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ミケル・バルセロ展 三重県立美術館で8月14日-10月24日

スペインのマジョルカ島の風景より

世界を魅了するスペインの天才 日本初の回顧展

 大自然を着想源に独創的でダイナミックな作品を手がけ、国際的に活躍するスペインの現代アーティスト、ミケル・バルセロの全貌に迫る展覧会が2021年8月14日~10月24日、津市の三重県立美術館で開催される。ミケル・バルセロの日本初となる大規模な回顧展。

  アフリカの大砂漠、アルプスやヒマラヤの高地など、世界中の、時に過酷な環境下に滞在。土地特有の文化や風土を取り込みながら、豊かな感受性で力みなぎる芸術へと高めるスペイン現代美術界の巨匠である。

ミケル・バルセロ展
ミケル・バルセロ《下は熱い》 2019年 作家蔵 🄫ADAGP, Paris&JASPAR, Tokyo, 2021. Photograph: 🄫Agustí Torres 転載禁止

 初期から現在までの絵画作品に加え、彫刻や陶芸など90点以上を展示。多彩な芸術活動の全容を紹介する。

 国立国際美術館、長崎県美術館を経て、三重に巡回。その後、東京オペラシティアートギャラリーでも展示される。

 ミケル・バルセロは1957年、スペインのマジョルカ島生まれ。1982年、ドイツ・カッセルでの国際美術展「ドクメンタ7」に参加し、以後、世界各地で展覧会を開いてきた。

ミケル・バルセロ展
ミケル・バルセロ《とどめの一突き》 1990年 作家蔵 ©ADAGP, Paris&JASPAR, Tokyo, 2021. Photograph: 🄫André Morin 転載禁止

 絵画、彫刻、陶芸、版画、パフォーマンスなど、ジャンルを越えて、大胆かつ繊細な作品を発表。マジョルカのパルマ大聖堂内礼拝堂装飾やスイス・ジュネーヴの国連会議場の天井画など壮大なプロジェクトも実現させた。

 アフリカの砂漠地帯やヒマラヤの高地にも赴き、大自然との交感を着想源に芸術活動を展開。大地と海、動植物、闘牛などをテーマとした作品を生み出している。

 中でも巨大な絵画作品は、スケールのみならず、塗り固められたさまざまな素材やカンヴァスのしわによる凹凸によって、圧倒的な存在感で迫る。

ミケル・バルセロ展
ミケル・バルセロ《海のスープ》 1984年 作家蔵 🄫ADAGP, Paris&JASPAR, Tokyo, 2021. Photograph: 🄫André Morin 転載禁止

展覧会のみどころ

初期の作品から近作まで展示

 《海のスープ》(1984年)に代表される貴重な初期作品から、90年代の傑作《とどめの一突き》(1990年)や、近年描かれた《下は熱い》(2019年)などの絵画、コロナ禍に描かれた最新のスケッチブック《COVIDのノート》(2020年)までを展示。バルセロの制作活動の全容を紹介する。

巨大な絵画作品

 絵画の中には、一辺の長さが3メートルに達する巨大な作品もある。表面には、さまざまな素材が塗り込められ、カンヴァスにしわがつけられるなど、立体的な表現がされている。印刷物ではわからない作品の存在感に圧倒されるだろう。

ブリーチ・ペインティングによる不思議な肖像画作品

ミケル・バルセロ展
ミケル・バルセロ《マルセラ》 2011年 作家蔵 🄫ADAGP, Paris&JASPAR, Tokyo, 2021. Photograph: 🄫André Morin 転載禁止

 バルセロは画面に塗られた絵具を脱色(ブリーチ)することによって、人物像をぼ んやりと浮かび上がらせるブリーチ・ペインティングという独自の表現を生み出した。脱色の効果が現れるまでイメージを確認することができず、描いている間は作家本人でさえ、どのような結果になるかわからない。

独特な陶作品

 立体的な絵画作品を手がけるバルセロにとって、陶芸は絵画の延長線上にある。粘土を叩いたり、踏みつけたり、裂いたり、穴をあけたりしてから窯で焼く。焼きあがった作品には、ひび割れや亀裂、歪みが生じる。バルセロは、こうした作品の表面についた痕跡を魚や馬、植物などのイメージに変容させる。

展覧会概要

会期=2021年8月14日(土)~10月24日(日)
開館時間=9:30~17:00(入館は16:30まで)
休館日=月曜日(2021年9月20日は開館)、9月21日(火)
観覧料=一般1,000(800)円/学生800(600)円/高校生以下無料
*( )内は前売り、20人以上の団体割引料金
*美術館のコレクション、柳原義達記念館も観覧できる。

ミケル・バルセロ展
ミケル・バルセロ《歩くフラニ族》 2000年 作家蔵 🄫ADAGP, Paris&JASPAR, Tokyo, 2021. Photograph: 🄫André Morin 転載禁止

関連イベント

 今後の状況に応じて情報が変更となる場合があります。最新情報は美術館ホー ムページをご確認ください。

(1)記念講演会「大地と海、命と死―世界の根源へ」

日時:10月17日(日)14時から15時30分まで= 8月28日(土)から変更
講師:山梨俊夫(本展監修者、前国立国際美術館館長)
会場:美術館講堂
定員:40名
参加費無料、先着順、13時に開場する。

(2)記念講演会「スペイン20世紀美術の流れ―ピカソからバルセロまで―」

日時:9月26日(日)14時から15時30分まで
講師:松田健児(慶應義塾大学准教授)
会場:美術館講堂
定員:40名
参加費無料、先着順、13時に開場する。

ミケル・バルセロ展
ミケル・バルセロ《カピロテを被る雄山羊》2006年 作家蔵 🄫ADAGP, Paris&JASPAR, Tokyo, 2021. Photograph: 🄫Galerie Bruno Bischofberger 転載禁止

(3)担当学芸員によるスライド・トーク

日時:10月9日(土)14時から14時30分頃まで
会場:美術館講堂
定員:40名
参加費無料・先着順
13時30分に開場する。

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文化とメディア—書くこと、伝えることについて

1980年代から、国内外で美術、演劇などを取材し、新聞文化面、専門雑誌などに記事を書いてきました。新聞や「ぴあ」などの情報誌の時代、WEBサイト、SNSの時代を生き、2002年には芸術批評誌を立ち上げ、2019年、自らWEBメディアを始めました。情報発信のみならず、文化とメディアの関係、その歴史的展開、WEBメディアの課題と可能性、メディアリテラシーなどをテーマに、このメディアを運営しています。中日新聞社では、企業や大学向けの文章講座なども担当。現在は、アート情報発信のオウンドメディアの可能性を追究するとともに、アートライティング、広報、ビジネス向けに、文章力向上ための教材、メディアの開発を目指しています。

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