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奇跡の映画 カール・テオドア・ドライヤー セレクション 名古屋シネマテークで2月12-25日

Carl Theodor Dreyer

 孤高の映画作家、カール・テオドア・ドライヤー(1889〜1968年)の4作品を上映する「奇跡の映画 カール・テオドア・ドライヤー セレクション」が2022年2月12〜25日、名古屋・今池の名古屋シネマテークで開催される。

 カール・テオドア・ドライヤーは、19世紀末にデンマークで生まれ、独創的、革新的な作品を生み出しながら、一貫して人間、特に女性の心の真髄をフィルムで捉え続けた。

 ジャン=リュック・ゴダール、フランソワ・トリュフォー、イングマール・ベルイマンなどの巨匠から、アルノー・デプレシャン、ギャスパー・ノエといった現代の先鋭まで、数多くの映画監督に多大な影響を与え、世代を超えて敬愛されている。

 79年の生涯で長編14作品を発表。被写体を見つめ、モノクロームの世界を巧みに操ることで、新たな映画芸術の可能性を示し続けた。

 今回は、ゴダールが『女と男のいる舗道』で引用したことでも有名な『裁かるゝジャンヌ』と後期3作品がデジタルリマスタリングされ、スクリーンによみがえる。

日程

2月12(土)〜 18日(金)2月19(土)〜 25日(金)
13:35 裁かるゝジャンヌ13:50 奇跡
15:35 怒りの日16:15 ゲアトルーズ

裁かるゝジャンヌ

裁かるゝジャンヌ

監督・脚本・編集:カール・テオドア・ドライヤー
歴史考証:ピエール・シャンピオン
撮影:ルドルフ・マテ
出演:ルネ・ファルコネッティ、アントナン・アルトー
1928年 / フランス / モノクロ / スタンダード / ステレオ / 97分 / 2Kレストア

 ジャンヌ・ダルクは百年戦争で祖国の地を解放に導くが、敵国で異端審問を受け、司教からひどい尋問を受ける。自ら火刑に処される道を選び、処刑台へと向かっていくジャンヌの姿を捉えた、無声映画の金字塔的作品。

怒りの日

怒りの日

監督・脚本:カール・テオドア・ドライヤー
原作:ハンス・ヴィアス=イェンセン
撮影:カール・アンダソン 時代考証:カイ・ウルダル
出演:リスベト・モーヴィン、トーキル・ローセ
1943年 / デンマーク / モノクロ / スタンダード / デンマーク語 / モノラル / 97分 / デジタルリマスター

1974年ヴェネチア国際映画祭 審査員特別表彰

 中世ノルウェーの村で牧師アプサロンと若き後妻アンネの夫婦は平穏に暮らしていた。しかし、前妻との一人息子マーチンが帰郷すると、アンネと親密な関係に。そんな折、アプサロンが急死し、アンネが魔女として死に至らしめたと告発を受けてしまう…。陰影を巧みに使ったモノクロームの映像美で、魔女狩りが横行する時代の複雑に絡み合う関係性を映した衝撃作。

奇跡

奇跡

監督・脚本:カール・テオドア・ドライヤー
原作:カイ・ムンク
撮影:ヘニング・ベントセン
舞台美術:エーリック・オース
出演:ヘンリク・マルベア、ビアギッテ・フェザースピル
1954年 / デンマーク / モノクロ / スタンダード / デンマーク語 / モノラル / 126分 / 2Kレストア

1955年ヴェネチア国際映画祭 金獅子賞
1956年ゴールデングローブ賞 最優秀外国語映画賞

 ユトランド半島に農場を営むボーオン一家が暮らしていた。長男の妻で妊婦であるインガーはお産が上手くいかず、帰らぬ人に。家族が悲嘆に暮れる中、自らをキリストだと信じ、精神的に不安定な次男ヨハンネスが失踪するが、突如、正気を取り戻しインガーの葬儀に現れる。カイ・ムンクの戯曲「御言葉」を原作に、演劇的目線で家族の葛藤と信仰の真髄を問う傑作。

ゲアトルーズ

ゲアトルーズ

監督・脚本:カール・テオドア・ドライヤー
原作:ヤルマール・セーデルベルイ
舞台美術:カイ・ラーシュ
衣装:ベーリット・ニュキェア
出演:ニーナ・ペンス・ローゼ、ベント・ローテ
1964年 / デンマーク / モノクロ / ヴィスタ / デンマーク語 / モノラル / 118分 / 2Kレストア

1965年ヴェネチア国際映画祭 国際映画批評家連盟賞

 弁護士の妻であるゲアトルーズは夫との結婚生活に不満を抱き、若き作曲家エアランとも恋愛関係にある。ある日、彼女の元恋人であり著名な詩人ガブリエルが帰国し祝賀会が催され、ゲアトルーズはエアランの伴奏で歌唱するが卒倒してしまう。愛を探し求め続けたゲアトルーズの姿を完璧な様式美の画面に収め、会話劇に徹した、ドライヤーの遺作にして集大成的作品。

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文化とメディア—書くこと、伝えることについて

1980年代から、国内外で美術、演劇などを取材し、新聞文化面、専門雑誌などに記事を書いてきました。新聞や「ぴあ」などの情報誌の時代、WEBサイト、SNSの時代を生き、2002年には芸術批評誌を立ち上げ、2019年、自らWEBメディアを始めました。情報発信のみならず、文化とメディアの関係、その歴史的展開、WEBメディアの課題と可能性、メディアリテラシーなどをテーマに、このメディアを運営しています。中日新聞社では、企業や大学向けの文章講座なども担当。現在は、アート情報発信のオウンドメディアの可能性を追究するとともに、アートライティング、広報、ビジネス向けに、文章力向上ための教材、メディアの開発を目指しています。

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