映画『発酵する民』より
3.11 からの女性たちの変化や、 鎌倉の「発酵」カルチャー描く
3.11からの女性たちの変化や、 神奈川県鎌倉市の地域コミュニティで生まれた「発酵」カルチャーを描くドキュメンタリー映画『発酵する民』(2020年/92分/カラー/DCP)が2021年9月18日から10月1日まで、名古屋・シネマスコーレで公開される。
平野隆章監督の初めての長編ドキュメンタリー作品。9月18日(土)、19日(日)、監督よる舞台挨拶の予定(詳細は、シネマスコーレで確認)。
2011年の東日本大震災とそれに伴う原発事故の後、鎌倉で「脱原発パレード」に参加した女性たちが結成した「イマジン盆踊り部」に7年間密着したドキュメンタリー。
「3.11後の暮らし」から生まれてくる女性たちの唄や踊りを描きながら、微生物の「発酵」に着目。パン屋や酒蔵を取材し、人と微生物の関係などを見つめ直す。
新型コロナウイルスの感染拡大が続き、収束の見通しが立たない中、3.11をきっかけに生まれたものがコロナ禍の今をも照らす。そんな鎌倉発の「発酵ドキュメンタリー」である。
2021年7月に渋谷のユーロスペースで封切られると、口コミで評判を呼び、横浜、名古屋、富 山、新潟などのミニシアターでの上映が決定。今後も、全国順次拡大公開予定である。
あらすじ
海と山に囲まれた古都・鎌倉。2011年、このまちを「脱原発パレード」で歩いた女性たちが「イマジン 盆踊り部」を結成した。彼女たちは、日々の生活の中で浮かび上がってくる思いを唄にして踊り始める。
お酒や味噌、パンづくりの思想から生まれた「発酵盆唄」。海水を汲み、薪で火を炊いて塩をつくる「塩炊きまつり」。やがて、風変わりな唄と踊りが、人びとをつなげてゆく。
この映画は、鎌倉や葉山のユーモア溢れる抵抗者たちと、盆踊りの渦、女性たちの笑い声を描きながら、太陽系の惑星の動きのマクロな視点や、微生物による「発酵」のミクロな視点を交差させてゆく。
混沌と優しさの中で、何が見つかるだろうか。
スタッフ・出演者
監督・撮影・編集:平野隆章
出演:瀬能笛里子、大嶋櫻子、山口愛、川崎直美、やまもとゆうすけ、高橋彩 勝見淳平(パラダイスアレイ)、寺田優(寺田本家)、杉山開知(地球暦考案者)
音楽:イマジン盆踊り部、pass into silence
題字:瀬能笛里子
協力:土屋豊、OurPlanetTV、平野由里子
配給:福々映像
平野隆章監督プロフィール
1981年、神奈川県生まれ。鎌倉在住の映像作家。
2010年、取材・撮影・編集を担当したドキュメンタリー『宮下公園』(制作 OurPlanet-TV)が、地方の時代映像祭で優秀賞受賞。
2013年、編集を担当した報道ドキュメント『東電テレビ会議 49時間の記録』(制作 OurPlanet-TV)が科学ジャーナリスト賞大賞を受賞。山形や福島、東京の映画館で上映される。
福島の被災者に言われた「原発事故がいつの間にか福島のことだけにされている」という言葉を胸に、 鎌倉で出会った女性たちにカメラを向け、長編ドキュメンタリー初監督作品となる『発酵する民』を発表。
2020年に、鎌倉を拠点にドキュメンタリー映画制作と配給を行う「福々映像」を立ち上げ、全国のミニシアターを回る。
著名人のコメント
鶴田真由さん(女優)
天災、原発事故、コロナウィルス‥‥人間の自然の摂理に背いた行いからの振り戻し。 自然の理はそのようにしか存在しないのだから、そろそろ自分の在り方も見直すべきだと思う。 きっと、もうみんな感づいている。世界がカウントダウンに入っていることを。こういう時、やっぱり女性は早いな、と思う。地位や名誉で動かないからなのか。子供を守りたいという愛に裏づけされた感性で動けるからなのか。 どんなことが心と身体が喜ぶのかを知っている。 そこに従えば「幸せ」は近くなる。「楽しいからおいでよ!」と彼女たちは言う。そんな意識の発酵のはじまり@鎌倉。この映画はそんな発酵はじめの記録の一部だ。
小熊英二 (社会学者、慶應義塾大学教授)
徹底的にローカルで、徹底的に普遍的。人々が「発酵=ふつふつと沸き立つ」ありさまを、洗練された映像で描き出す。