SHIMURAbros 『Butterfly upon a wheel』 2022年 主演:Juan Kruz Diaz de Garaio Esnaola 愛知芸術文化センター・愛知県美術館オリジナル映像作品(写真提供:SHIMURAbros)
The 26th Art Film Festival
「第26回アートフィルム・フェスティバル」が2022年8月23日、26日~9月13日、名古屋・栄の愛知芸術文化センター12階アートスペースAで催される。
愛知芸術文化センター・愛知県美術館オリジナル映像作品の最新作となる30作目、SHIMURAbros『Butterfly upon a wheel』(2022年)も初公開となる。
主催は愛知県美術館。愛知芸術文化センターの開館30周年を記念したイベントで、国際芸術祭「あいち2022」連携企画事業でもある。入場無料。
アートフィルム・フェスティバルは、実験映画やビデオ・アート、ドキュメンタリー、フィクションなど、従来のジャンル区分を越えて、独自の視点からプログラムを構成する映像の特集上映会である。
特集は「映画は、アクシデントではない」。ほかに、小特集1「コマ撮りの技法と表現の広がり」、小特集2「開館 30 周年 拾遺集」がある。
概要
会 期:2022年8月23日(火)、8月26日(金)~9月13日(火)※月曜休館
会 場:愛知芸術文化センター12階アートスペースA
〒461-8525 名古屋市東区東桜 1-13-2
アクセス:地下鉄東山線・名城線「栄」駅下車/名鉄瀬戸線「栄町」駅下車、オアシス21連絡通路利用徒歩3分
主 催:愛知県美術館 Tel.052-971-5511
定 員:100名
入 場 料:無料
チ ラ シ:ダウンロードは、こちら。
特集:映画は、アクシデントではない
1895年、フランスのリュミエール兄弟が公開した「シネマトグラフ」に端を発し発展してきた映画は、目前の現実を迫真の記録として撮影できるメディアだが、逆に言えば、その場にいなければ、歴史的事件や決定的瞬間を撮り逃してしまう。
アラン・レネが戦後になってから、アウシュヴィッツに赴き撮影した『夜と霧』(1955年)や、アーカイブ映像を活用した松川八洲雄『ヒロシマ・原爆の記録』(1970年)などは、事後的に歴史の本質に迫ろうとした作品だともいえる。
この特集では、第二次大戦中に「命のビザ」を発給した杉原千畝を起点に、現在も続く難民問題について考察した愛知芸術文化センター・愛知県美術館オリジナル映像作品の最新作、SHIMURAbros『Butterfly upon a wheel』(2022 年)の初公開に合わせ、映像が突発的な事件や事故にどう対応してきたか、歴史的経緯を踏まえ探求する。
小特集 1:コマ撮りの技法と表現の広がり
オプチカル・プリンター(光学合成装置)が十分に普及しなかった日本の実験映画では、特殊効果的な技法を支えたのは主にコマ撮りだった。
伊藤高志『SPACY』(1981年)の幻覚的効果も、アニメーションと同様、ひとコマずつ地道に撮影することによって得られた。
コマ撮りは、比較的取り組みやすい一方で、単調な作業の繰り返しには根気強さが求められる。石田尚志『フ―ガの技法』(2001年)、田口行弘『Cave』(2010年)、近藤亜樹『HIKARI』(2015 年)などには、制作に費やした膨大な時間が厚みとなって感じられる。
この特集では、所蔵作品を軸に、コマ撮りをベースにした表現の流れと広がりを概観する。
小特集 2:開館30周年 拾遺集
開館30周年を迎える愛知芸術文化センターには、さまざまな映像が残されている。その中には、日本映画新社(日映新社)の制作した『建設記録・愛知芸術文化センター』(1993年)など、開館時には上映されたものの、その後、公開する機会を逸しているものがある。
また、愛知県美術館では、2011年以降、コレクションの一分野として映像を収蔵している。
この特集では、これまでに公開機会のなかった、ぷろだくしょん我 S『原点』(1970年頃)や、北川民次が出演したFM AICHIのラジオ番組『話の広場』(1973年)を公開。
愛知県広報広聴課の提供で、同センターの前身である愛知県文化会館を取り上げた『愛知県政ニュース』など、関連する映像も紹介する。
上映スケジュール
8月23日(火)
19:00
【愛知芸術文化センター・愛知県美術館オリジナル映像作品 最新第 30 作 初公開】
SHIMURAbros『Butterfly upon a wheel』2022 年、20 分、デジタル
主演:Juan Kruz Diaz de Garaio Esnaola
*上映終了後、SHIMURAbros によるトークがある。
24 日(水)、25 日(木) 休映
26 日(金)
17:30
