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金田実生さんが第5弾 ギャラリーキャプションのenvelope as a door 夜と昼のできごと

GALLERY CAPTIONからのメールより

 GALLERY CAPTION(岐阜市)が、2020年5月下旬に始めた郵便を介したプロジェクト「envelope as a door」の第5弾、金田実生さんの作品受け付けを2020年9月26日午前10時から始める。

金田実生

 『envelope as a door』第5弾は、金田実生さんよる30点のドローイング。「夜と昼のできごと」と題して、明るく軽やかな日中から夜へと、ドローイングのナンバリングが進むにつれ、「できごと」は次第に夜の色彩をまといながら輪郭を深めていく。

 鉛筆、色鉛筆、ガッシュなどの素材を使い分け、自然の事象と日々向き合いつづける作家の実感の痕跡である。

金田実生

金田実生   『夜と昼のできごと』
ドローイング30点によるシリーズ
紙に鉛筆、色鉛筆、ガッシュ、木炭
15.0×19.5(cm)    2020年
各/ 22,000円 税込、送料込

金田実生

夜と昼のできごと
 
 
昼の光が目にまぶしい。
 
少しツンとくる痛みも感じるほどだがそれも心地よい。
 
明るさがこの一日の清々しい力を運ぶ。
 
今日の日は何が起こるのか。何を起こすのか。
 
何かが少しだけ変化するのはわかっているような気もする。
 
今日が起こすものごとは徐々に積み重なってできごとになる。
 
夜、積もったできごとが形になって夜という色に包まれていく。
 
夜の静かな色は今日を呼び起こし、輪郭を浮かび上がらせる。
 
そして私は明日、また違う色のできごとを見つけるのだろう。
 
 
金田実生

GALLERY CAPTIONからのメールより
金田実生

 envelope as a doorは、ギャラリーと作家、そして封筒を受け取る人とを結ぶメール・アートのプロジェクト。第1弾は藤本由紀夫さん、第2弾は寺田就子さん、第3弾は大岩オスカールさん、第4弾は木村彩子さんだった。

 第5弾以降のラインナップは次の通り。

  • 【vol.6】 寺田就子(10月)
  • 【vol.7】植村宏木(11月)
  • 【vol.8】中村眞美子(11月)
  • 【vol.9】藤本由紀夫(12月)

 新型コロナウイルスの影響で、世界中の人々の生活と健康が脅かされている中で企画された。今後、ポストコロナの新常態の中で、オンラインによるコミュニケーションや、インターネット配信など、新しい生活様式が急速に日常に浸透し、人間が新たな環境でどう生きるか、芸術と人間との関わりはどうなるのかが問われている。
 「envelope as a door」は、そんな現在を見据えたプロジェクトである。

 90年代の初め、インターネットが話題になり出した頃、私は手紙というものは20世紀中になくなってしまうのではないだろうかと考えていたことを、つい最近思い出した。
 直筆で便箋に築かれた世界が折り畳まれ、封筒という二次元ワールドに封印され、世界を旅して、遠い異国の友人のもとに届く。その友人は、封を開けることにより、未知の世界に突然の旅に出る。
そうである。「封筒」とはあの「どこでもドア」と同じものなのである。という事実を、最近世界を騒がせたニュースを見ていて教えられた。

藤本由紀夫 「26 philosophical toys」 2005年
GALLERY CAPTIONのWEBサイトより

 

「envelope as a door」は、からっぽの封筒をギャラリーの空間に見立て、作家の作品を封書で届ける。ギャラリーの入り口の扉を開けるように、封筒を開くと、そこに作品がある。人が作品と出合い、そこから、さらなる出合いへと導かれる‥‥

 GALLERY CAPTIONは、オンライン・ショッピングの仕組みと変わらないと、説明する。それでも、そこには、ギャラリーだからこそできること、作家とギャラリーの真摯なメッセージとともに、美術作品の可能性、人間を豊かにする小さな時間と空間の大切さが提示されているのではないだろうか。


 それは、コロナによって世界の見え方、人間の生活と生き方が変容する中で、人間の価値、人間と世界との関わり、過去と現在、未来をつなぐ可能性を問い直す試みでもある。​

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文化とメディア—書くこと、伝えることについて

1980年代から、国内外で美術、演劇などを取材し、新聞文化面、専門雑誌などに記事を書いてきました。新聞や「ぴあ」などの情報誌の時代、WEBサイト、SNSの時代を生き、2002年には芸術批評誌を立ち上げ、2019年、自らWEBメディアを始めました。情報発信のみならず、文化とメディアの関係、その歴史的展開、WEBメディアの課題と可能性、メディアリテラシーなどをテーマに、このメディアを運営しています。中日新聞社では、企業や大学向けの文章講座なども担当。現在は、アート情報発信のオウンドメディアの可能性を追究するとともに、アートライティング、広報、ビジネス向けに、文章力向上ための教材、メディアの開発を目指しています。

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