『Distraction Series』第11号より
荒川修作+マドリン・ギンズ東京事務所とReversible Destiny Foundationが、荒川+ギンズが創造したさまざまな哲学、プロジェクトを共有しようと配信を始めた隔週のニューズレター『Distraction Series』の第11弾で、1997年、東京・初台のNTT InterCommunication Center (ICC)で収録された荒川修作ヴィデオ・インタビューを、日・英語字幕付きで紹介した。
ICCがオープン・ヴィデオ・アーカイブとして、WEBサイトで一般公開したシリーズ・インタビューの2回目として、荒川の当時の発言が記録、保存された。 日本語、英語の両方で書き起こされ、全文はReversible Destiny Foundationと荒川+ギンズ東京事務所のWEBサイトからPDFとしてダウンロードできる。
インタビューをしたのは、元・国立国際美術館主任研究員の平芳幸浩さん(現・京都工芸繊維大学教授)。荒川は約30分のインタビューで、建築的身体のコンセプトについて語り、人工的自然、文明と建築、コンピューターとアートの関係などにも、独特の哲学的トーンで言及した。荒川の制作へのアプローチ、多様な分野への考えを伝えるとともに、1990年代末という時代に荒川というアーティストがどんな視線を注いでいたかが分かるインタビューである。
翌1998年には、ICCが企画した展覧会「新しい日本の風景を建築し、常識を変え、日常の生活空間を創りだすために 荒川修作/マドリン・ギンズ (The City as the Art Form of the Next Millennium ARAKAWA/GINS)」が開催された。筆者も、新聞記者時代に名古屋から取材に訪れた展示である。当時のICC、そして、荒川展は大変な熱気に包まれていた印象が残っている。
同展では、宿命反転都市の大型模型、コンピューター・グラフィックスによる壮大な計画案、体験型インスタレーションなどを通して、荒川がインタビューで語った新しい文明を創造するための絵画から建築への移行や、その後の都市計画のヴィジョンが紹介された。
展覧会開催中には、荒川ギンズによる実験映画「Why Not (a Serenade of Eschatological Ecology) 」(1969年、110分)と「For Example (A Critique of Never)—A Melodrama」(1971年、95分)の上映会、講演会、荒川と建築家磯崎新によるシンポジウムなど、多岐にわたる関連プログラムが行われた。