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コレクションによる特別展示「ルックバック:近代 洋画」三重県立美術館で2025年4月26日-7月6日に開催 

松本竣介《建物》 1947年頃 三重県立美術館蔵

約100点で近代美術の魅力に迫る

 三重県立美術館で2025年4月26日〜7月6日、コレクションによる特別展示「ルックバック:近代 洋画」が開催される。

 幕末から明治にかけ、西洋の技法や思想を取り入れ、独自の展開を遂げた日本の油彩画=「洋画」。近代日本における洋画家たちの80年間の奮闘を館所蔵の約100点で振り返る。

 日本が急速に近代化を推し進めた19世紀後半、西洋からはさまざまな技術や思想がもたらされた。幕末から明治初期には、西洋風の絵画を志す画家が次々と出て、油絵をはじめとする西洋式の絵画の学習が本格的に進んだ。

 明治期には、美術を専門的に学ぶための学校や画塾も創設。海外に出て絵画を学ぶ者も現れ、西洋画は新来の絵画として発展していった。

藤島武二《大王岬に打ち寄せる怒濤》 1932年 三重県立美術館蔵

 彼らが描いた絵は、もともと日本にあった伝統的な画法を用いた「日本画」と対になって、「洋画」とよばれるようになった。

 画家たちは近代という大きなうねりの中、西洋から多くを学びつつ、試行錯誤を重ねながら、日本独自の洋画を生み出してきた。

 三重県立美術館では、洋画を収集方針のひとつに掲げて調査研究し、洋画や洋画家に焦点をあてた展覧会を数多く開催してきた。

 本展覧会では、同館のコレクションの中でも重要な位置を占める洋画を軸に、明治から昭和前期までを振り返り、近代美術の魅力に迫る。

川村清雄《梅と椿の静物》 制作年不詳 三重県立美術館蔵

展覧会概要

会  期:2025年4月26日(土)から7月6日(日)まで
会  場:三重県立美術館企画展示室
開館時間:午前9時30分から午後5時まで(入館は午後4時30分まで)
休 館 日:毎週月曜日(ただし5月5日は開館)、5月7日(水)
主  催:三重県立美術館
助  成:公益財団法人三重県立美術館協力会
観 覧 料:一般700(500)円 学生600(400)円 高校生以下無料
( )内は20名以上の団体割引料金
・2階常設展示室「美術館のコレクション」、柳原義達記念館も見ることができる。
・生徒、学生は生徒手帳、学生証等を提示。
・障害者手帳等(アプリ含む)のある人および付き添いの1名は観覧無料。
・教育活動の一環として県内学校(幼・小・中・高・特支)および相当施設の生徒等が来館する場合、引率者も観覧無料(要申請)。
・毎月第3日曜の「家庭の日」(5月18日、6月15日)は団体割引料金で見ることができる。

佐伯祐三《サンタンヌ教会》 1928年 三重県立美術館蔵

各章の見どころ

本展は5章で構成。
見どころ① ひらけ近代、めざめよ洋画!
 幕末から明治にかけて急速に西洋式の絵画の学習が進み、日本独自の「洋画」が芽生え始める。最初の章では、西洋に学んだ写実的な絵画と日本の伝統的な絵画のあいだで揺らぐ作品、また当時の社会の様子を伝える作品を紹介する。
見どころ② 洋画を学ぶ、だれかとどこかで
 明治期には、官立の美術学校や官営の展覧会が設立され、国が主導するかたちで美術の制度が整えられていく。洋画を志す美術家たちの多くはこうした美術学校で学び、官設の展覧会に出品することで画家としての活動を展開した。また、絵画習得を目的に渡欧する美術家たちも次第に増えていく。
見どころ③ 個性きらめく、明治末から大正期の洋画
 明治後期から大正期には、大衆が政治や社会のあり方を変えようとする、いわゆる大正デモクラシーが起きた。個性や自由を賛美し、新たな時代を拓こうとする動きは美術界にも広がりを見せ、若い美術家たちは個々の表現を追求し、個性的な作品を創り上げた。

見どころ④ ふらんすへ行きたし! パリに学んだ洋画家たち
 第一次世界大戦の終結後、1920年代から30年代にかけて、多くの日本人美術家たちがパリへと向かう。大量の作品と実際に向き合い、彼らは西洋絵画の伝統を目の当たりにし、打ちのめされ、乗り越えようと努める。その過程で、日本独自の洋画とは何かと追求する動きが広がった。
見どころ⑤ 洋画の成熟、戦争と美術界
 昭和前期には、明治期に洋画を学び始めた画家たちが壮年期を迎え、洋画界の巨匠と称されるようになった。また、ヨーロッパからもたらされた前衛的な美術運動が若い世代を中心に熱狂的に迎え入れられる。しかし、時代はアジア太平洋戦争へと突入し、美術家たちにとっても苦しい時期が続いた。幕末・明治初期の西洋美術の到来から約80年、美術家たちが近代という時代をいかに向き合ったかを振り返る。

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