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愛知県が「新・国際芸術祭」(仮称)の推進協、組織委を設立 旧・あいちトリエンナーレ

愛知県が「新・国際芸術祭」(仮称)の推進協、組織委を設立 旧・あいちトリエンナーレ

 愛知県のWEBサイトによると、愛知県は2020年9月8日、「あいちトリエンナーレ」から名称を変えた「新・国際芸術祭」(仮称)の2022年開催に向け、推進協議会と組織委員会を設立した。推進協会長に大村秀章知事、組織委会長に大手ゼネコン大林組の大林剛郎会長がそれぞれ就任した。

推進協と組織委とも、名古屋市は参加していない。

 9月14日午後1時半から、組織委会長に就任した大林剛郎さんの会見がある。

 2019年のあいちトリエンナーレでは、企画の1つ、「表現の不自由展・その後」の展示内容に批判が集中。不自由展が一時中止に追い込まれるなど、トリエンナーレ全体が混乱した。未払いの負担金を巡り、実行委が名古屋市を提訴するなど、今も混乱が続いている。

2022年に向け、知事が会長になる従来の実行委員会方式を改める。芸術監督やテーマなどを決める組織委と、費用面などで開催を支援する推進協議会に分離した。芸術監督候補の選出や組織委会長への助言をする「アドバイザー会議」の委員も、組織委のメンバーに含まれる。

推進協議会会長は大村秀章知事、組織委員会会長は大林剛郎さん

◇推進協議会

 推進協の構成員は、知事、県民文化局長、愛知芸術文化センター長、公益財団法人愛知県文化振興事業団理事長。大村知事が会長を務める。
 新・国際芸術祭の開催支援に当たり、事務局は愛知県県民文化局文化部文化芸術課に置かれる。

◇組織委員会

 組織委の構成員は、大手ゼネコン大林組の会長で、既に候補として発表されていた大林剛郎さんのほか、アドバイザー会議委員5人、県民文化局文化部長。芸術監督も決定後、構成員になる。
 現代芸術を中心とした国際的な芸術祭の準備、開催運営などを担当し、事務局は愛知県県民文化局文化部文化芸術課トリエンナーレ推進室に置く。

 8日に会長に就任した大村知事は、大林剛郎さんに組織委の会長、次の5人に組織委のアドバイザー会議委員を委嘱した。

アドバイザー会議委員には、候補になっていた芸術分野の4人に、組織運営、行政改革や危機管理、都市運営などに詳しい上山信一さん(慶應義塾大学総合政策学部 教授)が加わった。

上山さんは、愛知県の政策顧問で、2020年3月まで、「あいちトリエンナーレのあり方検討委員会」の委員を務めていた。

◎組織委アドバイザー会議委員

  •  青柳 正規(学校法人多摩美術大学 理事長)
  •  上山 信一(慶應義塾大学総合政策学部 教授)
  •  建畠 晢(多摩美術大学 学長)
  •  寺内 曜子(現代美術作家)
  •  山梨 俊夫(国立国際美術館 館長)

組織委会長就任メッセージ

就任に当たり、大林さんは新・国際芸術祭のWEBサイトにメッセージを寄せた。

この度、新・国際芸術祭(仮称)組織委員会の会長に就任しました大林剛郎です。今回、日本を代表する国際芸術祭に携わることができ、大変うれしく思っております。
社会基盤としての芸術や都市のあり方は長年にわたって私の関心の一つであり、これまで国内外での現代美術の普及活動や、美術館のサポートに関わってきました。
アートは、それが媒介となって新たな人の流れや交流を生み出したり、また、その土地の歴史・文化や、そこに住む人々の暮らしを新しい視点からとらえ直して魅力を掘り起こすなど、都市やまちづくりと密接な関係があります。
愛知県は、ものづくり産業を中心として発展を続けている一方で、伝統文化・工芸や食文化などの豊富な文化資源を有しています。こうした背景のもと、愛知万博のレガシーとして「あいちトリエンナーレ」を2010年から継続的に開催してきたことにより、アートが幅広い方々に親しまれるとともに、アーティストの活動の場も着実に地域に根付き、国際芸術祭を開催するにあたって素晴らしい舞台であると感じております。
芸術祭は、私たちと同じ時代を生きるアーティストが、その地域の歴史・文化をどういった視点からとらえ、どのように発想し、どういったかたちで現代アートとして表現するのかといった過程をリアルタイムで感じ、体験できる絶好の機会です。
愛知ならではの芸術祭となるよう、これから選任する芸術監督を中心として、キュレーターチームとともに企画の準備を進めていきます。
また、現在、新型コロナウイルスの影響によって、人と人との関係性や、社会や都市のあり方が大きく変化しています。このような時代であるからこそ、人と人との絆を再構築し不寛容な風潮を打破する契機としてアートの力が必要だと考えています。
愛知県の皆様、世界中のアーティスト、ボランティア、応援していただける方々、そして来場者の皆様とともに、多くの方に親しまれ、世界に誇れる最高峰の国際芸術祭をつくりあげるというミッションに挑戦していきたいと思います。
国際芸術祭を将来にわたって継続していくことは大きな財産であり、愛知県の創造性や国際的な発信力を高めるだけにとどまらず、日本、ひいては世界の文化芸術の発展に大きく貢献するものであると確信しております。

新・国際芸術祭(仮称)組織委員会会長大林剛郎(株式会社大林組代表取締役会長)

モニカ・メイヤーの展示、名古屋市美術館
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文化とメディア—書くこと、伝えることについて

1980年代から、国内外で美術、演劇などを取材し、新聞文化面、専門雑誌などに記事を書いてきました。新聞や「ぴあ」などの情報誌の時代、WEBサイト、SNSの時代を生き、2002年には芸術批評誌を立ち上げ、2019年、自らWEBメディアを始めました。情報発信のみならず、文化とメディアの関係、その歴史的展開、WEBメディアの課題と可能性、メディアリテラシーなどをテーマに、このメディアを運営しています。中日新聞社では、企業や大学向けの文章講座なども担当。現在は、アート情報発信のオウンドメディアの可能性を追究するとともに、アートライティング、広報、ビジネス向けに、文章力向上ための教材、メディアの開発を目指しています。

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