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ムンク/幽霊/イプセン 愛知県芸術劇場・愛知県美術館

エドヴァルド・ムンク Edvard MUNCH 《イプセン『幽霊』からの一場面》1906年 テンペラ、画布 愛知県美術館蔵

 ノルウェーの画家、エドヴァルド・ムンク(1863〜1944年)が描いた愛知県美術館所蔵の絵画《イプセン『幽霊』からの一場面》と、モチーフとなったノルウェーの劇作家、ヘンリック・イプセン(1828〜1906年)の作品「幽霊」を原作にした第七劇場(三重県)のパフォーマンス「ムンク/幽霊/イプセン」が2020年1月8〜13日、名古屋・栄の愛知県美術館と愛知県芸術劇場小ホールで催される。

ヘンリック・イプセン

 1881年に発表されたイプセン「幽霊」の主人公は、愛のない結婚でありながら放埒な夫の元にとどまったアルヴィング夫人。夫の死後、夫の偽りの名誉を讃える記念式典を前に、息子のオスヴァルがパリから帰ってくるが、夫人の目には、因習や慣習、愛や結婚、義務と自由などに対する伝統的な価値観が幽霊のように浮かび上がる——。

エドヴァルド・ムンク

 

 一方、愛知県が2017年に収蔵したムンク 《イプセン『幽霊』からの一場面》は1906年制作のテンペラ画。県民からの寄付金を使い、県が5億5000万円で購入した。

 未亡人の屋敷の一室で、表情の見えない複数の人物が別の方向を向いて立つ場面が描かれている。大きなガラス窓の向こうには、蝋燭の不始末で全焼した孤児院の残り火が見え、画面の痛々しいような赤色や、重苦しい暗色が不安を誘う。「幽霊」がドイツの小劇場で上演される際、イプセンから舞台美術の依頼を受け、構想画として描かれたもので、秘密や苦悩に縛られた登場人物の心の内が表現されている。
 同美術館で2020年1月3日〜3月15日に開かれる企画展「コートールド美術館展 魅惑の印象派」の会期中のコレクション展で、展示室4にムンクの版画8点とともに展示される。美術館でのパフォーマンスは、この展示室で約20分間のモノローグ作品として7回上演する。
 一方、劇場小ホールでは、約1時間半の演劇作品として上演する。美術館パフォーマンスは、美術館入場券で鑑賞できる。劇場公演は、一般前売り 3000円、U25 1000円、小中学生無料(要予約)。詳細は特設サイト

 第七劇場は、1999年、演出家の鳴海康平さんが早稲田大学在学中に設立。国境を越える作品を物語や言語だけに頼らず舞台美術と俳優の身体、舞台上に立ち上がる「風景」によって創作する。国内外のフェスティバルなどに招待されている。2014年から、拠点は三重県津市美里町。

鳴海康平
構成・演出・訳の鳴海康平


 
 

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文化とメディア—書くこと、伝えることについて

1980年代から、国内外で美術、演劇などを取材し、新聞文化面、専門雑誌などに記事を書いてきました。新聞や「ぴあ」などの情報誌の時代、WEBサイト、SNSの時代を生き、2002年には芸術批評誌を立ち上げ、2019年、自らWEBメディアを始めました。情報発信のみならず、文化とメディアの関係、その歴史的展開、WEBメディアの課題と可能性、メディアリテラシーなどをテーマに、このメディアを運営しています。中日新聞社では、企業や大学向けの文章講座なども担当。現在は、アート情報発信のオウンドメディアの可能性を追究するとともに、アートライティング、広報、ビジネス向けに、文章力向上ための教材、メディアの開発を目指しています。

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