2025年-2026年の葛飾北斎展
《東京・すみだ北斎美術館》
☆常設展プラス:隅田川両岸景色図巻(複製画)と北斎漫画 2024年9月10日〜2025年8月31日
すみだの誇る名品「隅田川両岸景色図巻」の高精細複製画と世界に影響を与えた『北斎漫画』を常設する展示。北斎の絵手本の実物約10冊を展示する「北斎漫画と北斎の絵手本」コーナーの隣では、「今月の逸品」として「冨嶽三十六景」をはじめとする北斎の錦絵の実物から毎月1作品を選び、月に1度展示替えを行いながら紹介する。手にとって見られる『北斎漫画』をはじめとする北斎の絵手本のレプリカ約15冊の展示も見どころ。
☆読み解こう!北斎も描いた江戸のカレンダー 2024年12月18日〜2025年3月2日
江戸時代に使用していた太陰太陽暦では、現在の暦とは異なり、月の日数は、30日(大の月)か29日(小の月)で、毎年同じ月でも日数が変わった。そのため、生活の上では、その年の何月が大の月か?小の月か?を知ることが重要だった。そこで、小さな摺物(非売品の私的な版画)に描かれた絵の中に大小の月をしのばせて、ユーモアやウィットに富んだデザインの暦が制作されるようになった。これが絵暦(えごよみ)と呼ばれるもので、江戸時代に大流行。本展では、当館が所蔵する絵暦を展示し、江戸時代に栄えた暦の文化の一側面を紹介する。
☆北斎×プロデューサーズ 蔦屋重三郎から現代まで 2025年3月18日〜5月25日
商業的な出版物である浮世絵は、絵師だけでは成り立たず、企画から販売まで手掛ける板元、板木を彫摺する彫師と摺師が必要。中でも世の流行を見極め、売れ行きの伸びる企画を立案し、絵師の起用から彫師・摺師の指揮までを担う板元は、いわば浮世絵師の総合プロデューサーにあたる重要な存在だった。本展は、その板元たちが北斎をどのようにプロデュースし、どのような作品を世に生み出したかを辿る展覧会。江戸のメディア王と評され、北斎の才能に早くから目をつけていた蔦屋重三郎をはじめ、「冨嶽三十六景」をヒットさせた西村屋与八、『北斎漫画』を出版した永楽屋東四郎といった江戸の板元たち、また伝統木版として、浮世絵制作、北斎からインスパイアされた現代アーティストの作品を紹介する。江戸時代の蔦屋重三郎から現代まで浮世絵業界を支えるプロデューサーズの世界が楽しめる。
☆北斎と江戸の美人画(仮) 2025年9月16日〜11月24日
現代では、北斎というと「冨嶽三十六景」をはじめとする名所絵(風景画)で有名だが、寛政12年(1800)の洒落本『大通契語』では、美人画の名手として取り上げられるほど、その美人画も世に認められていた。本展では、美人画の名手としての北斎のルーツと、その画風の変遷に注目。北斎が浮世絵の世界に足を踏み入れた際に師事した勝川春章も美人画の名手で、「春章一幅値千金」(安永4年〈1775〉、洒落本『後編風俗通』)という高い評価を受けていた。北斎は、肉筆画を専門にし、繊細で優美な美人画風を特徴とする宮川長春、その弟子の宮川(勝宮川)春水、そしてその弟子の春章という、美人画の正統の流れに位置付けられる。北斎は春朗と名乗っていた習作期から、点数は少ないながら美人画の錦絵を手がけている。春朗が美人画を手がけた頃は、成熟した女性の魅力を描き出した磯田湖龍斎を経て、鳥居清長による八頭身の健康的な美人画が流行していた。北斎も、春朗期には清長に影響を受けた美人画を手がけている。勝川派を離脱し、江戸琳派の頭領となった宗理期には、うりざね顔の楚々とした美人画が「宗理型美人」として大流行。北斎を称し葛飾派を打ち立てた後、壮年期には肉感的で艶やかな美人を手がけるようになる。北斎が画風を変化させた背景には、歌麿の美人画の流行をきっかけとして、妖艶な美人画が流行したことがある。このように、北斎の美人画は時代によって画風を大きく変化させており、その背景には、当時流行の美人画のスタイルとの密接なかかわりがある。本展では、宮川長春から北斎に至る系譜の美人画諸作や、美人画の流行を作りだした北斎と同時代の浮世絵師達の作品とともに、北斎の美人画の変遷を追い、その魅力と美人画の分野における立ち位置を明らかにする。
《千葉市美術館》
☆開館30周年記念 ロードアイランド・スクール・オブ・デザイン所蔵 ロックフェラー・コレクション花鳥版画展 北斎、広重を中心に 2026年1月17日〜3月1日
