名古屋画廊(名古屋)2023年10月13〜21日
桑山忠明さんを偲んで
2023年8月に米国の病院で脳出血のため死去した美術家、桑山忠明さんの追悼展が2023年10月13〜21日、名古屋画廊で開催されている。
1932年、名古屋市出身で、ニューヨークを拠点に国際的に活躍した。91歳。記事「名古屋市出身、ミニマルアートの桑山忠明さんが死去 91歳」も参照。
東京芸術大学では日本画を学んだ。1958年に渡米。個展は、神奈川県立近代美術館 葉山(2012年)、国立国際美術館(大阪、2011年)、金沢21世紀美術館(2011年)、 名古屋市美術館(2010年)、ルペルティヌム近代美術館(ザルツブルグ、2000年)、川村記念美術館、千葉市美術館(いずれも1996年)、北九州市立美術館(1985年)など。
名古屋画廊では、2013、2021、2022年に個展を開いている。
追悼展
追悼展では、1960年代から1989年までの11点が展示された。各年代によって、桑山さんが様々な素材を使っていたことが分かる。
日本画から出発した桑山さんが、渡米後2、3年ほどしか経っていない頃に制作した初期の1960-61年の作品では、日本画の顔料を使用。
画面の下のほうに絵具がたれて流れた痕跡があり、まだ、ミニマルな印象はない。支持体は、ボードやキャンバスに和紙を貼っている。
60年代も半ばを過ぎると、アクリル・ペイントの明快な色彩の色面絵画となる。筆跡がなく、アルミニウムで十文字に分割された構造である。
平面性や明瞭さ、幾何学性、対称性など、桑山さんも参加し、1966年にグッゲンハイム美術館で展覧会が開かれた「システミック・ペインティング」の特徴を備えている。
70年代の作品では、メタリック・ペイント、80年代は油彩が使われる。
桑山さんは1990年代以降、無機的なパネルや立体物を空間に反復させるインスタレーションへと移行するが、少ない点数ながら、それ以前の展開が確認できる展示になっている。