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愛知芸術文化センター愛知県美術館・オリジナル映像作品 ミヤギフトシ『音と変身/Sounds, Metamorphoses』初公開

ミヤギフトシ『音と変身/Sounds, Metamorphoses』初公開

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 愛知芸術文化センター愛知県美術館のオリジナル映像作品の第29作、ミヤギフトシさんによる『音と変身/Sounds, Metamorphoses』(2020 年、58 分13 秒)が2020 年10 月3 日午後1時半から、愛知芸術文化センター12 階アートスペースAで初公開される。入場無料。

 天正遣欧少年使節を主なモチーフとした映像で、「あいちトリエンナーレ2016」出品の《いなくなってしまった人たちのこと/The Dreams that have Faded》(2016 年)の続編として制作された。

 主催は愛知県美術館。定員は180人で先着順。

アートフィルム・フェスティバルは順延

 2020年11 月27 日~12 月6 日に予定していた「第25 回アートフィルム・フェスティバル」は、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため開催を順延。来年度に、より安全な形での開催を目指す。

 今回の上映は、新型コロナウイルスの感染予防策を講じた上で実施。来年度、「アートフィルム・フェスティバル」など、本年度に延期・中止されたイベントを本格的に再開するための試行にもなる。

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『音と変身』の題材は天正遣欧少年使節

 ミヤギフトシさんの最新映像作品『音と変身/Sounds, Metamorphoses』は、「あいちトリエンナーレ2016」で発表された映像インスタレーション《いなくなってしまった人たちのこと/The Dreams that have Faded》(2016 年)の続編として構想されている。

 《いなくなってしまった人たちのこと》は、トリエンナーレ出品後、国内外での展示の機会に際し、音が加えられるなど、作品自体が発展を遂げた。

 『音と変身』の主たるモチーフは、16 世紀にヨーロッパに渡り帰国した最初の日本人とされる天正遣欧少年使節で、それに、第二次世界大戦後、最初のフランスへの留学生となった作家、遠藤周作や、沖縄県出身のミヤギさんが米国に留学した体験なども重ね合わされている。

 また、少年使節が帰国後、豊臣秀吉に謁見し、演奏したと伝えられる西洋音楽がどんな曲だったかについての探求も、本作の重要なポイントになっている。

ミヤギフトシさん略歴

 1981年、沖縄生まれ。東京を拠点に活動。

 主な個展に「How Many Nights」(2017 年、ギャラリー小柳、東京)、「American Boyfriend: Bodies of Water」(2014 年、京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA)がある。

 「日産アートアワード2015」ファイナリスト、第44 回「木村伊兵衛賞」ノミネート作家に選ばれる。
 
 2019 年、初の小説『ディスタント』(河出書房新社)を出版。

 近年参加した企画展に、「小さいながらもたしかなこと 日本の新進作家vol.15」(2018 年、東京都写真美術館)、「予兆の輪郭」(2019 年、トーキョーアーツアンドスペース)、「話しているのは誰? 現代美術に潜む文学」(2019 年、国立新美術館)などがある。

第30 作は、SHIMURAbros(シムラブロス)を制作作家に選出

 愛知芸術文化センター愛知県美術館・オリジナル映像作品の第30 作について、「愛知県美術館美術品収集委員会・オリジナル映像部会」が2020年1 月7 日に開かれ、制作作家を、SHIMURAbros(シムラブロス)に選んだ。

 本来なら、2020年4 月から制作を開始する予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大を考慮し、本年度は安全な制作体制を組むための準備期間に充てる。本格的な制作は来年度になる。

SHIMURAbros(シムラブロス)略歴

 SHIMURAbros は、ユカ(1976 年生まれ。多摩美術大学卒後、英国セントラル・セント・マーチンズ大学院で修士号を取得)とケンタロウ(1979 年生まれ。東京工芸大学映像学科卒)による姉弟ユニット。

 「第13 回文化庁メディア芸術祭」(平成21 年度、2009 年)で《SEKILALA》が優秀賞を受賞。カンヌやベルリン国際映画祭での上映をはじめ、国立新美術
館(東京)、シンガポール国立大学美術館、南洋理工大学現代アートセンター(シンガポール)、台北当代芸術館、ヘッセルミュージアムオブアート、CCS バードギャラリー(ニューヨーク)、バース現代美術館(オーストラリア)、ミュージアムクォーターウィーン、Asia Culture Center(ACC、韓国)、ハンブルガー・バーンホフ現代美術館(ベルリン)など、世界各地で作品を展示する。

 2017 年、『ArtReview』誌(Asia)フューチャーグレートに選出される。

 近年では、恵比寿映像祭に出品(2018 年、東京都写真美術館)、ゲーテインスティチュートのコミッションで短編《EVACUATION》を制作(2019 年)。2014 年にポーラ美術振興財団在外研究助成を得て、拠点をベルリンに移し、現在はオラファー・エリアソンのスタジオに研究員として在籍する。

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文化とメディア—書くこと、伝えることについて

1980年代から、国内外で美術、演劇などを取材し、新聞文化面、専門雑誌などに記事を書いてきました。新聞や「ぴあ」などの情報誌の時代、WEBサイト、SNSの時代を生き、2002年には芸術批評誌を立ち上げ、2019年、自らWEBメディアを始めました。情報発信のみならず、文化とメディアの関係、その歴史的展開、WEBメディアの課題と可能性、メディアリテラシーなどをテーマに、このメディアを運営しています。中日新聞社では、企業や大学向けの文章講座なども担当。現在は、アート情報発信のオウンドメディアの可能性を追究するとともに、アートライティング、広報、ビジネス向けに、文章力向上ための教材、メディアの開発を目指しています。

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