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京都国⽴近代美術館 「⽣誕100年 清⽔九兵衞/六兵衞」7月30日-9月25日に開催

  • 2022年8月5日
  • 2023年7月26日
  • 美術

清⽔九兵衞と七代六兵衞の創作活動の全体を回顧する初の展覧会

 京都国⽴近代美術館で2022年7⽉30⽇〜9⽉25⽇、「⽣誕100年 清⽔九兵衞/六兵衞」が開催されている。

 「九兵衞」「六兵衞」などと名前を変え、彫刻、陶芸という異なる分野で制作した作家、清⽔九兵衞/六兵衞(1922-2006年)の全体像を回顧する初めての試みである。

 清⽔九兵衞/六兵衞は1922年、名古屋市⽣まれ。復員後、東京藝術⼤学⼯芸科鋳⾦部などで学び、1951年に六代清⽔六兵衞の養嗣⼦となり陶芸の道に進んだ。

 陶芸家としての評価が⾼まる⼀⽅で、「もの」と周囲の空間に対する関⼼から、1966年に初めて彫刻作品を発表。1968年以降、「九兵衞」を名乗り、アルミニウムを主な素材に、彫刻家として、構造と素材、空間などとの親和性(アフィニティ)を追求した。

 その後、1980年の六代六兵衞の急逝を受け、七代六兵衞を襲名。⼟の性質や焼成によるゆがみを意図的に⽤いた陶芸作品を制作し、陶とアルミを組み合わせた作品、和紙やクリスタルガラスによる作品など、新たな造形へと展開させた。

 本展は、陶芸、彫刻のほか、写真、図⾯やマケットなど、約170件の作品、関連資料を通じて、その⽣涯を回顧する。

開催概要

会  期:2022年7⽉30⽇(⼟)〜9⽉25⽇(⽇)
 ※会期中に⼀部展⽰替えがある
開館時間:午前10時〜午後6時(⾦曜⽇は午後8時まで)
 ※⼊館は閉館の30分前まで
休 館 ⽇:⽉曜⽇、9⽉20⽇(⽕)
 ※ただし9⽉19⽇(⽉・祝)は開館
観 覧 料:⼀般:1,200(1,000)円 ⼤学⽣:500(400)円
 ※( )内は20名以上の団体、 夜間開館時(⾦曜17時以降)の夜間割引料⾦
 ※⾼校⽣以下、18歳未満は無料
 ※⼼⾝に障がいのある⽅と付添者1名は無料
 ※⺟⼦家庭、⽗⼦家庭の世帯員の⽅は無料
 ※本料⾦でコレクション展も見ることができる

見どころ

清⽔/九兵衞/七代六兵衞における陶芸と彫刻をつないで紹介する初めての展覧会

 清⽔は、⽣涯のうちにさまざまに名前を変え(洋⼠、洋、裕詞、五東衞、九兵衞、六兵衞)、彫刻、陶芸という異なる分野で作品を発表した。

 本展は、⽴体造形作家としての表現を俯瞰することが難しい中、九兵衞と六兵衞を⼀本の軸でつなぎ、その全体像を概観する初めての試みである。

「五東衞」として初めて発表した「彫刻」作品を再検証

 1966年の「三浦景⽣・五東衞展 染と微動鋳体」(養清堂画廊)で、清⽔は「五東衞」の名で初めて彫刻作品を出品した。

 これまでは、⾦属彫刻のみが展⽰されたと考えられていたが、調査の過程で、⾦属彫刻のほかに、陶器4点、⽊彫1点も出品されていたことが判明した。

 本展では、出品作のうち、⾦属彫刻1点、陶器4点、⽊彫1点を紹介することで、彫刻家へと転進する時期の創作活動を再検証する。

彫刻制作に⽤いた図⾯、マケットも多数展⽰

 清⽔は、⼤型彫刻を制作する際、精緻な図⾯を描き、1/10スケールのマケットを作成。作品の構造等についての検討を重ねた。

 本展では、第10回吉⽥五⼗⼋賞を受賞した《朱⿓》(三井住友海上⽕災保険株式会社本店に設置)をはじめ、空間や建築との密接な関係に基づいて制作された野外・屋内彫刻の図⾯やマケットなどの資料も紹介する。

年譜と参考⽂献にできる限り詳細な情報を盛り込んだ展覧会図録を発売

 清⽔九兵衞と七代六兵衞をつないで紹介する初の回顧展開催に向け、展覧会図録には、清⽔⾃⾝の原稿を再録。3本のインタビュー記事、2本の論考のほか、清⽔の⽣涯を関連事項とともに紹介する年譜、詳細な情報を盛り込んだ参考⽂献を収録した。

 京都国⽴近代美術館1Fミュージアムショップで発売予定。

展覧会図録『⽣誕100年 清⽔九兵衞/六兵衞』
価格:2,900円(税込)
仕様:縦28×横22.5×厚3.2cm/371ページ/図版168点

清⽔九兵衞/七代六兵衞 経歴

1922(⼤正11)年-2006(平成18)年 ⽴体造形作家

1922年 愛知県⼤久⼿町(現・名古屋市)⽣まれ
1940年 旧制名古屋⾼等⼯業学校で建築を学ぶ
1942年 臨時徴兵
1947年 東京美術学校⼯芸技術講習所に⼊学
1949年 東京美術学校⼯芸科鋳⾦部に⼊学
1951年 清⽔家に養⼦⼊
1966年 五東衞の名で、初めて彫刻を発表
1968年 清⽔九兵衞を名乗る
1969年 海外研修のため渡欧、イタリアを中⼼に住宅の屋根や窓を調査する
1980年 七代清⽔六兵衞襲名
2000年 六兵衞の名を⻑男 柾博に譲る
2006年 7⽉21⽇死去、享年84歳

関連イベント

■「ギャラリートークをインスタLIVE にて配信」

⽇時:8⽉9⽇(⽕)午後6時30分〜
解説:⼋代清⽔六兵衞 (陶芸家)、藤岡五郎(清⽔九兵衞アシスタント)、⼤⻑智広(京都国⽴近代美術館主任研究員)
アーカイブ動画を含め、京都国立近代美術館の公式インスタアカウントで視聴できる。

■講演会「清⽔洋と九兵衞と六兵衞のあいだ――京焼の名家の中で」

⽇時:8⽉20⽇(⼟)午後2時〜午後3時30分
講師:⼤⻑智広(京都国⽴近代美術館主任研究員)

■講演会「彫刻家・清⽔九兵衞とアフィニティ(仮称)」

⽇時:9⽉3⽇(⼟)午後2時〜午後3時30分
講師:森啓輔(千葉市美術館学芸員)
会場はいずれも京都国⽴近代美術館 1F講堂
定員50名(予定)、聴講無料。
※要事前申込み、先着順
詳しい情報は、 京都国⽴近代美術館HPで

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文化とメディア—書くこと、伝えることについて

1980年代から、国内外で美術、演劇などを取材し、新聞文化面、専門雑誌などに記事を書いてきました。新聞や「ぴあ」などの情報誌の時代、WEBサイト、SNSの時代を生き、2002年には芸術批評誌を立ち上げ、2019年、自らWEBメディアを始めました。情報発信のみならず、文化とメディアの関係、その歴史的展開、WEBメディアの課題と可能性、メディアリテラシーなどをテーマに、このメディアを運営しています。中日新聞社では、企業や大学向けの文章講座なども担当。現在は、アート情報発信のオウンドメディアの可能性を追究するとともに、アートライティング、広報、ビジネス向けに、文章力向上ための教材、メディアの開発を目指しています。

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