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わが青春の上杜会 -昭和を生きた洋画家たち 豊田市美術館 2021年1月5日~3月14日

牛島 憲之《 秋川》1934 年  油彩、カンヴァス 89.5×145.5cm 熊本県立美術館

わが青春の上杜会 -昭和を生きた洋画家たち 豊田市美術館

 1927(昭和2)年3月に 東京美術学校(現・東京藝術大学)西洋画科を卒業した洋画家たちを紹介する「わが青春の上杜会 -昭和を生きた洋画家たち」が2021年年1月5日~3月14日、愛知・豊田市美術館で開かれる。

 山口 長男《 池》 1936 年  油彩、カンヴァス 65.3×92.0cm  東京国立近代美術館
山口 長男《 池》 1936 年  油彩、カンヴァス 65.3×92.0cm  東京国立近代美術館

  会期中、一部展示替えがある。前期は 1月5日~2月7日、後期は2月9日~3月14日。

 洋画家たちが結成した「上杜会 (じょうとかい)」は、猪熊弦一郎、牛島憲之 荻須高徳、小磯良平、山口長男 など、そうそうたる顔触れだった。

小磯 良平《 着物の女》 1936 年  油彩、カンヴァス 90.9×72.7cm 神戸市立小磯記念美術館
小磯 良平《 着物の女》 1936 年  油彩、カンヴァス 90.9×72.7cm 神戸市立小磯記念美術館

 本展では、昭和という時代と重なる洋画家らの作品約120点のほか、書簡、ポスター等の資料で歩みを振り返る。

観覧料: 一般1,000円(800円)、高校・大学生700円(500円)、中学生以下無料 。

中西 利雄《 夏の海岸》 1936 年 水彩、カンヴァス 70.0×97.0cm  東京国立近代美術館
中西 利雄《 夏の海岸》 1936 年 水彩、カンヴァス 70.0×97.0cm  東京国立近代美術館

出品作家

 青山 襄、石井清夫、犬丸順衛、猪熊弦一郎、牛島憲之、大月源二、岡田謙三、荻須高徳、 荻野暎彦、加山四郎、小磯良平、高野三三男、小堀四郎、近藤啓二、島野重之、杉浦俊雄、 染木 煦、高島 功、高橋弘二、永田一脩、中西利雄、橋口康雄、菱田武夫、深井修次、 藤岡 一、水上信雄、森 達雄、矢田清四郎、山口長男
〈顧問〉藤島武二、岡田三郎助、和田英作、小林萬吾、長原孝太郎

猪熊弦一郎《或晴れた一日》1992 年 アクリル、カンヴァス 丸亀市猪熊弦一郎現代美術館 © 公益財団法人ミモカ美術振興財団
猪熊弦一郎《或晴れた一日》1992 年 アクリル、カンヴァス 丸亀市猪熊弦一郎現代美術館 © 公益財団法人ミモカ美術振興財団

構成

序 1922-1927
   1 結成前夜ー東京美術学校と関東大震災
   2 いざ、上杜会結成
Ⅰ 1927-1936
1 画家としての始まり、パリ留学
2 それぞれの選択
3 帝展騒動と「新制作派協会」結成
Ⅱ 1937-1945
1 戦時中の制作活動
2 戦争と疎開
Ⅲ 1946-1994
1 新たな時流の中で 葛藤と開花
  2 上杜会再開ー年々去来の花

小堀 四郎《冬の花束》 1946 年  油彩、カンヴァス 60.8×50.2cm  豊田市美術館
小堀 四郎《冬の花束》 1946 年  油彩、カンヴァス 60.8×50.2cm  豊田市美術館

内容

  「上杜会」 は、「大正」から「昭和」 になって初めての春となった1927(昭和2)年3月に東京美術学校(現・東京藝術大学)西洋画科を卒業した40人余の若者が結成した級友会である。

  各自の自由 な思想を尊重し、互いに干渉しない関係性をモットーに、早くも同年9月に 第1回展を開催。戦前に、10人以上がヨーロッパ留学を果たした。

 官展や在野展への参加や結成など、それぞれの道を歩みながら、多くが昭和期終盤まで活躍。文化勲章受章者3人 (牛島憲之、小磯良平、荻須高徳) を輩出した。

 岡田 謙三《入江》 1973 年  油彩、カンヴァス 207.5×157.5cm  京都国立近代美術館
岡田 謙三《入江》 1973 年  油彩、カンヴァス 207.5×157.5cm  京都国立近代美術館

 終戦後、40代後半になっていた画家たちは、さまざまな道に進む。洋画壇の主軸を担う者、日本を離れ米国など異国に新境地を求める者、地方の美術振興に尽力するなど画壇の表舞台からは遠ざかる者・・・。

 上杜会展は、戦後一時中断した時期を除き、毎年開催され、1994年まで継続。 画家たちは互いの活動を認め合いながら、緩やかにつながっていた。

矢田 清四郎《 五月の出雲路》 1975 年 油彩、カンヴァス 160.0×128.2cm  個人蔵
矢田 清四郎《 五月の出雲路》 1975 年 油彩、カンヴァス 160.0×128.2cm  個人蔵

 彼らの多くは昭和の始まりとともに画家となり、昭和のさなかに生涯を終えた。アカデミックな美術教育を受けながらも、千差万別の画業を展開したのが興味深い。

 本展は、それらを俯瞰することで、「昭和」という時代の洋画壇のありようと、個々の画家がその内外で模索した多様な生き方を浮かび上がらせる。

 

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文化とメディア—書くこと、伝えることについて

1980年代から、国内外で美術、演劇などを取材し、新聞文化面、専門雑誌などに記事を書いてきました。新聞や「ぴあ」などの情報誌の時代、WEBサイト、SNSの時代を生き、2002年には芸術批評誌を立ち上げ、2019年、自らWEBメディアを始めました。情報発信のみならず、文化とメディアの関係、その歴史的展開、WEBメディアの課題と可能性、メディアリテラシーなどをテーマに、このメディアを運営しています。中日新聞社では、企業や大学向けの文章講座なども担当。現在は、アート情報発信のオウンドメディアの可能性を追究するとともに、アートライティング、広報、ビジネス向けに、文章力向上ための教材、メディアの開発を目指しています。

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