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林亮太 / 大澤一太 / 大越円香 MEDIA EXHIBITION​ FLOW(名古屋)で2024年11月9-24日に開催

PHOTO GALLERY FLOW NAGOYA(名古屋) 2024年11月9〜24日

若手メディアアーティストの3人展

 写真研究者の北桂樹さん、東京都文京区水道2にあるコンテンポラリーアートギャラリー「aaploit」の斉藤勉さん、名古屋・名駅のPHOTO GALLERY FLOW NAGOYAの中澤賢さんが、それぞれ1人ずつ推薦する3人の若手メディアアーティストのグループ展。

林亮太

 林亮太さんは2000年生まれ。愛知県瀬戸市出身。名古屋学芸大学大学院メディア造形研究科に在籍。学部の頃に、ボーカロイドを使った自作楽曲をインターネット上に投稿をする「ボカロP」(名義:ADA)としてインターネット上で活動。

 仮面のシンガーyamaに「希望論」を楽曲提供。それは、ソニー・ピクチャーズの映画「DIVOC-12」の主題歌になっている。

 SNS上での音楽活動経験から、ソーシャルメディアに溢れるイメージや音、それらのコンテンツを流通させるレコメンドアルゴリズムの影響力に関心を持ち始め、ソーシャルメディアに対するメディア論的視点を作品によって探究している。

 今回出品した「ビックテック・アルゴリズムとの対話」は、TikTokの赤色の動画のみを「いいね」し続けるプログラミングによる作品である。

 それによって、TikTokのアルゴリズムも、赤い動画ばかりをレコメンドしてくる。林さんの作品は、その赤い動画をコレクションするような体裁になっている。

 タイトル通り、巨大テックのアルゴリズムと、1人のアーティストのアルゴリズムの対話、戯れとも言えるし、ささやかな抵抗、挑発とも言える、いわば、ソーシャルネイティブ世代ならではの作品である。

大澤一太

 大澤一太さんは1999年、埼玉県熊谷市生まれ。2024年、京都芸術大学大学院修士課程美術工芸領域映像メディア専攻修了。京都を中心に活動している。

 タータンチェック柄の包装紙で包まれた袋や箱に付いたスピーカーからは、今回の展示の搬入のため、京都から名古屋へ向かう車中の個人的な対話音声が流れている。チェック柄は、袋や箱に入っていた、贈る相手の存在しない「プレゼント」に基づいている。

大越円香

 大越円香さんは2020年、秋田公立美術大学ビジュアルアーツ専攻卒業。2023年、情報科学芸術大学院大学(IAMAS)博士前期課程修了。主な展示に個展「Binocular Date Visualization」(Contemporary Art aaproit/東京)、透況都/Fluid City(NEUU XR Communication Hub/東京)、Archit Disco #4「VORTEX」(Media shop/mogana/京都)、SHIBUYA STYLE vol.14-16(西武渋谷店/東京)、アートアワードトーキョー丸の内2020(行幸ギャラリー/東京)。

 iPhoneに着目し、スマートフォンによって変容した人間の知覚と社会を捉える芸術実践を試みている。スマートフォン登場以降のデジタル画像の見方の変化や視座の変遷をテーマとし、XR(クロスリアリティ)技術やiOSアプリケーション、スマートフォンに搭載されるさまざまなセンサーをもとに考察する。

 今回の作品では、赤外線センサーの反射を利用して3DスキャンをするiPhoneのLiDARスキャナー(LiDARセンサー)によって、対象物を3次元的にスキャンして得られた点の集合をもとに新たなイメージが作られている。

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文化とメディア—書くこと、伝えることについて

1980年代から、国内外で美術、演劇などを取材し、新聞文化面、専門雑誌などに記事を書いてきました。新聞や「ぴあ」などの情報誌の時代、WEBサイト、SNSの時代を生き、2002年には芸術批評誌を立ち上げ、2019年、自らWEBメディアを始めました。情報発信のみならず、文化とメディアの関係、その歴史的展開、WEBメディアの課題と可能性、メディアリテラシーなどをテーマに、このメディアを運営しています。中日新聞社では、企業や大学向けの文章講座なども担当。現在は、アート情報発信のオウンドメディアの可能性を追究するとともに、アートライティング、広報、ビジネス向けに、文章力向上ための教材、メディアの開発を目指しています。

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