報道によると、日本の実験映画の草分け的存在である映像作家、飯村隆彦さんが2022年7月31日、誤嚥性肺炎で死去した。85歳。元・ 名古屋造形芸術大学教授。愛知芸術文化センターも作品をコレクションしている。
1937年、東京都生まれ。慶応大学法学部卒業。
1960年代から、実験映画や個人映画、ビデオアートを制作。オノ・ヨーコ、赤瀬川原平、小杉武久、土方巽らの前衛芸術家たちの活動に関わり、前衛的な映画を手がけた。
1964年には、大林宣彦、高林陽一、ドナルド・リチー、石崎浩一郎らと実験映画集団「フィルム・アンデパンダン」を結成。東京・紀伊国屋ホールで日本の個人映画史上で初めての実験映画祭を開いた。
1965年、オノ・ヨーコの音楽による実験映画《AI(Love)》がジョナス・メカスによって高く評価され、1966年には、ハーバード大学国際セミナーに招待されて渡米。ニューヨークのジャパン・ソサエティの客員芸術家として制作・上映に取り組んだ。
1973年には、ドイツ・アカデミーの招きで、1年間ベルリンに滞在。1974年には、パリのシネマテークやポンピドゥ・センターなどでも上映機会を得た。
1974年にニューヨーク近代美術館、79年にはホイットニー美術館で個展を開催するなど、国際的に評価された。
1995年に東京都写真美術館、1999年にパリの国立ギャラリー・ジュ・ドゥ・ポムで個展を開催。2001年には、再度、ニューヨーク近代美術館で個展を開いている。
著書に『芸術と非芸術の間』『パリ−東京映画日記』 『ヨーコ・オノ−人と作品』 『映像実験のために』『80年代芸術フィールド・ノート』など。
1991年から2001年まで、名古屋造形芸術大学造形芸術学部教授を務めた。その後、2001年から東京工芸大学メディアアート表現学科教授。
2015年に文化庁メディア芸術祭功労賞を受けた。