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アートサイト名古屋城 2024 あるくみるきくをあじわう 2024年11月28日-12月15日に開催

  • 2024年9月25日
  • 2024年9月25日
  • 美術

6組のアーティストの表現活動が城内全域に展開

 名古屋城で2024年11月28日~12月15日、「名古屋城 秋の特別公開」として「アートサイト名古屋城 2024 あるくみるきくをあじわう」が開催される。

 アーティストによる作品が城内各所に展示されるほか、3日間の「ナイトミュージアム名古屋城」も実施。10月14日にはプレイベントもある。

 国内屈指の城郭として国の特別史跡に指定されている名古屋城を舞台にしたアートプロジェクト「アートサイト名古屋城」は昨年、初めて開催。今年は2回目となる。

 昨年は、名古屋城で長年続いている改修、復元に着目し、「想像の復元」をテーマに据えた。今年は、<あるくみるきくをあじわう>をテーマに、「観光する行為」そのものを表現するアートプロジェクトとなる。

 江戸時代から明治を生きたアーティストの「旅」や「見物」といった営みの中で生まれた創作物、そして今を生きるアーティストが現在の名古屋城をリサーチし制作する新作――総勢6組のアーティストの表現活動が城内全域に展開する。

 会期中には、夜間イベントの「ナイトミュージアム名古屋城」も開催。新たな名古屋城の魅力に出会えるアートサイトを目指す。

アーティスト

○作品展示
狩野哲郎 Kano Tetsuro
久保寛子 Kubo Hiroko
高力猿猴庵 Kouriki Enkouan
菅原果歩 Sugawara Kaho
千種創一 + ON READING Chigusa Soichi + ON READING
蓑虫山人 Minomushi Sanjin
○ナイトミュージアム名古屋城
川村亘平斎 Kawamura Kouheisai
野村誠 Nomura Makoto
山城大督 Yamashiro Daisuke

開催概要

会期
○作品展示
2024年11月28日(木)~12月15日(日)
開園時間:9:00~16:30(閉門17:00)
作品観覧時間:10:00~16:30
※西の丸御蔵城宝館、乃木倉庫、本丸御殿への入館は16:00まで
※天守閣には現在入場できない
○ナイトミュージアム名古屋城
2024年12月6日(金)・7日(土)・8日(日)
開園時間:9:00~19:30(閉門20:00)
作品観覧時間:10:00 ~19:30
※西の丸御蔵城宝館への入館は16:00まで
※乃木倉庫、本丸御殿への入館は19:00まで
※天守閣には現在入場できない
会場
名古屋城内の各所(本丸御殿内、本丸御殿南側、二之丸庭園、乃木倉庫 ほか)
観覧料
大人500円 中学生以下無料
※名古屋市内高齢者(敬老手帳持参の方)100円
※障害者手帳をご提示の方 無料(付き添い2名まで)
※名古屋城内への観覧料で「史跡・文化財の特別公開」「アートサイト名古屋城」「ナイトミュージアム名古屋城」を見ることができる
ウェブサイトリンク https://nagoyajo.art/

プレイベント

 アートサイト名古屋城 2024 の開催に先立ち、トークイベントを開催する。内容は、昨年の展示の様子や、今年のテーマ「あるくみるきくをあじわう」に至った背景など。また、参加アーティストから、現在構想中の作品プランについての話もある。

アートサイト名古屋城 2024 プレイベント「あるくみるきくの準備体操」
日時|10 月 14 日(月・祝)14:30 ~ 16:00 [14:00 開場・受付]
会場|名古屋城 本丸御殿孔雀之間(愛知県名古屋市中区本丸 1-1)
進行|服部浩之(本展キュレーター)、野田智子(本展プロデューサー)
出演|狩野哲郎、久保寛子 *、菅原果歩 *、千種創一 *+ON READING、山城大督
(* オンライン出演)
定員|30 名(先着順)
参加料|無料(名古屋城の入場料が必要になります)
申込方法|下記のフォームから
https://forms.gle/Nnj2eh9zTZfBfbcM6

史跡・文化財の特別公開 内容

本丸御殿特別公開
 名古屋城本丸御殿は、尾張藩主の住居かつ藩の政庁として徳川家康の命によって慶長20(1615)年に建てられた。昭和5(1930)年には城郭として初めて国宝に指定されたが、昭和20(1645)年の空襲で焼失。
 現在の本丸御殿は、平成21(2009)年から復元が開始され、10年に及ぶ工期を経て完成した。復元にあたっては、江戸時代の文献や昭和戦前期の古写真、実測図などの豊富な資料をもとに、伝統技術を受け継ぐ現代の職人によって、細部にいたるまで忠実な復元がなされた。
 約400年前に徳川家康が眺めた風景を、時を超えて目にしているのかも知れない。今回は、普段入ることができない部屋内へと足を踏み入れ、障壁画を間近で見ることができる。
乃木倉庫特別公開 
 名古屋城の西北、御深井丸の地にたたずむ、白い倉庫。乃木倉庫と通称される旧陸軍の弾薬庫である。明治初期の特殊な構造をもつ洋風建築として、平成9 (1997)年、国登録有形文化財になった。近年の名古屋城調査研究センターの調査により、乃木倉庫は、明治13(1880)年に名古屋鎮台が造営した「予備弾薬庫」であることが確認された。
 明治24(1891)年の濃尾震災や二度にわたる所有者変更、第二次世界大戦末期の焼夷弾攻撃など、存亡の危機にたびたび襲われながら、今なお創建の地に残る貴重な文化財である。今回、乃木倉庫は「アートサイト名古屋城」の会場として特別公開され、菅原果歩の作品を展示する。

