RIM(名古屋市千種区松軒2-4-23) 2024年7月27日〜8月4日
NAZE、UC EAST、伊藤潤
伊藤潤さんの名古屋市内の自宅1階のギャラリースペース・RIMで開催されている3人展である。出品作家は、NAZEさん、UC EASTさんと、伊藤潤さん。楽しい展示である。
Delta Form
NAZEさんは1989年、茨城県生まれ。京都精華大学デザイン学部イラストレーションコース卒業。グラフィティカルチャーをベースに制作。パフォーマンスユニットcontact Gonzoの1人としても活動している。
主な展覧会に、「Flowers」(FINCH ARTS、京都、2020)、「ceramic scramble」(ゲンロン カオス*ラウンジ 五反田アトリエ、東京、2019)、「net/stoke GRAFFITI」(Vincom Center for Contemporary Art、ベトナム、2017)、「VOCA展2016」(上野の森美術館、東京、2016)などがある。
小品の展示だが、多種多様で面白い。資料を見せてもらうと、過去には、ダイナミックでユーモアに富んだグラフィティを手がけている。今回は、錆びた金属の支持体に描いた宇宙人のような奇妙なキャラクターに筆者は頬がゆるんだ。動物の顔をした横長のティッシュケースもユニークである。
UC EASTさんは徳島県出身。大阪府在住。クラブカルチャーに触発されたライブペイントから活動を始め、美術やパフォーマンス、デザインなど、コラボレーションを含め、幅広い制作をしている。
今回は、小さな額に入れたドローイングを壁に展開している。バイオモルフィックな不定形が明快に描かれている。どこかノンシャランとした姿、その多義的でつかみどころがないところが惹きつける。
よく見ると、図の部分には、額のアクリル板に裏からも形を描き、また部分的にアクリル板の表面に透明な樹脂を付けるなど、支持体と絵具を重層化させているところも興味深い。
伊藤潤さんは1984年、名古屋市生まれ。名古屋市立大学の芸術工学部と大学院で視覚情報デザインを専攻。現在は絵画を中心に制作している。
伊藤さんは、学生時代にコマ撮りでドローイング・アニメーションを制作したときの経験から、時空の裂け目のような要素を取り入れた絵画を制作するようになった。最近、人物から静物へとモチーフが変化。横ズレしたように分断されたイメージが時間の流れを主題にはらむようになった。
今回の静物画は、家族での欧州旅行の際、教会前で見つけた鳥の死骸がモチーフである。横たわる鳥と、そこに供えた花が精緻に描かれつつ、縦線で分断されている。是生滅法の法則、諸行無常の時間、そして、「いまここ」が暗示されている。