『ヘッダ・ガーブレル』Ⓒmatron2021
2022年度ミニセレ第1弾 イプセンの名作
名古屋・栄の愛知県芸術劇場小ホールで2022年6月29日午後8時、30日午後2時、「Co.Ruri Mito 2022『ヘッダ・ガーブレル』」が再演される。
近代演劇の父といわれるノルウェーの劇作家、イプセンの名作をコンテンポラリーダンス・映像・音楽で上演するライブパフォーマンス。小ホールで前衛的、実験的な作品を紹介する「ミニセレ」シリーズの2022年度第1弾の企画である。
2020年度文化庁芸術祭舞踊部門新人賞を受賞したダンサー・振付家の三東瑠璃が演出・振付・主演を務める。
三東をはじめ、ダンサー5人が出演。舞台上で上映される映像には、森山未來などのアーティスト4人が登場する。
海外戯曲作品の創作によって国内外で高い評価を得ている「一般社団法人 壁なき演劇センター」が2021年3 月、三東瑠璃を演出・振付、メインダンサーとして招いて挑んだ。
アンサンブルに Co.Ruri Mito で活動するダンサー、映像キャストに映画や舞台など幅広いシーンで活躍する森山未來らを配している。
愛知公演概要
会 場:愛知県芸術劇場 小ホール(名古屋市東区東桜1丁目13番2号)
日 時:2022年6月29日(水)20時、6月30日(木)14時
※ 開場は開演の30分前
演出・振付:三東瑠璃
作 :ヘンリック・イプセン
翻 訳:原千代海、ドラマトゥルク:杉山剛志
出 演:三東瑠璃 / 青柳万智子、安心院かな、金愛珠、斉藤稚紗冬(Co.Ruri Mito)
映 像 出 演 :森山未來、 杉山剛志、 中村あさき、 宮河愛一郎
チ ケ ッ ト :全席自由・整理番号付
【前売】一般 3,500円 18~24歳以下 3,000円 高校生以下 2,000円
【当日】全席種いずれも 4,000円
チケットの取り扱いなどは、公式サイトへ。
ヘンリック・イプセン(Henrik Johan Ibsen)(1828-1906年)
近代演劇の父と称されるノルウェーの劇作家、詩人。シェイクスピア以降、世界で最も盛んに上演された劇作家として知られる。
幼くして家が破産し、風刺的な詩や戯曲などを書きはじめる。創刊した週刊誌は廃刊、支配
人となった劇場も経営不振で閉鎖の憂き目に遭うが、戯曲『ブラン』(1866年)がようやく世に認められ、『人形の家』(1879年)で不動の名声を得る。
その後は、『幽霊』(1881年)、『民衆の敵』(1882年)などの戯曲を世に送り、近代演劇だけでなく、女性解放運動にも大きな影響を与えた。
ヘッダ・ガーブレル
ノルウェーの劇作家、イプセンによって、1890年に書かれた戯曲。
気丈で美しく、しかし、内面に、捕らえられた獣のような怯えや怒りを抱えているヘッダ。
閉塞感からの解放と人生の勝利を手に入れようとするが、社会の力に声も奪われ、それでも誇りや尊厳を譲り渡すまいとする彼女の人生を通して、『いったい自分は何処へ向かう何者なのか?』という命題が浮かび上がってくる。
リアリズム形式で書かれているが、メタファーとシンボルが巧みに活用された作品である。
(ドラマトゥルク:杉山剛志)
三東瑠璃(演出・振付) Co.Ruri Mito 主宰
5歳からモダンダンスを始める。2004年、日本女子体育大学舞踊学専攻卒業。2004‒2010年、ダンスカンパニー<Leni-Basso>所属。
その後、フリーランスとして活動。スウェーデン王立バレエ団でゲストダンサーとしてWim Vandekeybus『PUUR』、Sasha Waltz『Körper』に出演した。
また、Damien Jaletと名和晃平による『VESSEL』に出演するなど、国内外で、ダンサーとして活躍する。2017年に土方巽記念賞を受賞。
同年、<Co.Ruri Mito>としてグループ活動を開始。2020年に文化庁芸術祭新人
賞を受賞。
2021年6月公開、石川慶監督映画『Arc』で振付を担当。2020年度より公益財団法人セゾン文化財団セゾン・フェローII。
Co.Ruri Mito(コー・ルリミトウ)
国際的に活躍する三東瑠璃主宰のダンスカンパニー。
個々の身体の特徴を深く追求しながら、質の高い作品の創作を目指している。これまでに、『みづうみ』(2017年)、『住処』(2018年)、後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)とのコラボレーション作品『MeMe』(2019年)、『Where we were born』(2020年)、『TOUCH-ふれる-#1』(2022)を発表している。
三東瑠璃 コメント
2021 年初演時のクリエーション開始前に本読みを始めた頃、すぐに私は、自分自身がヘッダなのではないかと感じました。
私は、物語をそのまま追って披露することで「何か」を伝えようとは思いませんでした。ヘッダの人生を通して「何か」を伝えたいと思いました。
その後、ヘッダに寄り添った形で本を読むことになっていきました。ドラマトゥルクの杉山さんらと戯曲の本質を探るべく、読解に時間を費やし語り合いました。
そして、私の個人的な意識と結びつけて、ヘッダという人物が私の中で育てられていきました。 時に内側に抱えているもののほとんどがネガティブに感じられました。
苦しみも痛みも嫉妬も愛情も、それらすべてをダンス(身体)で表現しました。本の中でヘッダは死んでしまいますが、 今、私は、生きることを選んでいます。 私はヘッダでもあるし、三東瑠璃でもあるのです。
そんな気づきを得てからは、少し気持ちが楽になりました。受け入れ、受け入れられる関係
を築きたいという心の奥底の叫び、想いも作品に現れている気がします。
でも、ヘッダは死んでしまいました。それはなぜでしょうか? ご覧になった皆様に、さまざまな解釈ができるような演出をしました。自分自身を見つめ直すきっかけになれば嬉しいです。
このダンス作品では、ヘッダ以外の登場人物はいません。ヘッダとコロス 4 名、映像、音楽、舞台美術、照明、衣裳で構成されます。
再演ではありますが、初演と同じ時間をかけて本気で毎日稽古を積み重ねています。ぜひ劇場まで足を運んでいただけましたら幸いです。