プロフィール

○作品展示

狩野哲郎(かのう・てつろう)
 1980年、宮城県生まれ、神奈川県在住。2011年、狩猟免許(わな・網猟)取得。生物から見た世界 / 狩猟 / 漁業 / 測量などを軸として国内外でリサーチ / 滞在制作を行う。近年のインスタレーションでは、時に鳥という「他者の視点」をとりこみ、私たちが意識することのない新たな知覚や複数的な世界への想像を促すような作品を、既製品や植物を組み合わせ制作している。近年の主な展覧会に「弘前エクスチェンジ#06『白神覗見考』」弘前れんが倉庫美術館(2024、青森)、「Reborn-Art Festival 2021-22 — 利他と流動性 —」(2021、宮城)、個展「すべての部分が固有の形になる」府中市美術館 公開制作室(2017、東京 )、個展「あいまいな地図、明確なテリトリー / Abstract maps, Concrete territories」モエレ沼公園(2013、北海道 )がある。
http://www.tkano.com/

久保寛子(くぼ・ひろこ)
 1987年、広島県生まれ、千葉県在住。広島市立大学芸術学部彫刻専攻を卒業後、テキサスクリスチャン大学美術修士課程修了。先史芸術や民族芸術、文化人類の学説に取材しながら、生活に身近な素材を用いてスケール感の大きなインスタレーションを展開している。近年の主な展覧会に個展「鉄骨のゴッデス」 POLA MUSEUM ANNEX(2024、東京)、「大地の芸術祭越後妻有アートトリエンナーレ 2024」(2024、新潟)、個展「ISAAC」LOKO Gallery(2022 東京)、「さいたま国際芸術祭」(2020)など。受賞歴として、広島文化新人賞 (2022)、六甲ミーツ・アート公募大賞 (2017)等がある。KAMU KANAZAWA(石川県)、おおさか創造千島財団(大阪府)などに作品が収蔵されている。https://hirokokubo.net/

菅原果歩(すがわら・かほ)
 2000年、秋田県生まれ。秋田公立美術大学アーツ & ルーツ専攻4年卒業。東京藝術大学先端芸術表現専攻在籍。野鳥を対象に撮影、制作、フィールドワークを行い、主にオルタナティブプロセスを用いて写真をプリントしている。デジタル写真をあえて古典技法を用いて焼き付けることで視覚を物質化し、原初的なイメージを得ようと試みる。近年の主な展覧会に個展「凍るのは端から,溶けるのも端から Frozen from the edge, thawing from the fringe」 ツバメスタジオ 3 階(2024、東京)、菅原果歩・後藤那月 展覧会「星影のたもと,うた は渡るる」アラヤニノ(2023、秋田)、個展「分け入る森」秋田公立美術大学ギャラリー BIYONG POINT(2022、秋田)がある。

千種創一+ON READING(ちぐさ・そういち + オンリーディング)
千種創一
1988年、愛知県生まれ。2005年頃より作歌を開始し、歌人、詩人として活動。平易な言葉を使いつつも、感情の機微に新しい陰影を与える歌を得意とする。積極的な会話体の導入による短歌の可能性の拡大を追求している。著書に、歌集『砂丘律』(2015、青磁社 / 2022、ちくま文庫)、歌集『千夜曳獏』(2020、青磁社)、詩集『イギ』(2022、青磁社)等がある。受賞暦に、第 3 回塔新人賞(2013)。第 26 回歌壇賞次席(2015)。第 22 回日本歌人クラブ新人賞(2016)、日本一行詩大賞新人賞受賞(2016)。2021 年、現代詩ユリイカの新人受賞などがある。
https://linktr.ee/chigusasoichi
ON READING
 黒田義隆・杏子が運営する bookshop & gallery『ON READING』。2006年に前身となる書店を、名古屋市伏見にオープン、2011 年に名古屋・東山公園に移転しギャラリーを併設する書店としてリニューアル。何かを感じたり、疑問に思ったり、考えるきっかけとなるような、多様な価値観を教えてくれる本を、新刊、古本 問わずセレクトしている。ギャラリーでは、さまざまな作家の展覧会を開催。2009 年に、出版レーベル「ELVIS PRESS」を立ち上げ、これまでにおよそ 30 タイトルをリリースしている。主な出版物に、『生活フォーエバー』寺井奈緒美(2023)、『OMAMOR』湯浅景子(2023)、『歌集 ここでのこと』(2021)、『See You Tomorrow』 NOBUE MIYAZAKI(STOMACHACHE.)(2018)などがある。
https://onreading.jp https://elvispress.jp