1877年創立の美術大学ロードアイランド・スクール・オブ・デザインには、約4,000点の日本美術品が所蔵され、特に浮世絵版画のコレクションは膨大であり、なかでも地元出身の資産家ジョン・ロックフェラーの妻アビー・オルドリッチ・ロックフェラーの花鳥画コレクションが知られている。本展ではこのユニークなコレクションから葛飾北斎、歌川広重らの浮世絵師による選りすぐりの花鳥版画約160点を紹介する。
《信州小布施 北斎館(長野県小布施町)》
猛獣を組み伏せ、鉄の門を押し破る。超人的な力を持った登場人物たちは古今東西の物語に登場する。北斎が挿絵を手掛けた読本も例外ではなく、力持ち達がその驚くべき怪力を発揮している。本展では、北斎館のコレクションの中から選りすぐりの怪力達が集結!パワフルな物語とその表現の魅力に迫る。
デザイナーでもあった北斎の作品は、多くのものに影響を与えながら時を超えて現代でも活き活きと輝いている。『新形小紋帖』や『今様櫛キセル雛形』などの北斎が手がけた江戸時代のデザイン集を中心に、伝統文化を受け継ぐ京都の西陣織や、染物の技術で北斎作品を表現した、着物や反物の作品も紹介する。
☆略画 ーはずむ筆 おどる、線ー 2025年4月12日~5月18日
葛飾北斎の絵手本には、略画で描かれたモチーフがしばしば登場する。単純化した線で捉えられた様々なモチーフは、単に簡略に描かれた絵というだけでなく、それ自体が伸びやかな線や柔らかい形の魅力を備えている。本展では、北斎の版本に見られる略画を中心に、文字絵や草体画なども含めて紹介。簡単な線を用いていても対象の形が失われずに、むしろ生き生きと見えてくる魔法のような略画の世界を楽しめる。
☆知られざる秀逸コレクション 東京・足立区立郷土博物館所蔵浮世絵名品展 2025年5月24日~10月5日
開館以来、足立区ゆかりの歴史・美術資料の発掘と収集に尽力されている足立区立郷土博物館には、1000点を超える浮世絵版画のコレクションが収蔵されている。松方三郎旧蔵品を中核としたこのコレクションは、初期浮世絵の奥村政信に始まり、錦絵の創始者鈴木春信や歌麿、北斎、広重、といった人気絵師、さらには明治期の小林清親にまで至る広範なもの。本展ではこの秀逸コレクションの全貌を4期に分けて紹介する。
☆なんという目だ! ー北斎にはこう見えるー 2025年10月11日~12月7日
今にも砕け落ちそうな波、直線で勢いよく描かれた豪雨、突風に舞い上がる懐紙や葉。常にかたちを変える水や風の一瞬をとらえる北斎の洞察力と観察力に迫る展覧会。「北斎の目はなんという目なんだ」と思わず口にしてしまうこと間違いなし!
☆傑作!北斎漫画 2025年12月11日~2026年1月16日
北斎の代表作にして、ジャポニズムの要因の一つとも言われる『北斎漫画』。絵手本(絵の教科書)でありながらも鑑賞性が高く、絵師を志すものに限らず市井の人々も買い求めるというベストセラーになった。本展では、全十五冊に収載された多様なデザインを紹介し、その魅力に迫る。
☆北斎を魅了した天舞う瑞獣 〜龍・鳳凰〜 2026年1月24日~3月29日
瑞獣とは、古来より吉祥をもたらす空想上の動物たちのこと。北斎はその瑞獣である龍と鳳凰に魅了され、作品として多く残した。本展では北斎が描く龍と鳳凰にスポットを当てた展示とともに、今注目される新進気鋭の若手アーティストたちが手がける鳳凰、龍をモチーフにした作品も展示する。
《島根県立美術館》
☆永田コレクションの全貌公開〈二章〉 北斎-「葛飾北斎期」「戴斗期」編 2025年9月10日~11月3日
北斎研究者・永田生慈氏(1951-2018)より寄贈された県外不出の「永田コレクション」より、北斎の「葛飾北斎期」・「戴斗期」(数え46から60歳頃)の作品を公開。北斎が当該期に挿絵を手がけた読本(長編小説)と絵手本など500冊以上の版本を細大漏らさず展示! この両版本で第一人者となった北斎が魅せる、圧巻の「版本世界(ブックワールド)」が楽しめる。
《東京・東急プラザ渋谷3階》
☆HOKUSAI : ANOTHER STORY in TOKYO 2025年2月1日~2025年6月1日
