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映画「コール・ミー・ダンサー」2024年11月29日にセンチュリーシネマ(名古屋)ほか全国公開

インド人ダンサーのドキュメンタリー

 異色のインド人ダンサーの成長を追ったドキュメンタリー映画「コール・ミー・ダンサー」が2024年11月29日、センチュリーシネマ(名古屋)ほかで全国公開される。

 2020年のNetflix映画「バレエ 未来への扉」に本人役で出演したダンサーのマニーシュ・チャウハンのドラマチックな半生を描きだす。

 遅咲きのインド人バレエダンサーが数々の試練に立ち向かいながら夢に向かって奮闘する姿をとらえ、世界各地の映画祭で多数の賞を受賞した。

 インドとダンスといえば、『ムトゥ 踊るマハラジャ』や『RRR』といった人気映画の中のワンシーンを思い浮かべる人が多いはず。しかし、本作に登場するマニーシュは、クラシックバレエ、コンテンポラリーダンスで才能を開花。その成長を描く本作はダンスの王道ドキュメンタリーである。

 18歳の時にボリウッド映画のアクロバティックな動きに魅了され、自己流トレーニングで驚異的なテクニックと柔軟性を身につけたマニーシュ。

 イスラエル系米国人のダンス教師イェフダとの出会いによって、クラシックバレエの技術を短期間で習得した彼は、「プロのダンサーとして世界で活躍したい」と人生をダンスに捧げる。

 18歳という遅いスタート、インド人がバレエダンサーになる難しさ、家族との関係など幾多の試練とともに印象づけられるのは、彼の才能に気づいたイェフダとの師弟愛だ。

 ナタリア・マカロワやルドルフ・ヌレエフへの指導経験もあるイェフダのキャリアや、イスラエルや米国のコンテンポラリーダンス事情が、マニーシュの成長とシンクロして描写され、ダンス好きな人にもアピールする。

 「海賊」「バヤデール」「くるみ割り人形」といったバレエ音楽の使われ方も絶妙。ヒップホップやインドの伝統ミュージックの挿入が、ダンスというカルチャーの多様性を物語る。

 監督・プロデューサーを務めたレスリー・シャンパインは、元バレエダンサーで、かつてイェフダのレッスンを受けた経験もある映像作家である。

ストーリー

 インドのムンバイ。それまでダンスなど興味のなかったマニーシュ・チャウハンは、18歳で観たボリウッド映画でバク転する主人公から「自分もこれをやりたい」と神の啓示を受けたかのように自己流のトレーニングを始める。

 大学で授業を受けている時も、腕だけで全身を支えるなど筋力を鍛え、柔軟性も目に見えるようにアップ。さまざまな動きが可能になると、マニーシュはダンス熱を抑えられなくなる。

 しかし、インドではダンスは富裕層の趣味で、タクシー運転手の息子であるマニーシュは、ダンスが仕事になるなんて夢にも思わなかった。

 TV のリアリティ番組「ダンス・インディア・ダンス」に出演。番組の審査員にも褒められたことで、自宅から片道2時間をかけてダンススクールに通うようになる。そこで出会ったのが、イスラエル系米国人のダンス教師、イェフダ・マオールだ。

 マニーシュは身体能力の高さによって、イェフダが教えるクラシックバレエの基礎を短期間で習得。イェフダもマニーシュの才能に惚れ込む。やがてスクールには、マニーシュより年下で、才能に恵まれたアーミル・シャーも通い始め、イェフダは2人のためだけに時間をとって指導するようになった。

 彼らの類い稀な能力は英国ロイヤルバレエの目にも留まり、若いアーミルはロイヤルバレエ学校にインド人として初の入学が決まる。ライバルの躍進にマニーシュの心は揺れた。

 年月が経ち、マニーシュは24歳。年齢的にバレエ団への入団も難しくなっていくなか、イェフダの縁も頼りに、イスラエルのカンパニーに入ることを模索する。「キブツ・コンテンポラリー」「ヴェルティゴ・ダンス・カンパニー」などを訪れるが、受け入れ先は決まらない。

