2020年8月18日の朝日新聞朝刊によると、2022年のあいちトリエンナーレに向け、新たに設置される組織委員会の会長候補である大手ゼネコン・大林組(東京)の大林剛郎会長が2020年8月17日、愛知県議らを対象とした講演会で、「元々、芸術祭は、議論の場を提供する。議論が大事だ」などと話したという。
講演会は、県の県民文化局が主催。会長候補である大林氏から、県議が話を聞く機会をつくる目的で開催された。非公開で、2時間ほどあり、県議からの質問時間も設けられた。
大林氏は、2019年のあいちトリエンナーレで混乱の原因となった「表現の不自由展・その後」については、「見ていない」として、コメントを控えた。
秋以降に予定される組織委の設立と次回トリエンナーレの芸術監督選考に関しては、「必ずしも、芸術の専門家である必要はない」との考えを示した。芸術の専門家でない場合は、スタッフによる支援体制が必要とも語ったという。出席した自民党県議の1人からは、非常に誠実な人で、「面白い化学反応が起こせる」と期待する声も聞かれたという。
2019年のあいちトリエンナーレで、「表現の不自由展・その後」を巡る一連の混乱を受け、県議会最大会派の自民党県議団の一部からは、これまでの延長線上にあるトリエンナーレの継続に異論が出ていた。愛知県は、2022年のあいちトリエンナーレの運営団体である組織委の設立を、予定していた2020年夏から秋ごろに延期した。
組織委は、芸術監督やテーマ、芸術祭の名称、予算などを決める。愛知県は、現代美術への造詣が深く、海外のアート事情も知っているとして、現代アートコレクターの大林氏を会長候補に選んだ。