新千円札の参考元絵として選定された山梨県立博物館所蔵作を、アルステクネ社の特許技術DTIP(三次元質感画像処理)技術によりデジタル化した超高精細イメージデータを使用。これまでにない和紙の繊維の1本1本まで目で触るようなリアリティを体感できる。
《MOA美術館》
☆北斎 The Great Wave×Digital 2.0 2025年4月25日〜6月10日
葛飾北斎(1760-1849)の代表作として知られる「冨嶽三十六景」を、デジタル技術を活用して展観。「冨嶽三十六景」は、富士の威容を示すほか、富士周辺のさまざまな場所で、生き生きと働く庶民の姿を描いた風景版画シリーズの金字塔。その独創的な構図は、クロード・モネやポール・セザンヌの作品にインスピレーションをもたらすなど、世界的な影響の大きさが知られている。特に「神奈川沖波裏」は「The Great Wave」として欧米で知られ、フランスの作曲家クロード・ドビュッシーが作曲した管弦楽曲『海』初版の表紙デザインには、波の部分が用いられている。本展では、「神奈川沖波裏」や「赤富士」として知られる「凱風快晴」を高精細デジタル画像として撮影し、大画面で投影。その他、作品が描かれた地点の現在の風景を撮影・比較展示し、新たな魅力を発信する。
2024年の葛飾北斎展
《藤澤浮世絵館(神奈川県藤沢市)》
☆企画展「北斎と門弟たちの藤沢・江の島」 2023年12月26日~2024年2月25日
《MOA美術館》
☆北斎「冨嶽三十六景」× Digital Remix 2024年4月19日〜5月21日
葛飾北斎の「冨嶽三十六景」は、富士の威容を示すほか、富士周辺のさまざまな場所で、生き生きと働く庶民の姿を描いた風景版画シリーズの金字塔。その独創的な構図は、クロード・モネやポール・セザンヌの作品にインスピレーションをもたらすなど、世界的な影響の大きさが知られている。特に「神奈川沖波裏」は「the Great Wave」として欧米で知られ、フランスの作曲家クロード・ドビュッシーが作曲した管弦楽曲『海』初版の表紙デザインには、波の部分が用いられている。本展では、「神奈川沖波裏」や「赤富士」として知られる「凱風快晴」を高精細デジタル画像として撮影し、スタッフの技術により、オリジナル・フィルム・プロジェクションとしてリミックス(再構成)する。その他、作品が描かれた地点の現在の風景を撮影・展示し、再構成による新たな魅力を発信。刊行から190年を経過してもなお色褪せない「富嶽三十六景」の魅力を、デジタル・リミックスによる新感覚で楽しめる。
《大阪・中之島香雪美術館》
☆特別展「北斎と広重 冨嶽三十六景への挑戦 江戸東京博物館コレクションより 」 2024年4月13日~5月26日
《大阪浮世絵美術館》
☆葛飾北斎 吉田博 歌川広重 浮世絵が語る日本の名山 2024年7月23日~2025年2月16日
日本のみならず世界的に評価の高い「葛飾北斎」、新版画を代表する画家「吉田博」、風景画で爆発的な人気を誇る「歌川広重」 この三人の絵師を主軸に、日本を象徴する山“富士山”や、関西・東海道の山々が描かれた浮世絵版画58点を展示する。
《奈良・大和文華館》
☆特別展 レスコヴィッチコレクションの摺物―パリから来た北斎・広重・北渓・岳亭― 2024年7月9日~ 9月1日
江戸時代の版画のうち、販売用ではない、特別な注文によって制作された作品が摺物(すりもの)。摺物は主として浮世絵師によって描かれ、数十、数百部しか作られなかったため、伝存するものが少なく、展示されることも多くはない。しかし、特注品であるため、金銀や雲母を使った豪華なもの、彫摺に手間をかけたもの、特殊なテーマのもの、注文者の私的な事情や趣向がうかがえるものなど、売品にはない魅力をもつものも少なくない。この特別展は、パリ在住のジョルジュ・レスコヴィッチ氏の数百点に及ぶ摺物コレクションから、269点を選んで、前期・後期に分けて展示するもの。展示品の大半は、全盛期ともいえる19世紀前半の江戸の摺物で、北斎やその門人の北渓・岳亭をはじめ、広重・英泉・国貞などの稀品を並べ、摺物文化のエッセンスを提示する。
《大分県立美術館》
☆北斎と広重 冨嶽三十六景への挑戦 江戸東京博物館コレクションより 2024年7月26日~9月8日
