2025年のキーファー展
《世界遺産・二条城》
☆アンゼルム・キーファー展 2025年3月下旬〜6月下旬
京都市及びファーガス・マカフリーギャラリーが、国際的に高い評価を受ける、ドイツの現代美術作家であるアンゼルム・キーファーの新作による展覧会を、2025年春から、世界遺産・二条城を舞台として開催する。二の丸御殿台所・御清所や城内庭園で作品を展示する予定。キーファーのアジアで開催される個展としては過去最大規模となる。大阪・関西万博の期間に国内外から訪れる多くの方を京都に迎え、キーファーの作品を楽しんでもらう。
アンゼルム・キーファーの新作展覧会
会期:2025年3月下旬から6月下旬まで
会場:世界遺産・二条城(二の丸御殿台所・御清所及び城内庭園の一部を予定)
主催:京都市、ファーガス・マカフリーギャラリー
アンゼルム・キーファー略歴
1945年 ドイツ生まれ
1993年 「アンゼルム・キーファー展 メランコリア―知の翼」(京都国立近代美術館、セゾン美術館、広島市現代美術館)
1999年 高松宮殿下記念世界文化賞の絵画部門を受賞
2022年 ヴェネチアのドゥカーレ宮殿(世界遺産)で個展を開催
アンゼルム・キーファーのコメント
《われゝは、それでなくても太陽の光線の這入りにくい座敷の外側へ、土庇を出したり縁側を附けたりして一層日光を遠のける。そして室内へは、庭からの反射が障子を透してほの明るく忍び込むようにする。》
谷崎潤一郎 「陰翳礼讃」(1933 年)より
「約10年前、私は自身の絵画の世界に、鮮やかな新しい油彩と金箔を使用し始め、それらは私の絵画を新たな次元へと導いた。ゴールドは、私の絵画に内なる光を与える輝かしい支えであることが証明された。2022 年にヴェネツィアのドゥカーレ宮殿での個展が実現し、そこからギャラリストのファーガス・マカフリー氏にもたらされる形で、私の日本への興味が一層深まることになった。やがて、狩野派の屏風に使われる鮮やかな金箔や、谷崎潤一郎が綴った古い日本建築への深い洞察に魅了され、それは私の芸術に新たな光を与えるインスピレーションとなった。二条城の反射光源としての金の実用的な使用は、私にとって啓示である。美学と政治力の融合、そして創造、破壊、再生の歴史的な循環は、私の意識に深く響く。2025 年の春、桜が咲く頃に二条城での展示ができることを心から楽しみにしている。」
ファーガス・マカフリーのコメント
「2022年 6月、アンゼルム・キーファーの広大なアトリエに足を踏み入れると、そこには数千の作品が広がっていました。その中で、金を背景にエルゴット菌に侵された麦束を描いた絵画が、その厳かさで私を圧倒しました。この一枚が、アトリエ内の無数の作品群の中でも、特に強い印象を与えたのです。アンゼルム・キーファーの絵画が持つ平面的な遠近法と、金地に施された黒インクのグラフィックは、私に 90 年代初頭の京都大学での記憶と二条城の訪問を思い起こさせました。この感慨深い体験、またキーファー氏及び門川市⾧に感謝し、彼らの支援によってこのユニークなプロジェクトが実現できることを嬉しく思います。」
アンゼルム・キーファーは1945年にドイツのドナウエッシンゲンで生まれ、黒い森が広がるライン川沿いで育ちました。法律とロマンス諸語を学んだ後、フライブルクの美術学校とカールスルーエ芸術アカデミーで絵画を学びました。1970 年代初頭にはデュッセルドルフで、画家のヨーゼフ・ボイスと非公式に学びました。
1993年、日本での展覧会「アンゼルム・キーファー展 メランコリア―知の翼」は日本の主要な美術館を巡り、彼の深遠な芸術が国内の観客に広く紹介されました。この展示の成功を経て、キーファーは 1999 年に日本美術協会より、栄誉ある高松宮殿下記念世界文化賞を絵画部門で受賞し、国際的な評価を確固たるものとしました。