亀井文夫『支那事変後方記録・上海』1938 年、77 分、16mm(HD リマスター)、モノクロ
19:30
亀井文夫『戦ふ兵隊』1939 年、66 分、35mm(HD リマスター)、モノクロ
以上 2 本、提供:日映アーカイブ
27 日(土)
13:30
日映新社『愛知県政ニュース』35mm(DVD 上映)
「特報 伊勢湾台風」1959 年、モノクロ
第 1 部 (9 分)、第 2 部(11 分)、第 3 部(11 分)、第 4 部(14 分)、第 5 部(11 分) 計 56 分
日映新社『愛知県映画』35mm(DVD 上映)
「伊勢湾台風 復興の歩み」1961 年、モノクロ
第 1 部(12 分)、第 2 部(13 分) 計 25 分
以上 2 本、提供:愛知県広報広聴課
15:30
李一凡(リ・イーファン)、鄢雨(イェン・ユィ)『水没の前に』2004 年、143 分、DVCAM、カラー
18:30
太陽花運動映像記録プロジェクト『太陽花(ひまわり)占拠』2014 年、120 分、Blu-ray、カラー
28 日(日)
13:30
蘭波(ラン・ボー)『武漢、わたしはここにいる』2021 年、153 分、Blu-ray、カラー
16:30
洛洛(ルオルオ)『ルオルオの怖れ』2020 年、85 分、Blu-ray、カラー
以上 4 本、提供:認定 NPO 法人 山形国際ドキュメンタリー映画祭
29 日(月) 休映
30 日(火)
15:30
亀井文夫『戦ふ兵隊』1939 年、66 分〈再映〉
17:00
亀井文夫『支那事変後方記録・上海』1938 年、77 分〈再映〉
19:00
日映新社『愛知県政ニュース』「特報 伊勢湾台風」1959 年 第 1~5 部 計 56 分〈再映〉
〃 『愛知県映画』「伊勢湾台風 復興の歩み」1961 年 第 1~2 部 計 25 分〈再映〉
31 日(水)
12:30
李一凡(リ・イーファン)、鄢雨(イェン・ユィ)『水没の前に』2004 年、143 分〈再映〉
15:30
太陽花運動映像記録プロジェクト『太陽花(ひまわり)占拠』2014 年、120 分〈再映〉
18:00
蘭波(ラン・ボー)『武漢、わたしはここにいる』2021 年、153 分〈再映〉
9 月 1 日(木)
16:30
洛洛(ルオルオ)『ルオルオの怖れ』2020 年、85 分〈再映〉
18:30
フレデリック・ワイズマン『軍事演習』1979 年、115 分、16mm、モノクロ
2 日(金)
16:30
フレデリック・ワイズマン『基礎訓練』1971 年、89 分、16mm(Blu-ray 上映)、モノクロ、
以上、提供:コミュニティシネマセンター
18:30
フレデリック・ワイズマン『軍事演習』1979 年、115 分〈再映〉
3 日(土)
14:30
フレデリック・ワイズマン『基礎訓練』1971 年、89 分〈再映〉
16:30
アラン・レネ『夜と霧』1955 年、33 分、35mm(Blu-ray 上映)、カラー・モノクロ ○
松川八洲雄『ヒロシマ・原爆の記録』1970 年、30 分、16mm(Blu-ray 上映) 、カラー・モノクロ 提供:日映映像
ナム・ジュン・パイク『ガダルカナル鎮魂歌(レ ク イ エ ム)』1977-79 年、28 分 33 秒、ビデオ、共作:シャーロット・モーマン ○ 計約 92 分
18:30
アラン・レネ『夜と霧』他 2 本を再映
4 日(日)
13:30
ジョナス・メカス『リトアニアへの旅の追憶』1972 年、87 分、16mm、カラー・モノクロ
提供:イメージフォーラム
15:30
リティ・パン『S21 クメール・ルージュの虐殺者たち』2002 年、101 分、DVCAM、カラー
提供:認定 NPO 法人 山形国際ドキュメンタリー映画祭
17:30
ジャン=リュック・ゴダール『映画史』1988-98 年、DVD、カラー・モノクロ ○
1A「すべての歴史」1988 年、51 分
1B「ただ一つの歴史」1988 年、42 分
2A「映画だけが」1994 年、27 分
2B「命がけの美」1994 年、29 分
計 149 分
5 日(月) 休映
6 日(火)
16:30
ジャン=リュック・ゴダール『映画史』1988-98 年、DVD、カラー・モノクロ ○
3A「絶対の貨幣」1995 年、27 分
3B「新たな波」1995 年、27 分
4A「宇宙のコントロール」1997 年、28 分
4B「徴(しるし)は至る所に」1998 年、37 分
計 119 分
19:00
リティ・パン『S21 クメール・ルージュの虐殺者たち』2002 年、101 分〈再映〉
7 日(水)
15:30
酒井耕+濱口竜介「東北記録映画三部作」2011~13 年 ★
『なみのおと』2011 年、142 分、Blu-ray、カラー
18:30
『なみのこえ 気仙沼』2013 年、109 分、Blu-ray、カラー
