慰安婦問題を扱い、2019年に異例のロングランヒットとなったドキュメンタリー映画「主戦場」(2018年)が名古屋シネマテークで2022年4月23〜29日、アンコール上映される。
名古屋シネマテークでも2019年、アンコール上映を重ねた。今回は、久しぶりの再映である。
2019年は、慰安婦を象徴する少女像が展示された「あいちトリエンナーレ2019」の「表現の不自由展・その後」が中止に追い込まれ、慰安婦問題論争の核心部分を扱った同映画への関心が広がった。
作品が注目される中、映画祭で「主戦場」が上映中止になる問題も起きた。
2021-2022年は、表現の不自由展の作品の再展示が東京、名古屋、大阪であり、混乱が続いた。
「主戦場」は、慰安婦問題を巡って発言をしているさまざまな人がインタビューを受け、登場。ジャーナリストの櫻井よしこさん、衆院議員の杉田水脈さん、「新しい歴史教科書をつくる会」の藤岡信勝さん、弁護士、タレントのケント・ギルバートさん、「女たちの戦争と平和資料館」事務局長の渡辺美奈さんなどが、それぞれの主張、反論を展開する。
特に右派とされる人たちが日系米国人のミキ・デザキ監督からの質問に自信ありげに丁寧に答え、素直に答える表情、そこに現れるほころびや亀裂のようなものが興味深い。
デザキ監督が着地点を定めず取材する中で情報が整理され、映画はある方向に収斂していく。
2019年6月14日の朝日新聞などによると、出演した3人が5月30日に記者会見を開き、「学術研究だというから協力した。商業映画として一般公開するならインタビューは受けなかった。承諾なく出演させられた」と肖像権侵害を主張するなど、抗議声明を発表した。
これに対し、デザキ氏は「商業公開の可能性も知っていた」などと反論。うち、公開前に確認を求めた2人には発言部分の映像も送った、としている。