高力猿猴庵(こうりき・えんこうあん)
 1756年生まれ、1831年没の尾張藩士。江戸時代後期の 名古屋の祭り、見世物、開帳など、娯楽や話題になった 事件の記録をビジュアル入りで記した本を残した。城下の賑わいが生き生きと描写されている。これらは2001 年~現在まで「名古屋市博物館資料叢書3 猿猴庵の本」シリーズとして 30 巻が刊行されている。近年刊行された書籍に『猿猴庵日記 天明五年』(2024、名古屋市博物館)、『猿猴庵日記 天明四年』(2023、名古屋市博物館)がある。

蓑虫山人(みのむし・さんじん)
 1836年、美濃国(岐阜県)生まれ、1900 年愛知県没の絵師、考古、造園家。生活用具一式を笈(修験者が経文や仏具を入れて背負った木箱)に入れ、全国各地を旅しながら寄留先の様子などを詳細に記録した放浪の画人として知られる。没後、その画業や生涯を紹介した主な展覧会に「蓑虫山人 秋田を歩いた漂泊画人」(2020、秋田県立博物館)、「蓑虫山人展」(2004、2012、2013、2020、ハートピア安八歴史民俗資料館)、書籍に『蓑虫放浪』(2020、国書刊行会)、『蓑虫山人絵日記(上・下)』(1988/1993、三和文庫)、『蓑虫山人絵日記 東海編』(1980、蓑虫山人絵日記保存会) などがある。

○ナイトミュージアム名古屋城

川村亘平斎(かわむら・こうへいさい)
 1980年東京都、生まれ、東京都在住。インドネシア・バリ島の伝統影絵『ワヤン・クリット』を現代的な文脈で捉え直し、新たな芸能のカタチを模索し続ける影絵師。世界各国で影絵と音楽のパフォーマンスを発表。日本各地でフィールドワークやワークショップを行い、土地の記憶を手がかりに影絵作品を製作。その他、切り絵イラストや壁画、映像制作、映画・CM等への楽曲提供など幅広く活動している。ガムランを使った音楽ユニット『滞空時間』主宰。平成 28 年度第 27 回五島記念文化賞美術新人賞受賞。
https://www.kawamurakoheysai.com

野村誠(のむら・まこと)
 1968年、愛知県名古屋市生まれ、熊本県在住。作曲家、ピアニスト、鍵盤ハーモニカ奏者。クラシック、ロック、邦楽、民族音楽など様々な音楽ジャンルを越境し、美術、舞台、文学、だじゃれ、相撲、建築、教育、福祉、飼育、環境など異ジャンルとコラボレーションを積極的に行う。その場の環境やそこに集う人々とのコミュニケーションを通じて音楽作品を制作する。日本センチュリー交響楽団コミュニティプログラムディレクター。千住だじゃれ音楽祭ディレクター。日本相撲聞芸術作曲家協議会 (JACSHA) 理事。第 1 回アサヒビール芸術賞などを受賞。
http://www.makotonomura.net/

山城大督(やましろ・だいすけ)
 1983年、大阪府生まれ、京都府在住。 映像の時間概念を空間やプロジェクトへ応用し、その場でしか体験できない〈時間〉を作品として展開する。近年は映像や音、光、家具を配置する上演型インスタレーションを制作している。近年の主な展覧会に、「Homō loquēns 『しゃべるヒト』――ことばの不思議を科学する」国立民族学博物館(2022、大阪)、山城大督展「パラレル・トラベル」高鍋町美術館(2019、宮崎)、「アッセンブリッジ・ナゴヤ 2017」名古屋港~築地口エリア一帯(2017、愛知)など。アーティスト・コレクティヴ Nadegata Instant Party メンバー。京都芸術大学准教授。
http://the.yamashirostudio.jp/

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文化とメディア—書くこと、伝えることについて

1980年代から、国内外で美術、演劇などを取材し、新聞文化面、専門雑誌などに記事を書いてきました。新聞や「ぴあ」などの情報誌の時代、WEBサイト、SNSの時代を生き、2002年には芸術批評誌を立ち上げ、2019年、自らWEBメディアを始めました。情報発信のみならず、文化とメディアの関係、その歴史的展開、WEBメディアの課題と可能性、メディアリテラシーなどをテーマに、このメディアを運営しています。中日新聞社では、企業や大学向けの文章講座なども担当。現在は、アート情報発信のオウンドメディアの可能性を追究するとともに、アートライティング、広報、ビジネス向けに、文章力向上ための教材、メディアの開発を目指しています。

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