8 日(木)
酒井耕+濱口竜介「東北記録映画三部作」2011~13 年 ★
16:00
『なみのこえ 新地町』2013 年、103 分、Blu-ray、カラー
18:30
『うたうひと』2013 年、120 分、Blu-ray、カラー
9 日(金)
15:30
牧野貴『Generator』2011 年、20 分、Blu-ray、カラー ☆
舩橋淳『放射能』2013 年、35 分、Blu-ray、カラー ☆
計 55 分
17:00
小森はるか『空に聞く』劇場版 2018 年、73 分、Blu-ray、カラー ☆
19:00
天野天街『トワイライツ』1994 年、33 分、16mm、カラー ☆
前田真二郎『王様の子供』1998 年、40 分、16mm、カラー ☆
計 73 分
10 日(土)
14:00
和田淳子『ボディドロップアスファルト』2000 年、96 分、ビデオ、カラー ☆
16:00
ビル・ヴィオラ『砂漠』1994 年、26 分、ビデオ、カラー ○
草野なつか『王国(あるいはその家について)』64 分版 2017 年、64 分、Blu-ray、カラー
☆
計 90 分
18:00
ビデオインフォメーションセンター 手塚一郎『ラ・アルヘンチーナ頌 初演』カラー版
1977 年、73 分、ビデオ ◎
11 日(日)
13:30
大木裕之『3+1』1997 年、82 分、16mm、カラー ☆
15:30
アルン・アーンボン『ヴァリエーションズⅤ』1966 年、50 分、ビデオ 出演:マース・カ ニングハム舞踊団 音楽:ジョン・ケージ フィルム:スタン・ヴァンダビーク ○
■小特集 1:コマ撮りの技法と表現の広がり
17:00
伊藤高志『SPACY』1981 年、10 分、16mm、モノクロ・カラー ★
石田尚志『フ―ガの技法』2001 年、20 分、16mm、カラー ☆
石田尚志『椅子とスクリーン』2002 年、8 分、デジタル、カラー ○
石田尚志『海の映画』2007 年、12 分、デジタル、カラー ○
計 50 分
18:30
田口行弘『Cave』2010 年、5 分、デジタル、カラー ★
田口行弘『Photo mix』2010 年、5 分、デジタル、カラー ★
田口行弘『Bakurocho band』2010 年、25 分、デジタル、カラー ★
近藤亜樹『HIKARI』2015 年、33 分 35 秒、デジタル、モノクロ・カラー ★
計約 69 分
12 日(月) 休映
■小特集 2:開館 30 周年 拾遺集
13 日(火)
16:00
① 愛知県美術館のコレクションから
ぷろだくしょん我 S『原点』1970 年頃、25 分、16mm(デジタル上映) ★
FM AICHI『話の広場』「絵筆随想」1973 年、各回約 9 分 30 秒、計 47 分 出演:北川 民次 ★
第 1 回「絵との出逢い」
第 2 回「絵と教育」
第 3 回「私の好きな絵」
第 4 回「私の絵画哲学」
第 5 回「画家、今と昔」
*ラジオ番組 1 月 29 日(月)~2 月 2 日(金) 10:50~11:00 に各回を放送
著作:FM AICHI
計 72 分
17:30
② アート・ドキュメンタリーの魁
日映新社『愛知県映画』35mm、<「常滑焼」のみ 16mm> (DVD 上映)
第 185 号「和紙の芸術」1961 年、8 分、モノクロ
第 190 号「七宝焼」1962 年、8 分、モノクロ・カラー
第 261 号「絞りと染めと」1975 年、10 分、カラー
第 271 号「常滑焼」1977 年、14 分、カラー
計 40 分 以上、提供:愛知県広報広聴課
18:30
③ 愛知県文化会館と愛知芸術文化センター
日映新社『愛知県政ニュース』35mm(DVD 上映)
第 86 号「美術の秋-愛知県美術館だより-」1955 年、4 分、モノクロ
第 116 号「文化講堂起工式」1957 年、4 分、モノクロ
第 140 号「愛知文化講堂開館」1958 年、4 分、モノクロ
第 179 号「愛知県図書館」1961 年、11 分、モノクロ
計 23 分 以上、提供:愛知県広報広聴課
日映新社『建設記録・愛知芸術文化センター』1993 年、30 分、16mm、カラー・モノクロ
日映新社『21 世紀へのアートメッセージ 愛知芸術文化センター 栄地区・建設記録』1993年、15 分、ビデオ、カラー・モノクロ
以上、愛知芸術文化センター蔵 計 45 分
*上映終了後、担当学芸員による講演がある。
★:愛知県美術館蔵
☆:愛知県美術館蔵(オリジナル映像作品)
○:アートライブラリー蔵
◎:アートライブラリー蔵(大野一雄ビデオライブラリー)
2021年に開催された第25回アートフィルム・フェスティバル、2019年の第24回アートフィルム・フェスティバルも参照。