日本を代表する浮世絵の名作、葛飾北斎の「冨嶽三十六景」は、青を使った鮮烈な色彩と大胆な構図で人々に強い衝撃を与えた。この時、北斎は70歳を越えていたが、長い画業の中で不断の努力を重ねていた。一方の歌川広重はこの時30歳代後半。風景画を描くもヒット作のない一介の浮世絵師にすぎなかった。北斎の大ヒットの陰で、広重はどのように自らの画風を打ち立てていったのか。これまでも北斎と広重の富士シリーズを展示する展覧会は開催されてきたが、本展はより踏み込んだ解釈により、風景画で双璧をなす北斎と広重の挑戦をストーリー展開で浮き彫りにする試み。江戸東京博物館の貴重なコレクションを通して、二人の浮世絵師のあくなき挑戦の数々を名品とともに紹介する。
《信州小布施 北斎館(長野県小布施町)》
北斎作品の中にはさまざまな゛勝負”を描いた作品が数多くある。勝負といえば江戸で人気だった相撲はその代表格だが、人と人との争いごとや、人間VS動物、人間VS妖怪、人間VS大自然はもちろん、自分自身との戦いも立派な勝負事。くだらない喧嘩から真剣な取っ組み合いまでさまざまな勝負が面白い!さあ、あなたはどう勝敗をつける!? この展覧会は「勝負」をテーマに描かれた北斎作品を紹介。浮世絵には様々な題材の作品があるが、その中でも勝負事は人気の高いテーマといえるだろう。英雄たちによる歴史的な一戦や戦闘シーン、不気味な妖怪と人間の対決、動物たちの知恵合戦、大自然の脅威と対峙する物語の主人公たち。一枚の浮世絵の中で繰り広げられる様々な「勝負」は、見るものを絵の中に引き込むような臨場感を持ち合わせている。
喜劇でも悲劇でも、登場人物の感情の起伏は、物語の大切な要素の一つ。読本と呼ばれる長編小説のために描かれた北斎の挿絵にも、様々な感情が描かれている。本展では、版本挿絵を中心に、北斎の感情表現に焦点を当てる。表情や仕草で登場人物の深い悲しみや、あふれるような喜びをいきいきと表現した北斎の挿絵を楽しめる。
☆新紙幣発行記念 北斎進化論 2024年6月15日~8月18日
今夏、新たに発行される千円札に「富嶽三十六景 神奈川沖浪裏」のデザインが採用される。本作は、葛飾北斎の代表作として知られているが、その背景には北斎の様々な画法を学ぼうとする探究心、己の絵を発展されようとする向上心があった。本展では、北斎70年の画業を回顧しつつ、進化を目指す絵師北斎の姿に迫る。
桜・朝顔・菊など、四季を彩る様々な植物たち。北斎が描いた植物の絵は、線一本で描いたような単純なものから細かく線を重ねた繊細なものまで作品によって異なる。本展では、北斎の植物の絵が展示室を埋め尽くし、そうした筆づかいの違いを図鑑を眺めるように展示。花の町・小布施で、緑豊かな植物の世界を楽しめる。
《東京・すみだ北斎美術館》
☆北斎サムライ画伝 2023年12月14日〜2024年2月25日
サムライは、江戸時代に生きた北斎にとって身近な存在だった。本展では、源頼朝や徳川家康など名の知れたサムライだけでなく、北斎と門人たちの目に映った江戸市中に暮らす太平の世のサムライを描いた作品も展示。また、実際にあった戦いや物語の中の戦う場面を描いた作品も見ることができる。江戸時代の人々が抱いていたサムライのイメージにふれるとともに、北斎たちによるサムライの姿を堪能できる。さらに、刀や鑓といった戦いの道具を取り上げた作品も紹介。刀剣博物館所蔵の「太刀 銘 信房作」(重要文化財)なども展観する。刀剣そのものと描かれた刀剣を見比べて、イメージをふくらませながら北斎の表現力を楽しむことができる。
☆歌舞音曲鑑 北斎と楽しむ江戸の芸能 2024年3月19日〜5月26日
代表作「冨嶽三十六景」シリーズを発表する約50年前、19歳の葛飾北斎は、勝川春章に入門し、浮世絵師としての活動を始めた。デビュー当時に発表した歌舞伎の役者を描いた錦絵は、残っている数が少なく貴重な作品群である。また、北斎は様々な芸能のお披露目会の招待状として作られたという摺物も多く手がけているが、絵と文字情報がともに完全な形で残されている作品は多くない。このほか、芸能にまつわる画題としては、さまざまな踊りを描いた作品もある。雀踊りや悪玉踊りといったユニークな踊りを描いた作品からは、人間の身体の動きを捉える北斎の確かな筆致がうかがえる。当館初展示の作品も多く展観。北斎の多様な画業を楽しめる。
☆北斎 グレートウェーブ・インパクト ―神奈川沖浪裏の誕生と軌跡― 2024年6月18日〜8月25日