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井田幸昌展「Panta Rhei|パンタ・レイ − 世界が存在する限り」2023年7月22日-8月27日に鳥取・米子市美術館、9月30日-12月3日に京都市京セラ美術館で開催

  • 2023年5月8日
  • 2023年6月30日
  • 美術

ⒸIDA Studio Inc

井田幸昌にとって初めてとなる国内美術館での展覧会

 画家、現代美術家、井田幸昌さんの国内美術館で初めてとなる展覧会「Panta Rhei|パンタ・レイ − 世界が存在する限り」が2023年7月22日〜8月27日、鳥取・米子市美術館で開催される。9月30日〜12月3日に京都市京セラ美術館に巡回する。

 井田さんは、これまで「一期一会」をテーマとし、絵画作品を中心に制作してきた。移りゆく時のなかで存在する様々なもの・こと・ひとの存在。それらの関係性なくして、この世界は成り立たない。私たちが今、ここに存在し、出会うことのできる奇跡。その一つ一つを拾い集め、自身の感じたリアリティを日々、画面に残している。

井田幸昌

Bob,2021, Oil on canvas, 194.0 × 162.0cm Ⓒ IDA Studio Inc.

 本展では、国内未発表作を含むこれまでの絵画作品、立体作品に加えて、絵日記のように日々綴る “End of today” シリーズ、そして最新の作品までを一堂に展示する。

 展示する作品群は、井田さんの生きた軌跡でもある。点から線へ、線から面へと広がり、さらに過去から未来への流れとなる井田さんの「変わり続けるもの」また「変わらないもの」を感じることもできるだろう。

展覧会名の“パンタ・レイ”とは?

 “パンタ・レイ”とは「万物は流転する」を意味する古代ギリシャの哲学者ヘラクレイストの言葉である。

 その言葉には、「一期一会」をテーマに、移りゆく時のなかで存在するさまざまな、もの・こと・ひとの存在と関係性を一つ一つ拾い集め、自身の感じたリアリティとして表現してきた井田の制作と通じるものがある。

 それはまた、「これまでのキャリアの集大成であるとともに、新しい始まりでもある」という本展への思いとも重なる。本展では、井田自身の「変わり続けるもの」また「変わらないもの」を同時に感じられるだろう。

井田幸昌

Last Supper, 2022, Oil on canvas, 293.0 × 582.0cm Ⓒ IDA Studio Inc.

展示構成

Room1

 「日本」の象徴を表す作品の部屋。この部屋に足を踏み入れると、高さ3メートルを超える三つの木彫作品が観る者を迎える。蛇をモチーフとした三つの木彫作品は、それぞれが圧倒的な存在感を放ち、観る者を神秘的な空間へと誘う。何千年の歴史を持つ美しい日本を想わせる、神秘的な空間自体をも、“一つの作品”として体感できる。この部屋の作品は米子会場のみでの公開。

Room2

 井田の多様なる表現に焦点を当てた部屋である。三つのシリーズ作品で構成しており、一つ目は抽象絵画。多彩な色と、線的構成、そして絵具の持つ物質としての質量で、大いなる自然を表現している。二つ目は、井田がその日出会う人や風景を描いた「End of today」シリーズ。絵日記のように日々綴られてきたこの作品群からは、その日、その時、その瞬間の出会いといった、私たちに日々起こり過ぎ去ってしまうような「奇跡」を捉えようとした、画家の生き様に出会える。三つ目は、ブロンズの彫刻作品。「End of today」絵画シリーズを立体化した作品を展示する。絵画と同時に、絵画のような質感をもつ井田独自のブロンズ作品。

Room3

 井田の代表的な作品である「ポートレート」シリーズを一堂に会する部屋。厚く塗り固められた絵の具、そして力強く美しい筆致で表現されているのは、井田がかつて出会ってきた人々の顔。「今」を生きる井田が出会い、この「一期一会」を逃すまいと描き残した、躍動感あふれる作品群である。流動的なそのタッチにより、私たちが生きる時間そのものさえも表現されたポートレートが並ぶ、圧巻の空間である。

