクト「アートまるケット」が世界に飛び出した。ルドンが晩年に南仏のフォンフロワド修道院図書室のために制作した大作《昼》と《夜》の世界を、アーティストで岐阜県美術館長の日比野克彦が岐阜県美術館につなぐ。会期中にはルドンの絵画世界から日比野克彦が感じたイメージをライブペインティングによって鑑賞者に伝える。

オディロン・ルドン《若き日の仏陀》1905年 京都国立近代美術館

関連プログラム

ルドン×アートまるケット
「日比野克彦ライブペインティング avec VR ルドン/脳はダマせても 身体はダマされない# 03」
日時:2024年9月27日(金)13:00-18:00、28日(土)11:00-18:00、10月6日(日)15:00-18:00、 11月3日(日)10:00-12:00
会 場:岐阜県美術館 多目的ホール
出 演:日比野克彦(アーティスト、岐阜県美術館館長、東京藝術大学学長)

記念講演会「オディロン・ルドン―メドックの光の中で」
日 時:2024年10月27日(日)14:00-15:30
会 場:岐阜県美術館講堂
講師: 高橋明也氏(ルドン展監修者、東京都美術館館長)

記念講演会「ルドンさんに会ってきました」
日 時:2024年11月3日(日)15:30-16:30
会 場:岐阜県美術館多目的ホール
担 当:日比野克彦(アーティスト、岐阜県美術館館長、東京藝術大学学長)

美術講座「オディロン・ルドンと日本」
日 時:2024年11月17日(日)14:00-15:00
会 場:岐阜県美術館講堂
担 当:松岡未紗岐阜県美術館学芸員

ナンヤローネ アートツアー
日 時:2024年11月24日(日)14:00-15:30
会 場:岐阜県美術館 多目的ホール、展示室3
備 考:要事前申込み、要観覧券、詳細は、岐阜県美術館ウェブサイトで確認

ギャラリートーク
日 時:2024年11月15日(金)18:00-18:45
会 場:岐阜県美術館展示室2・3
担 当:松岡未紗岐阜県美術館学芸員

同時開催

PARALLEL MODE:山本芳翠 -多彩なるヴィジュアル・イメージ-
2024年9月27日(金)〜12月8日(日)
アートまるケット 「つなぐ人 日比野克彦」
2024年9月27日(金)〜12月8日(日)

最新情報をチェックしよう!
>文化とメディア—書くこと、伝えることについて

文化とメディア—書くこと、伝えることについて

1980年代から、国内外で美術、演劇などを取材し、新聞文化面、専門雑誌などに記事を書いてきました。新聞や「ぴあ」などの情報誌の時代、WEBサイト、SNSの時代を生き、2002年には芸術批評誌を立ち上げ、2019年、自らWEBメディアを始めました。情報発信のみならず、文化とメディアの関係、その歴史的展開、WEBメディアの課題と可能性、メディアリテラシーなどをテーマに、このメディアを運営しています。中日新聞社では、企業や大学向けの文章講座なども担当。現在は、アート情報発信のオウンドメディアの可能性を追究するとともに、アートライティング、広報、ビジネス向けに、文章力向上ための教材、メディアの開発を目指しています。

CTR IMG