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Footnote NZ Dance x 山崎広太 協働ダンスプロジェクト 『薄い紙、自律のシナプス、遊牧民、トーキョー(する)』2024年10月5、6日に愛知県芸術劇場小ホールで上演

海外ツアーを前に愛知と東京で公演

 Footnote NZ Dance(フットノート・ニュージーランド・ダンス) x 山崎広太 協働ダンスプロジェクトの新作コンテンポラリーダンス 『薄い紙、自律のシナプス、遊牧民、トーキョー(する)』が2024年10月5、6日、名古屋・栄の愛知県芸術劇場小ホールで上演される。

 「ニューヨーク・ダンス・パフォーマンス・アワード」(ベッシー賞)や、「グッゲンハイム・フェロー」の受賞歴を持つ振付家・ダンサーの山崎広太が、ニュージーランドで最も歴史のある国立の芸術集団「フットノート・ニュージーランド・ダンス・カンパニー」から委託され、制作した作品である。

 来年以降のニュージーランド、米国ツアーに先駆け、同ホールと東京・シアタートラム(2024年10月12-14日)で披露される。

 作品には、第17回ヴェネツィア・ビエンナーレ国際建築展日本館展示を手がけた木内俊克(舞台美術)や、作曲家のジェシー・オースティン・スチュワート(音楽デザイン)らも参加。

 2015年から舞踏を再追求した3部作を発表している山崎は、日本の観客や次世代のアーティストに、ダンスのエネルギーや刺激的な文化のコラボレーションを波及させることを目指している。

 自身のビジョンとニュージーランドの先住民文化が凝縮し、ダンサーたちの身体がぶつかり合う作品になることが期待されている。

 山崎広太が制作を依頼されたのは2019年。フットノート・ニュージーランド・ダンスからの招聘によって、山崎が共同制作した前作「霧、神経、未来、オーシャン(木霊する)」は2020年、ニュージーランド8都市での上演が実現した。

 その後、フットノート・ニュージーランド・ダンスから、山崎作品を新作に発展させて上演したいとの要請が届き、今回のクリエイションにつながった。

「薄い紙、自律のシナプス、遊牧民、トーキョー(する)」について

 人間が本来持っている、ドゥルーズ・ガタリの精神分裂、または多様なメディウム、オブジェクトなど多くの情報をいかに同時多発に、身体そしてダンスに結ぶかを考えると、非常に神経的で繊細な身体のシステムが浮かび上がる。

 それは関節が自由であり、身体のどのパートも違う方向に促すことができる、ある意味クラゲのようなムーブメントの方向性ではないかと察せられる。

 今まで行ってきた山崎自身の、知覚的、神経的なムーブメントのメソッドとも重なり合う、視覚的に言えば、例えば、米国のビジュアル・アーティスト、サラ・ジーの作品に見られるような、繊細で神経的な線の、巨大なウェブにさまざまなメディウムが吸収されているようなイメージの構築になる。

 また、この作品において、ダンスと言葉をパラレルな関係にすることを考えた時に、話すこと自体をより身体に還元すること、また、それぞれの言葉の文節の間に、分断、麻痺、反復、沈黙、有頂天、多くの感情、そして舞踏を挟み込むことによって、言葉の意味にいろいろなイメージの可能性が喚起される。

 全体を貫いて、言葉が空間に浮遊、点在し、作品のイメージ、コンセプトを照らす。言葉は主にニュージーランド・ウェリントンと東京の風景の断片から喚起されたものであるが、その言葉のイメージに沿ってダンスがつくられるのではなく、パフォーマーから無意識的につくられたダンスが空間にエコーし、パフォーマーは言葉によって喚起されるイメージと動きの間で、絶えずトランスフォームし続ける —山崎広太

フットノート・ニュージーランド・ダンス・カンパニー

 1985年にディアドレ・タランにより設立。ニュージーランドで最も歴史があり、国内唯一のフルタイム、全雇用制度をとる国立芸術団体。ニュージーランド出身で国際的に活躍する著名なダンサーや振付家は、すべて、Footnote Danceを通過している。国内公演のほかに、海外ツアーや国外アーティストとの共同制作を積極的に行ってきており、近年では、米国、中国、ドイツ、イギリス、ベルギー、スイス、フランスでの海外ツアーや共同プロジェクトを展開している。

山崎広太

 新潟県生まれ。舞踏を笠井叡、バレエを井上博文に師事。文化服装学院卒業。1995-2001年までrosy Co. 主宰。 建築家の伊東豊雄ほか、共同作品を多数手がけ国内外で公演。以降、アメリカ拠点に 07’ベッシー賞、13’ 現代芸術財団アワード、17’ ニューヨーク芸術財団、18’ グッゲンハイム・フェロー他、各賞を受賞。21’ドリスデューク財団助成。ボディ・アーツ・ラボラトリー主宰。Dance Base Yokohama ゲストアーティスト。ベニントン大学所属。

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文化とメディア—書くこと、伝えることについて

1980年代から、国内外で美術、演劇などを取材し、新聞文化面、専門雑誌などに記事を書いてきました。新聞や「ぴあ」などの情報誌の時代、WEBサイト、SNSの時代を生き、2002年には芸術批評誌を立ち上げ、2019年、自らWEBメディアを始めました。情報発信のみならず、文化とメディアの関係、その歴史的展開、WEBメディアの課題と可能性、メディアリテラシーなどをテーマに、このメディアを運営しています。中日新聞社では、企業や大学向けの文章講座なども担当。現在は、アート情報発信のオウンドメディアの可能性を追究するとともに、アートライティング、広報、ビジネス向けに、文章力向上ための教材、メディアの開発を目指しています。

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