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原口典之さん死去 もの派の美術家 代表作は「オイルプール」

 2020年9月1日の東京新聞のWEBサイト によると、美術家の原口典之さんが2020年8月27日、死去した。胃がんを患っていた。74歳だった。 

 1946年、神奈川県生まれ。1970年日本大芸術学部美術学科卒業。1966年から、美術家としての活動を始めた。

 1960年代末から70年代初頭の東京を拠点に展開された美術運動「もの派」を代表する作家として知られ 、1977年には、 「ドクメンタ6」(カッセル/ドイツ)で、鉄製のプールに廃油を流し込んだ「オイルプール」を発表。欧米のアート界で衝撃を与えた。 「オイルプール」は、展覧会終了後に、イランのテヘラン現代美術館に展示されたという。

 工業素材を用いたインスタレーション、平面、立体などを発表。もの派の精神を引き継ぎながら、ゴム、ハニカム、ポリウレタン、車の部品や木材まで多様なマテリアルを用いた。そこには、18世紀後半以降の産業革命から20世紀にかけて大量生産された工業製品に徹底的に向き合うまなざしもあった。
  「オイルプール」のほか、軍用機の一部を原寸大で再現した初期の作品≪A-4E Skyhawk≫(1968-1969年)など、ミニマルな物質としての力強い存在感とともに、社会性、歴史性への意識も備えている 。

  国際的に活躍し、ドクメンタ6後も、パリ市立近代美術館での「第10回パリ青年ビエンナーレ」に参加。また、1978年には、デュッセルドルフのGalerie Alfred Schmelaで海外での初個展を成し遂げた。2001年のミュンヘンのレンバッハハウスでの個展「NORIYUKI HARAGUCHI」、2007年のハンブルグのクンストハーレでのマレーヴィチへのオマージュ展“Das Schwarze Quadrat. Hommage en Malewitsch” などでも注目された。

 2009年には、「原口典之 – 社会と物質」展(横浜・BankARTStudio NYK)が開催された。 同展は、 新作を含む大規模な回顧展として評判を呼び、 会場で制作した「F-4ファントム」などが注目を集めた。

 2020年3~ 5月には、 東京・神楽坂の√K Contemporary のこけら落としとして、個展を開催。 「オイルプール」をはじめ、新作を含む約30点を展示した。

 作品は、豊田市美術館にも収蔵されている。

 WEB上のインタビュー記事としては、福住廉さんのインタビューがある。

 2017年に個展を開いたケンジタキギャラリーによると、主な個展、グループ展は次の通り。

【個展】

  • 1968 村松画廊(東京)
  • 1969 田村画廊(東京)
  • 1971 田村画廊(東京)
  • 1978 Galerie Alfred Schmela(デュッセルドルフ、ドイツ)1979 桜画廊(名古屋)
  • 1979 康画廊(東京)
  • 1980 Annely Juda Fine Art(ロンドン)
  • 1980 Galerie Art in Progress(デュッセルドルフ、ドイツ)1981 アキライケダギャラリー(名古屋)
  • 1982 アキライケダギャラリー(東京)
  • 1985 Galerie Karin Bolz, Mulheim an der Ruhr(西ドイツ)1987 Hoffman Borman Gallery(サンタモニカ、カリフォルニア)
  • 1987 Judson Art Warehouse Viewing Gallery(ニューヨーク)
  • 1987 ギャラリー現(東京)
  • 1988 Judson Art Warehouse Viewing Gallery(ニューヨーク)
  • 1988 San Diego State University Art Gallery(サンディエゴ、カリフォルニア)
  • 1993 アキライケダギャラリー(ニューヨーク)
  • 1997 アキライケダギャラリー(東京)
  • 2001 “NORIYUKI HARAGUCHI Elemente der Wahrnehmung. Arbeiten 1963-2001” レンバッハハウス
  • 市立美術館(ミュンヘン、ドイツ)
  • 2005 アキライケダギャラリー(ベルリン)
  • 2008 Kunst-Station Sankt Peter, Koeln(ケルン)
  • 2009 「原口典之展 社会と物質」BankART Studio NYK(横浜)
  • 2009 アキライケダギャラリー/田浦(横須賀)
  • 2012 McCaffrey Fine Art(ニューヨーク)
  • 2013 「原口典之」金沢美術工芸大学アートギャラリー(金沢)2015 Fergus McCaffrey(ニューヨーク)
  • 2017 ケンジタキギャラリー(名古屋)
  • 2018 「継続と実践」(オイルプール) plan-B(東京)

