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横浜 BankART(バンカート)「心ある機械たちagain 」展 武藤勇らが出品

  • 2020年1月30日
  • 2020年1月30日
  • 美術

 横浜市のBankART Station、BankART SILKの2カ所で、2019年12月28日〜2020年2月2日、「心ある機械たちagain」展が開かれている。2008年に当時のBankART1929で開催された「心ある機械たち」展から、10年余りを経て企画。機械と心という相反する言葉を結び合わせたテーマに沿って、役に立つとは言えないながら、黙々と動き、憎めないアートたちが集められた。コンピューターや人工知能などが興隆する中、展示された機械はと言えば、ローテクで、「でくのぼう」のような存在。最新テクノロジーに依存しないだけに、愛嬌とユーモアにあふれ、表情豊かに鑑賞者とコミュニケーションを取ってくれる。

 出品したのは、牛島達治さん、タムラサトルさん、西原尚さん、片岡純也さん、小林椋さん、川瀬浩介さん、早川祐太さん、今村源さん、武藤勇さん、三浦かおりさん。また、2008年の「心ある機械たち」展で、自動演奏するピアノのオブジェを出品した故・田中信太郎さん(2019年8月死去)の追悼展示コーナーも設けられた。

 名古屋を拠点に1998年から20年余、N-markの代表として多彩なアートプロジェクトを展開してきたアーティスト、武藤勇さんは、両会場に作品を展開。BankART Stationに展示した「全自動土下座珈琲」は、なんとも笑える作品だった。壁の電光看板には、「手膝を地面に」「顔を上げ祈れ」「頭を下げよ」「怒りを鎮めよ」「珈琲を飲め」と作法を掲示。訪れた人がそれに従い、土下座をすると、前にある祭壇のような台に置かれた小型の紙コップ式自販機が螺貝の音響とともに動き出し、珈琲を入れてくれる。
 「怒りを鎮めよ」というのも、何かと世の中で寛容さが失われ、苛立つことが増えている世相を反映する。ご丁寧に自販機には、おどろおどろしいペインティングが施されている。座るところに書かれた説明書きの「あなたの土下座とコーヒーを交換します」「体格や状況によって土下座をしてもコーヒーが出てこない場合があります」も笑える。筆者が訪れたときも、家族連れが体験し、盛り上がっていた。
 武藤さんは、BankART SILKの会場にも、コインを入れると台の上の壺が動きだす作品「不測の事態」などを展示した。武藤さんの作品は、ユーモアとともに人間心理や社会慣習、常識、時代意識と関わるところがある。


武藤勇
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文化とメディア—書くこと、伝えることについて

1980年代から、国内外で美術、演劇などを取材し、新聞文化面、専門雑誌などに記事を書いてきました。新聞や「ぴあ」などの情報誌の時代、WEBサイト、SNSの時代を生き、2002年には芸術批評誌を立ち上げ、2019年、自らWEBメディアを始めました。情報発信のみならず、文化とメディアの関係、その歴史的展開、WEBメディアの課題と可能性、メディアリテラシーなどをテーマに、このメディアを運営しています。中日新聞社では、企業や大学向けの文章講座なども担当。現在は、アート情報発信のオウンドメディアの可能性を追究するとともに、アートライティング、広報、ビジネス向けに、文章力向上ための教材、メディアの開発を目指しています。

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