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ARTS CHALLENGE 2022(アーツ・チャレンジ) 2022年1⽉22⽇-2⽉6⽇愛知芸術文化センターで

ARTS CHALLENGE(アーツチャレンジ) 2022

 国際芸術祭「あいち」組織委員会 による若手の現代美術展「ARTS CHALLENGE 2022」(アーツ・チャレンジ)が2022年1⽉22⽇〜2⽉6⽇、愛知芸術文化センター(名古屋・栄)で開かれている。 観覧無料 。

 国際芸術祭「あいち 2022 」のプレイベントとして「I Got Up 生きなおす空間」をテーマに開催。全国から応募のあった170組から選ばれた8組のアーティストが 、愛知芸術文化センターの空間で作品を展示する。

 入選者(出品者)は、江藤佑一、小栢可愛、黒木結、佐野魁、私道かぴ(安住の地)、篠藤碧空、宮内由梨、三枝愛(50音順)の各氏である。

 入選者略歴、作品プランは、こちら

展示作品

江藤佑一

江藤佑一

 1989年、東京都生まれ。2017年、東京藝術大学大学院美術研究科彫刻専攻修了。2019年、「群馬青年ビエンナーレ2019」(奨励賞、群馬県立近代美術館)。

 作家がつくった「MAEGARI」という概念を、手作りマスクにまつわる装置で実践したという作品。

小栢可愛

小栢可愛
小栢可愛

 1987年、京都府生まれ。2012年、大阪成蹊大学芸術学部美術学科現代美術コース卒業。2017年、ゲンロン カオス*ラウンジ新芸術校二期上級修了。

 河原温が絵葉書に起床した時刻を記して特定の相手に郵送したメール・アートのシリーズ「I Got Up」への批評的オマージュともいえる作品。

 絵葉書の絵の部分が愛知芸術文化センターの窓ガラスから見える名古屋の街並みになっていて、それに、パレスチナ自治区のガザ紛争など、世界各地で起きている出来事に関わるイメージのフィルムが重ねられている。

 窓に連作として何点も展示されているが、出来事の起きた日付は西暦だけでなく、ビルマ暦、イスラム暦など、世界各地の多様な暦になっている。

 「I Got Up」という河原温の極私的なメッセージに対し、世界各地のニュースをモチーフとすることで、世界的に懸念される無関心と民主主義の危機、コロナ禍での内向き志向への問題提起になっている。この展覧会での筆者一押しの作品である。

黒木結

 1991年、大阪府生まれ。

 作家が国内外の6人の友人にしたモーニングコールの録音音声が電話をかけた同時刻に会場で再生される。パンデミック下でのコミュニケーションがテーマ。

佐野魁

 1994年、静岡県生まれ。

 作家が自分の部屋をモチーフに描いた壁画の大作である。コロナ禍でステイホームの時間が増える中、自宅や自分の部屋がこれまでと異なる意味を持つようになっていることが背景。

 コンクリートに木炭で描かれているが、イメージが剥がれ落ちやすい上に、支持体にもひびが入っている。

 堅牢であるはずのコンクリートに多数の亀裂があるように、安全圏であるはずの場所も実は脆弱なのではないか。アジールのあいまいさ、危うさが表象されている。

私道かぴ(安住の地)

私道かぴ(安住の地)

 1992年、兵庫県生まれ。私道かぴさんは劇作家で、 「第20回AAF戯曲賞公開最終審査会」で戯曲作品が2次審査を通過している。

 作家が「父親だと実感したのはいつか?」というアンケートを30人に対して行い、その回答を基につくった脚本を、6人の俳優に読ませた映像作品である。

 それぞれ5分ほどの映像6本がつながってループする。

 妊娠、出産という身体的、生理的な体験をしない男性が親になったことをどこで自覚できたのかという、極めて個人的な経験上のタイミングを、女性を含め、子どもをもった経験がない俳優に演じさせているのが肝。

 即興的に演技していることもあって、個別具体的な実感がぎこちなさとともに表出されている。

篠藤碧空

篠藤碧空

 1999年、広島県生まれ。2021年、広島市立大学芸術学研究科造形芸術専攻現代表現研究室在学。

 アーティストによる活動を「労働」と考える作家は、愛知芸術文化センターの休館日を除き、会場でフェイクの柱を押して動かし続けるパフォーマンスを続ける。

 ここでの労働は創造性を欠き、単純に反復されるものである。フェイクの柱は近くにある本物の柱ととても似ていて、どこかユーモラスだが、実際はとてつもなく過酷なパフォーマンス=労働なのである。

