「最初の一枚」2000-01 年 ゼラチンシルバープリント © Masashi Asada
映画『浅田家!』の浅田政志さんの新作と代表作を紹介
自身を含む家族写真「浅田家」で知られる写真家、浅田政志さんの新作と過去の作品で構成する浅田政志写真展「Life Stories」が2022年11月26日〜12月18日、愛知県春日井市の文化フォーラム春日井で開かれる。
2020年春に春日井で開催が予定された浅田さんの写真展が、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、中止となったのを受け、2年を経て企画された。
みんな家族「大塩家」2010 年 タイプ C プリント © Masashi Asada
集合写真ではない新しい家族写真のシリーズ「私の家族」と、「浅田家」の発端となった「年賀状」や「卒業制作」、「浅田家全国版」「みんな家族」など過去の代表作の計80点を紹介する。
新シリーズ「私の家族」
2020年3月、津市のプラネタリウムで撮影された作品「真木家」が発端で始まったシリーズ。
「真木家」2020 年 タイプ C プリント ©Masashi Asada
「真木家」は、幼少期から親代わりをしてくれた祖父と成人式後、死別した経験をもつ春日井市在住の真木美知子さんという1人の被写体の視点からみた「家族写真」。かすがい市民文化財団がコーディネートし、浅田さんが撮影した。
この作品をきっかけに始まった「私の家族」は、家族全員が集まってカメラに向かうのではなく、1人の被写体による視点から捉えられた家族像を、浅田さんによる複数の写真と被写体本人の文章で表現している。
家族や本人についての話を聞きながら、人生で感じた心の“襞”を一緒に探し、イメージを作りあげる。大阪版、福岡版、茨城版が発表され、春日井市のバージョンはシリーズ 4 カ所目。今回は 5人の“視点”を披露している。
浅田家全国版「茨城県」2022 年 © Masashi Asada ※最新作
展覧会概要
会 期 2022 年 11 月 26 日(土)~12 月 18 日(日)
休 館 日 月曜日
開場時間 10:00~17:00(最終入場 16:30)
会 場 文化フォーラム春日井・ギャラリー
料 金 一般¥500、PiPi 会員¥400、U-25¥300、高校生以下・障がい者及び介護者(付添人)入場無料
見どころ
「私の家族」の新作を発表。春日井にゆかりのある 5 人の家族観を作品化した。
「私の家族」写真撮影プロジェクト春日井版として、春日井ゆかりの5組を募集したところ、66組の応募があった。浅田政志さんが5組を選び、2022年9月に5組の家族を撮影した。
それぞれ生まれや育ちも違えば、背景も全く異なる「家族」が作品化されている。
例えば、「麻生淳子さん」は、約10カ月前から車いす生活になった。家族のサポートによって、撮影時は車いす生活から 2 度目の外出となった。
私の家族「麻生淳子」2022 年 © Msashi Asada
エジプトからきた「Hanyさん」は日本で子育てをしている。コロナ禍で帰国できず、遠く離れた母国の家族と日本の家族の間で心苦しさを抱きながら頑張っている。
私の家族「Hany」2022 年 © Msashi Asada
浅田政志さんプロフィール
写真家。1979年、三重県生まれ。自らも被写体となった家族写真集『浅田家』(赤々舎)で第34回木村伊兵衛写真賞を受賞。
日本各地の市井の人々を撮影するアートプロジェクトや写真の啓蒙活動に精力的に取り組んでいる。
著書『浅田家』と『アルバムのチカラ』(赤々舎)を原案とした映画『浅田家!』が 2020 年 10 月に公開された。
浅田政志さんコメント
東日本大震災の写真洗浄ボランティアで想像を絶する状況の中、写真を探しに来る方、
見つけて涙ぐむ方がいて、写真には普段眠っている力があることを教えてもらいました。
たとえ他人のために撮っていない“なにげない”写真でも、時として芸術としての写真より
深く心に迫ってくるのです。プロの写真家が我が子の写真集を出版しないのは、見た人が
何かを考えたり、気づきがないから。でも、写真家にとって意味がないわけじゃない。“写
真は鏡”と言われる一因がそこにあるかもしれません。
春日井に日本自分史センターがあるということは、人の物語に耳を傾けてくれる日本一
の街だと思います。そこで写真を展示できるのが本当に楽しみです。
浅田政志
浅田家「バンド」2005年 タイプCプリント ©MasashiAsada