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鯉江良二へのオマージュ展 ギャラリー数寄(愛知県江南市)で8月6-21日

ギャラリー数寄(愛知県江南市) 2022年8月6〜21日

作品と、生前の交流、エピソードを伝える言葉

 2020年8月に亡くなった陶芸家、鯉江良二さん(1938〜2020年)の追悼展。

 これまでにも、各地で追悼展が開かれている。また、開催中の国際芸術祭「あいち2022」でも、常滑会場・INAXライブミュージアムで《チェルノブイリ》シリーズなど鯉江さんの作品が展示されている。

 そうした中、本展は、鯉江さんと親交のあった作家が、それぞれ作品を出品するとともに、メッセージを寄せているのが興味深い。 

 参加した作家は18人。作品は35点である。それぞれの作品に添えられた言葉が、鯉江さんへの思い、生前の交流、エピソードを伝えている。 

加藤清之

加藤清之

 陶芸家、加藤清之さん(1931年生まれ、愛知県瀬戸市)は、加藤さんも鯉江さんも互いに自作について語ることはなかったという60年余の交流を振り返っている。

三島喜美代

三島喜美代

 現代美術家、三島喜美代さん(1932年生まれ、大阪)は、「鯉江さんがお好きだったのでアルコールにしました。どうぞお上がり下さい。 姉さんより」というメッセージ。

柳原睦夫

柳原睦夫

 「良ちゃん」と呼ぶ気ままな関係ながら、数少ない「戦友」の一人だったという陶芸家、柳原睦夫さん(1934年生まれ、京都)。「哀惜の念は日増しに強くなる」と偲ぶ。

伊藤慶二

伊藤慶二

 陶芸家、伊藤慶二さん(1935年生まれ、岐阜県土岐市)は、自分も、ともに他界した国島征二さん、鯉江良二さんも、名前に「二」がつく次男坊である共通点を思い返す。

庄司達

 現代美術家、庄司達さん(1939年生まれ、愛知県一宮市)は、自作に加え、1978年、名古屋の桜画廊で購入した「鯉江良二の目覚まし時計」を出品している。多くの「死」を思い、制作するため、アトリエに置いていたという。

鈴木五郎

鈴木五郎

 陶芸家、鈴木五郎さん(1941年生まれ、愛知県豊田市)は、愛知県常滑市での「どろんこ祭り」や、金子潤さんとの3人展の思い出に触れている。

吉川正道

吉川正道

 陶芸家、吉川正道さん(1946年生まれ、愛知県常滑市)の言葉は、「叫び、吠え立てた、作家人生、居なくなった、あんたの存在が、今も有る、不思議な余韻、時間が走り、駆け抜けた!」。

中島晴美

中島晴美

 陶芸家、中島晴美さん(1950年生まれ、岐阜県恵那市)は、鯉江さんが上矢作(岐阜県恵那市)に工房を移して間もないころの深酒の思い出を披露している。

小島久弥

小島久弥

 現代美術家、小島久弥さん(1957年生まれ、名古屋)は、頭の中で繰り返し再生される鯉江さんの声について語っている。

加藤委

加藤委

 陶芸家、加藤委さん(1962年生まれ、岐阜県多治見市)は、鯉江さんとの出会いの記憶をたどっている。

その他

 そのほか、国島征二さん、岩島利幸さん、隠﨑隆一さん、内田鋼一さん、李政錫さん、宮部友宏さん、戸出雅彦さん、小野哲平さん。

 追悼展は、2021年の「four次展Ⅲ」2021年の「森岡完介「1975」版画展〜鯉江良二さんを偲ぶ〜」なども開催された。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。(井上昇治)

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文化とメディア—書くこと、伝えることについて

1980年代から、国内外で美術、演劇などを取材し、新聞文化面、専門雑誌などに記事を書いてきました。新聞や「ぴあ」などの情報誌の時代、WEBサイト、SNSの時代を生き、2002年には芸術批評誌を立ち上げ、2019年、自らWEBメディアを始めました。情報発信のみならず、文化とメディアの関係、その歴史的展開、WEBメディアの課題と可能性、メディアリテラシーなどをテーマに、このメディアを運営しています。中日新聞社では、企業や大学向けの文章講座なども担当。現在は、アート情報発信のオウンドメディアの可能性を追究するとともに、アートライティング、広報、ビジネス向けに、文章力向上ための教材、メディアの開発を目指しています。

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