宮内由梨

宮内由梨

 1988年、長野県生まれ。「新潟市 水と土の芸術祭 2018」参加。

 新藤淳賞

 アトピー性皮膚炎に苦しんだ2017年の海外滞在中、その日に体を掻きむしったのと同じ強さで、はがきに縫い付けた綿のガーゼをひっかき、メール・アートにした。

 作品は、帰国後も継続して制作されている。ガーゼ布の表面の傷によって、比較的穏やかであった日、痒みに苛まれた日などの変化が分かる。

 はがきを縦横に連ねた大きな平面作品も展示されている。

三枝愛

三枝愛

 1991年、埼玉県生まれ。2021年、「ab-sence/ac-ceptance 不在の観測」(岐阜県美術館)

 沢山遼賞、竹村京賞

 曽祖父の所有だと思い、友人宅への近道として自分の庭のように親しんできた畑が、曽祖父の死をきっかけに、実は全く別人の土地だと分かった経験が基になった、記憶と記録、真実と虚構、物語と創作をめぐる進行形のインスタレーションである。

 作家は、別人の土地だと分かった後も、曽祖父の月命日だけはその畑に入っていいというルールを自分で決め、自分が畑を歩く道行をカメラで撮影し続けた。その後、畑のキャベツが育ち、それも中止を余儀なくされた・・・。

 東浩紀さんがいう《誤配》のように、間違い、偶然、ノイズが引き起こす創作だともいえる。作家は、それを「庭のほつれ」と呼び、タイトルにしている。

 畑を撮影したスライドやサイアノタイプ(日光写真)、栗を包んでいたいが、桜の葉や、それらで染めた布によって、インスタレーションが構成されている。

概要

期 間:2022年1月22日(土)~2月6日(日)
休場日:月曜日(1月24日、1月31日)
時 間:10時~18時(最終日のみ16時閉場)
会 場:愛知芸術文化センター アートスペースXおよびパブリック・スペース(名古屋市東区東桜1-13-2)
観覧料:無料

関連イベント

※イベントの詳細は、12月中旬頃、特設サイトに掲載

[オープニングイベント]入選アーティストによるリレー・トーク

日 時:2022年1月22日(土)10時30分~、14時~
場 所:愛知芸術文化センター12階アートスペースG
定 員:50名先着順、申込不要
参加費: 無料

[篠藤碧空ワークショップ]アーティスト職業体験:You are an artist too.

アーティストによるパフォーマンスの一部を体験できる。

日 時:2022年1月22日(土)、23日(日)、29日(土)、30日(日)、2月5日(土)、6日(日)※開催時間は後日特設サイトに掲載
場 所:愛知芸術文化センター地下1階南玄関階段上部踊場
対 象: どなたでも、申込不要
参加費: 無料

[三枝愛公開制作]庭のほつれ

日 時:2022年1月18日(火)~21日(金)10時~18時
場 所:愛知芸術文化センター地下2階アートスペースX
参加費:無料

各賞

審査員賞

 開幕前日に実作審査を行い、審査員(沢山遼、新藤淳、竹村京の各氏)が各1組を選んだ。

●沢山遼賞 三枝愛「庭のほつれ」

●新藤淳賞 宮内由梨「A Red Life」

●竹村京賞 三枝愛「庭のほつれ」

観客賞

 会期中の2022年1月 22 日(土)~ 30 日(日)に来場者投票で決定。

 ※各結果は会場と特設サイトで発表

 

 アーツ・チャレンジは、現代アートの公募展で今回が12回目。若⼿アーティストから作品プラン募集。発表の場を提供することによって、愛知から世界を舞台に活躍するアーティストの輩出を⽬指す。

 活動奨励費は、30万円を⼊選した8人(組)全員に⽀給。審査員賞は、3人(組)のそれぞれに20万円を贈る。また、観客賞1人(組)を展⽰期間中に来場者投票で決定する。

 作品募集については、こちら

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文化とメディア—書くこと、伝えることについて

1980年代から、国内外で美術、演劇などを取材し、新聞文化面、専門雑誌などに記事を書いてきました。新聞や「ぴあ」などの情報誌の時代、WEBサイト、SNSの時代を生き、2002年には芸術批評誌を立ち上げ、2019年、自らWEBメディアを始めました。情報発信のみならず、文化とメディアの関係、その歴史的展開、WEBメディアの課題と可能性、メディアリテラシーなどをテーマに、このメディアを運営しています。中日新聞社では、企業や大学向けの文章講座なども担当。現在は、アート情報発信のオウンドメディアの可能性を追究するとともに、アートライティング、広報、ビジネス向けに、文章力向上ための教材、メディアの開発を目指しています。

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