2024-2025年の黒田辰秋展
《京都国立近代美術館》
☆「生誕120年 人間国宝 黒田辰秋―木と漆と螺鈿の旅―」 2024年12月17日~ 2025年3月2日
京都を拠点に活躍した黒田辰秋は昭和45(1970)年に木工芸の分野において初めてとなる重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定された日本を代表する木漆工芸家である。その制作は、当時一般的であった分業制に疑問を持ち、図案制作、素地作りから加飾までを一貫して自身で行うもので、実用性と装飾性、素材の特性を一体化させたところに独自の創作世界を切り開いた。本展は、黒田の生誕120年を記念して開催。初期から晩年までの代表作を通じて日本工芸史に確かな足跡を残した作家の生涯を紹介する。
《豊田市美術館》
☆生誕120年 黒田辰秋展 2025年3月15日〜5月18日
戦前から戦後にかけて活躍した、木漆工芸家・黒田辰秋(1904-1982)の生誕120年の記念展。特定の師をもたず国内外の古典研究を通じて漆芸の道を求めた黒田は、造形力と多様な技法に長じていたことで知られている。河井寬次郎を通じて知己を得た柳宗悦の薫陶を受け、上賀茂民藝協團に参加し民藝運動の一翼を担った経験をはじめ、川端康成、志賀直哉、白洲正子、武者小路実篤など恵まれた交友関係も黒田の創作活動を充実させた。また伝統的な漆芸の分業制度に疑問を持ち、素材の選定から木工による支持体の制作までを担う一貫制作を選択したことが、黒田に多くの文人墨客、好事家たちに愛された、大胆で力強い独特の作風をもたらしたといえる。高い技量と造形力により独自の足跡を工芸史に残した黒田は、1970年に木工芸の分野で初めて重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定された。本展では艶やかな塗り、曲線や捻りが生み出す大胆な造形の拭漆、耀貝(メキシコ鮑)により新たな境地を開いた螺鈿などによる初期から晩年までの黒田の代表作に加え、図面や未発表資料も併せて展観。家具等の大作から掌で愛でる逸品まで、多彩な作品を通じて黒田辰秋の作品世界の真髄にせまる。