 一方、インド国内では、映画の主役に抜擢されるなど、マニーシュは注目の存在となっていく。25歳となり、大きなケガも経験。肩の手術を余儀なくされ、回復まで1年を要することになる。不運は続き、2020年、世界では新型コロナウイルスによってロックダウンが始まる。

 そんな状況下で、マニーシュは最後のチャンスだと信じ、ニューヨークのダンススクール「ペリダンス・センター」の扉を叩いた。ソロ・パフォーマンスのチャンスも舞い込んだ。ワシントン D.C.のケネディセンターで、マニーシュは自分の振付を観客の前で披露する──。

キャスト

マニーシュ・チャウハン Manish CHAUHAN
 1993年12月28日生まれ、インド・ムンバイ出身。大学生の時にボリウッド映画を観たことでダンスに興味を持ち、ブレイキンを独学で学び始める。「インディアンズ・ゴット・タレント」や「ダンス・インディア・ダンス」などの人気リアリティ番組に出演し注目を浴びたことをきっかけに、ムンバイのダンスワークス・スクールに通い始める。
 そこで、イスラエル系米国人の師イェフダ・マオールと出会い、バレエを学んだ。2020年、自身の半生を描いた Netflix 映画「バレエ:未来への扉」で自身の役を演じた。現在、ニューヨークのペリダンス・コンテンポラリー・ダンス・カンパニーでダンサーとして活躍している。

イェフダ・マオール Yehuda MAOR
 1943年9月4日生まれ。テルアビブのバットドール・ダンス・カンパニーでプリンシパル・ダンサーとしてキャリアをスタート。引退後は、ルドルフ・ヌレエフやナタリア・マカロワをはじめとする世界中の偉大なダンサーたちを指導し、サンフランシスコのダンサーズ・ステージとバレエ・マディソンでディレクターを務めた。現在も、インドでバレエ教師として活躍している。

スタッフ

監督・プロデューサー:レスリー・シャンパイン Director & Producer:Leslie SHAMPAINE
 ダンサーを引退後、映像業界に入る。エミー賞受賞作品を含む、ケネディ・センター名誉賞の受賞者の30本を超える伝記映画に8年間携わったほか、ドキュメンタリー、文化的及び教育的な番組まで幅広く手がける。
 主な作品にPBSの”One World: India”、”Avoiding Armageddon”、” Closer To Truth”、テリー賞、シネ・ゴールデン・イーグル賞、ワールドフェスト・ヒューストン国際映画祭でゴールド・レミ賞を受賞した” Who Betrayed Anne Frank”(ディスカバリー・チャンネル)、“DC Cupcakes”(TLC)、“Smithsonian Networks series’ Seriously Amazing Objects”(A&E)、エミー賞とケーブルACE賞にノミネートされた“Fireworks, with George Plimpton”(A&E)など。

【配給】東映ビデオ
©2023 Shampaine Pictures, LLC. All rights reserved.

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文化とメディア—書くこと、伝えることについて

1980年代から、国内外で美術、演劇などを取材し、新聞文化面、専門雑誌などに記事を書いてきました。新聞や「ぴあ」などの情報誌の時代、WEBサイト、SNSの時代を生き、2002年には芸術批評誌を立ち上げ、2019年、自らWEBメディアを始めました。情報発信のみならず、文化とメディアの関係、その歴史的展開、WEBメディアの課題と可能性、メディアリテラシーなどをテーマに、このメディアを運営しています。中日新聞社では、企業や大学向けの文章講座なども担当。現在は、アート情報発信のオウンドメディアの可能性を追究するとともに、アートライティング、広報、ビジネス向けに、文章力向上ための教材、メディアの開発を目指しています。

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