名古屋市美術館が2024年度の展覧会スケジュールを発表した。
☆特別展 𠮷本作次 絵画の道行き 2024年4月6日~6月9日
1980年代、美術の分野において、空間を演出するインスタレーションという展示形式が隆盛していく中、大画面に「物語」を紡ぐ具象絵画の一群が現れた。「絵画の復権」を強く印象づけた国際的な動向でもある“ニュー・ペインティング”の流れに乗り、名古屋において鮮烈なデヴューを果たしたのが画家・𠮷本作次(1959年、岐阜県生まれ)である。うねりを伴う力強いストローク(筆触)と重厚な質感、それとは対照的なグラフィカルなイメージや浮遊するような形態が展開する大画面の作品で注目を集めた。1990年代以降は、新たな表現の模索のためドローイングを繰り返し、中国絵画の筆法から「線」の要素を取り入れていく。またルネサンス以降のヨーロッパ絵画の主題と構図に着目し、静けさとダイナミズムを併せ持つ表現と寓話的画題へ変貌を遂げた。2005年からは名古屋芸術大学教授を務め、絵画論の講義を担当するなど、理論と実技指導の両面から後進の育成にあたっている。本展では、絵画、ドローイングあわせて約200点の作品を通して、1980年代以降の日本の現代美術における絵画の展開を知る上でも欠くことのできない存在である画家の独自の「道行き」を紹介する。
☆名品コレクション展Ⅰ エコール・ド・パリ:藤田嗣治/メキシコ・ルネサンス:英雄と民衆/現代の美術:桑山忠明・村上友晴/郷土の美術:中村正義・平川敏夫生誕100年 2024年4月6日~6月9日
☆生誕130年記念 北川民次展 ―メキシコから日本へ 2024年6月29日〜9月8日
北川民次(1894-1989年)の約30年ぶりとなる大規模な回顧展。1920-30年代のメキシコで、画家、美術教育者として活動し、日本への帰国後は、東京や愛知を拠点に、洋画壇で活躍。子供の美術教育に携わり、壁画制作にも挑んだ。本展では、彼がメキシコ時代に交流した作家や美術運動との関わりも視野に入れながら、北川がメキシコで学び、帰国後も大事に持ち続けたものを再考する。約180点の作品と資料によって、洋画家、壁画家、絵本制作者、美術教育者など、多彩な側面を持つ作家の実像に迫る展覧会となる。
☆民藝 MINGEI―美は暮らしのなかにある 2024 年 10月5日~12月22日⇒公式サイト
日々の暮らしの中で使われる器、衣類、道具などに美を見出し、素材や作り手に思いを寄せる。約100年前に思想家・柳宗悦が説いた民衆的工藝「民藝」のコンセプトは、今も私たちの日常を心豊かなものにしてくれる。本展では、美しい民藝の品々約150件を展示。いまに続く民藝の産地の作り手の仕事や、民藝を取り入れた現代のライフスタイルをインスタレーションによって紹介し、民藝の広がり、今、そしてこれからを展望する。
☆特集 西方寺所蔵 棟方志功襖絵 2024年10月5日〜12月22日
棟方志功は昭和11(1936)年、柳宗悦と出会い、以後、柳を生涯の師として仰いだ。愛知県清須市西枇杷島町小田井にある西方寺には、戦後間もない昭和21(1946)年に棟方志功が描いた襖絵が残されている。柳とともに民藝運動に取り組んだ水谷良一が西方寺の檀家であった縁による。同館寄託の、この襖絵を展示する。
☆空想旅行案内人 ジャン=ミッシェル・フォロン 2025年1月11日~3月23日
ジャン=ミッシェル・フォロン(1934-2005年)は、ベルギーが生んだユニークなアーティスト。雑誌の表紙や挿絵で評価を得た後、ポスターや舞台美術、壁画、そして彫刻も手がけるなどマルチな活躍をみせた。詩的でユーモアに富み、やわらかな色彩と軽やかなタッチで表現されたその作品は、みる人を空想の旅へと連れ出してくれる。フォロンの没後20年を記念する本展では、多彩な作品によって、そのあたたかく深遠な魅力を紹介する。
☆博物館連携事業 なごやのうつりかわり 2025年1月11日~3月23日