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「はるひ絵画公募展アーカイブ1999―2021 絵描きとともに」清須市はるひ美術館(愛知)で2025年1月7日-2月24日に開催

重要な絵画公募展 2021年を最後に休止

 愛知・清須市はるひ美術館で2025年1月7日〜2月24日、「はるひ絵画公募展アーカイブ1999ー2021 絵描えかきとともに」が開かれている。

 1999年4月、同館開館とともにスタートした絵画公募展「夢広場はるひ絵画展」は、第2回から「夢広場はるひ絵画ビエンナーレ」、第6回以降、「はるひ絵画トリエンナーレ」と名称を変えて継続されたが、2021年の第10回を最後に休止が決まった。

𠮷本作次《春終日》1999年(第1回夢広場はるひ絵画展 優秀賞)

 本展は、大賞・準大賞(第6回までは優秀賞)を受賞し、同館に収蔵された作品23点と関連資料や記録写真を紹介しながら、その歩みを検証する。

 これまでの応募点数は合計6,091点、応募者数は延べ3,761人。全国から絵画作品が集まり、回を重ねるごとに応募点数・応募者数は増え、中京圏における若手作家の登竜門と呼ばれるまでにその名は広がった。

森川美紀《Jiufeng》2002年(第3回夢広場はるひ絵画ビエンナーレ 大賞)

 同時に「新たな才能の発掘と育成」を目指し、公募展の受賞者、入選者の中から作家を選び、個展の機会を提供するなど、大きな役割を果たしてきた。

 MITOS髙田裕大鈴木里菜三波千恵栗原光生川和美寺本明志寺脇扶美杉谷遊人中野彩愛岡本秀の各アーティストなど、このWEBサイトで取り上げている作家も、この公募展に参加している。

原田章生《犬の力》1999年(第1回夢広場はるひ絵画展 大賞)

 ちなみに、この公募展が始まった頃から初期にかけて、筆者は新聞社の美術記者として取材している。

 当時の出品者には、吉本作次さんや森川美紀さんら、今も活躍していて、交流がある作家も多くいる。

源馬菜穂《contact》2010年(清須市第7回はるひ絵画トリエンナーレ 大賞)

 2回展の筆者の記事(2001年)も資料として展示されていて、懐かしい思いがした。そこには、辰野登恵子さんらを審査員に据えて講評会を開き、入賞・入選者らに美術館で個展を開く権利を付与していることなど、当時30代だった筆者が注目したことを書いている。

 同時に、今に続く傾向だろうが、柔らかな主体による個人的リアリティーの絵画空間が多様で魅力的である半面、全体に、それぞれの世界観や絵画の形式的探求が散漫になっているような印象についても触れている。

堀 至以《glow》2018年(清須市第9回はるひ絵画トリエンナーレ 準大賞)

 それでもなお全国的にもレベルの高い、重要な公募展であり、休止となったのは、なんとも残念である。

 その全体像を振り返られることが、受賞作と資料類がまとめて紹介された今回の展覧会の意義と言えるのではないだろうか。

猪狩雅則《「電車が通ります。」》2006年(第5回夢広場はるひ絵画ビエンナーレ 優秀賞)

鈴木雅明《街灯》2005年(第4回夢広場はるひ絵画ビエンナーレ 大賞)

出品作品

原田章生《犬の力》1999年(第1回夢広場はるひ絵画展 大賞)
𠮷本作次《春終日》1999年(第1回夢広場はるひ絵画展 優秀賞)
中島葉子《afterimage》2001年(第2回夢広場はるひ絵画ビエンナーレ 大賞)
森川美紀《Jiufeng》2002年(第3回夢広場はるひ絵画ビエンナーレ 大賞)
大西 久《Untitled》2002年(第3回夢広場はるひ絵画ビエンナーレ 優秀賞)
鈴木雅明《街灯》2005年(第4回夢広場はるひ絵画ビエンナーレ 大賞)
長谷川冬香《くじら》2004年(第4回夢広場はるひ絵画ビエンナーレ 優秀賞)
森本幸恵《せせらぎ》2005年(第4回夢広場はるひ絵画ビエンナーレ 優秀賞)
カミムラケイサク《羽化406》2006年(第5回夢広場はるひ絵画ビエンナーレ 大賞)
猪狩雅則《「電車が通ります。」》2006年(第5回夢広場はるひ絵画ビエンナーレ 優秀賞)
柳澤裕貴《交錯する記憶》2006年(第5回夢広場はるひ絵画ビエンナーレ 優秀賞)
上田暁子《世界は大きな花束でもある》2008年(第6回はるひ絵画トリエンナーレ 大賞)
今林明子《始まりの終り》2008年(第6回はるひ絵画トリエンナーレ 優秀賞)
大森さやか《サスペンス》2008年(第6回はるひ絵画トリエンナーレ 優秀賞)
源馬菜穂《contact》2010年(清須市第7回はるひ絵画トリエンナーレ 大賞)
室木絵里子《紙の風景2011》2011年(清須市第7回はるひ絵画トリエンナーレ 準大賞)
三浦高宏《二重身》2012年(清須市第7回はるひ絵画トリエンナーレ 準大賞)
興津眞紀子《光と希望》2015年(清須市第8回はるひ絵画トリエンナーレ 大賞)
矢島史織《Monster #1》2015年(清須市第8回はるひ絵画トリエンナーレ 準大賞)
平野えり《My Diary》2015年(清須市第8回はるひ絵画トリエンナーレ 準大賞)
田岡菜甫《遠吠え》2017年(清須市第9回はるひ絵画トリエンナーレ 大賞)
堀 至以《glow》2018年(清須市第9回はるひ絵画トリエンナーレ 準大賞)
福嶋さくら《stolen landscape》2021年(清須市第10回はるひ絵画トリエンナーレ 大賞)

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