【グループ展】

  • 1966 「第7回 現代日本美術展」東京都美術館(東京)
  • 1968 「にっぽん・かまいたち」横浜市民ギャラリー(横浜)
  • 1969 「第5回国際青年美術家展」池袋西武百貨店(東京)
  • 1969 「第4回ジャパンアートフェスティバル」 東京国立近代美術館
  • 1969 「現代美術の動向」京都国立近代美術館
  • 1972 「おもりとバネ」東京アメリカンセンター(東京)
  • 1972 「今日の作家 ‘72」横浜市民ギャラリー(横浜)
  • 1973 「点展」横須賀田浦港(横須賀、神奈川)
  • 1973 「第1回箱根彫刻の森美術館大賞展」箱根彫刻の森美術館
  • 1973 「第5回現代日本彫刻展」宇部市野外彫刻美術館(宇部、山口)
  • 1974 “Japan – Tradition und Gegenwart”クンストハレ・デュッセルドルフ(ドイツ)
  • 1975 「方法から方法へ」神奈川県民ホールギャラリー(横浜)
  • 1975 「今日の静物 ‘75」横浜市民ギャラリー(横浜)
  • 1976 「シドニービエンナーレ」Art Gallery of New South Wales(シドニー)
  • 1976 「京都ビエンナーレ’76」京都市美術館
  • 1977 ドクメンタ6(カッセル、ドイツ)
  • 1977 第10回パリ青年ビエンナーレ “Biennale de Paris” Musee National d’Art Moderne, Paris (パリ)
  • 1977 「日米現代美術交換展」80 Langton Street(サンフランシスコ)/ 神奈川県民ギャラリー(横浜)
  • 1978 第6回神戸須磨離宮公園現代彫刻展
  • 1980 「第1回ハラアニュアル – 80年代への展望」原美術館(東京)
  • 1981 “Construction in Process-Art of the 70’s” Lodz(ウッチ、ポーランド)
  • 1981 “Contemporary Japanese Art Exhibition” The Korea Culture and Arts Foundation(ソウル、韓国)
  • 1982 「現代日本美術の展望」富山県立近代美術館
  • 1984 「現代美術の動向 III – 1970年以降の美術 その国際性と独自性」東京都美術館
  • 1986 「日本現代美術展」台北市立美術館(台湾)
  • 1986 「現代の白と黒」埼玉県立近代美術館
  • 1987 「第3回富山国際現代美術展」富山県立近代美術館
  • 1988 「(C)Overt」P.S.1 (ニューヨーク)
  • 1988 「白州・夏・フェスティバル ‘88」(白州、山梨)
  • 1989 「現代美術への視点-色彩とモノクローム」東京国立近代美術館
  • 1995 「1970年 – 物質と知覚 もの派と根源を問う作家たち」岐阜県美術館(岐阜)(広島市現代美術館、北九州市立美術館、埼玉県立近代美術館に巡回)
  • 1995 「戦後文化の軌跡1945-1995」目黒区美術館(東京)(広島市現代美術館、兵庫県立近代美術館、福岡県立美術館に巡回)
  • 1995 「アシアナ-極東の現代美術」ムディマ財団、ヴェンドラミン・カレルジ邸 (ヴェネチア、イタリア)
  • 1996 「1970年 – 物質と知覚 もの派と根源を問う作家たち」Musee d’art moderne, Saint-Etienne(サンテティエンヌ、フランス)
  • 1997 光州ビエンナーレ(光州、韓国)
  • 1997 「重力 – 戦後美術の座標軸」国立国際美術館(大阪)
  • 2002 「アート循環系サイト大分現代美術展 2002」大分市美術館
  • 2005 「もの派 – 再考」国立国際美術館(大阪)
  • 2006 ダンス白州2006(北杜、山梨)
  • 2007 “Das schwarze Quadrat -Hommage an Malewitsch(黒の正方形 – マレーヴィチへのオマージュ)”ハンブルガークンストハレ(ハンブルグ)
  • 2011 「原口典之・若江漢字」横須賀美術館(横須賀)
  • 2012 「コズミック・トラベラーズ – 未知への旅」エスパス ルイ・ヴィトン東京
  • 2012 「TOKYO 1955-1970 : 新しい前衛」ニューヨーク近代美術館
  • 2012 “Requiem for the Sun” Blum & Poe(ロサンゼルス)
  • 2013 “Re:Quest”ソウル大学校美術館(韓国)
  • 2013 「物質と彫刻 近代のアポリアと形見なるもの」東京藝術大学大学美術館陳列館(東京)
  • 2013 「二十億光年の孤独」(-金沢アートスペースリンク 第2回金沢・世界工芸トリエンナーレ サテライト-)金沢アートグミ(金沢)
  • 2014 「東アジアの夢 – BankART life4」BankART Studio NYK(横浜)
  • 2017 アートベース百島5周年企画「CROSSROAD 2」(尾道、広島)
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文化とメディア—書くこと、伝えることについて

1980年代から、国内外で美術、演劇などを取材し、新聞文化面、専門雑誌などに記事を書いてきました。新聞や「ぴあ」などの情報誌の時代、WEBサイト、SNSの時代を生き、2002年には芸術批評誌を立ち上げ、2019年、自らWEBメディアを始めました。情報発信のみならず、文化とメディアの関係、その歴史的展開、WEBメディアの課題と可能性、メディアリテラシーなどをテーマに、このメディアを運営しています。中日新聞社では、企業や大学向けの文章講座なども担当。現在は、アート情報発信のオウンドメディアの可能性を追究するとともに、アートライティング、広報、ビジネス向けに、文章力向上ための教材、メディアの開発を目指しています。

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