Room4 

具象絵画作品に焦点を当てた部屋。初期の絵画作品から、近代巨匠の古典を思わせる具象絵画、2022年ピカソ生誕地ミュージアム(Picasso Birthplace Museum)で発表したパブロ・ピカソをトリビュートした作品群が並ぶ。そしてこの部屋では、未発表大作《Last Supper(2022,Oil on canvas, 293.0×582.0cm)》を初公開。多くの作家がモチーフともしてきた、世界で一番有名な作品のひとつであるレオナルド・ダ・ヴィンチ作『最後の晩餐』。この名画に、井田は現代を生きる画家として挑戦している。

開催概要

[鳥取展]米子市美術館(鳥取県米子市中町12)

会  期:2023年7月22日(土)〜8月27日(日) 
休 館 日:水曜日
開館時間:10:00~18:00 ※最終入場は17:30まで
料  金:一般/当日1,300円(1,000円)、高大生/当日900円(800円)、中学生以下無料
※ (  )内は前売料金 
※その他各種割引あり。販売場所・方法について詳細は公式WEBサイトを参照
主  催:米子市、米子市教育委員会、(一財)米子市文化財団 米子市美術館

井田幸昌

Cinderella,2017, Oil on canvas, 130.3 × 194.0cm Ⓒ IDA Studio Inc.

井田幸昌

End of today -11/4/2020 Sea of My Home Town -, 2020,Oil on canvas, 33.3 × 24.2cm ⒸIDA Studio Inc.

井田幸昌

Boa Pongdudu , 2021-2022, Wood (camphor tree), iron, brass and acrylic, 240.0 × 94.0 × 66.0cm Ⓒ IDA Studio Inc.

[京都展]京都市京セラ美術館 本館 南回廊2階(京都市左京区岡崎円勝寺町124)

会  期:2023年9月30日(土)〜12月3日(日)
休 館 日:月曜日(祝日の場合は開館)
開館時間:10:00~18:00 ※最終入場は17:30まで
料  金:一般/当日1,800円(1,600円)、高大生/当日1,500円(1,300円)、中学生以下無料 ※ (  )内は前売料金
主  催:京都新聞、京都市

井田幸昌

Self Portrait, 2022, Oil on canvas, 194.0×162.cm CIDA Studio Inc.

井田幸昌プロフィール

井田幸昌

Photo by RK (Instagram @rkrkrk)

 1990年、鳥取県生まれ。絵画のみにとどまらず、彫刻や版画にも取り組み、国内外で発表を続けている画家・現代美術家。

 「一期一会」をテーマに、家族、友人や著名人をモチーフに描いた「Portrait」シリーズ、自身の心象風景や身近な無名の人々を出会ったその日に描く「End of today」シリーズなどが代表作。

 作品は、国内外のコレクター、美術館に収蔵されており、日本の民間人として初めてISSに滞在する宇宙旅行を行った前澤友作氏によって、作品《End of today – L’Atelier du peintre –(画家のアトリエ)》がISSにも設置されたことで話題を集めた。

 主な個展に「King of limbs」(カイカイキキギャラリー、東京、2020)、「Here and Now」(マリアン・イブラヒム・ギャラリー、シカゴ、2021)「YUKIMASA IDA visits PABLO PICASSO」(ピカソ生誕地ミュージアム、マラガ、2022)、「Now is Gone」(マリアン・イブラヒム・ギャラリー、パリ、2022)。 

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文化とメディア—書くこと、伝えることについて

1980年代から、国内外で美術、演劇などを取材し、新聞文化面、専門雑誌などに記事を書いてきました。新聞や「ぴあ」などの情報誌の時代、WEBサイト、SNSの時代を生き、2002年には芸術批評誌を立ち上げ、2019年、自らWEBメディアを始めました。情報発信のみならず、文化とメディアの関係、その歴史的展開、WEBメディアの課題と可能性、メディアリテラシーなどをテーマに、このメディアを運営しています。中日新聞社では、企業や大学向けの文章講座なども担当。現在は、アート情報発信のオウンドメディアの可能性を追究するとともに、アートライティング、広報、ビジネス向けに、文章力向上ための教材、メディアの開発を目指しています。

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