報道によると、名古屋の劇団「少年王者舘」主宰の劇作家・演出家、天野天街さんが2024年7月7日、肺がんのため、死去した。64歳だった。
天野さんは愛知県一宮市出身。1982年に「劇團少年王者」を旗揚げし、1985年に「少年王者舘」に改称。名古屋を拠点に活動し、映像や音響を駆使しイメージを喚起させる手法、「死から生を見つめる視点」と評される世界観、言葉遊びの多用などによる唯一無二の舞台が全国的に知られた。幅広いジャンルの舞台演出を多数手掛け、漫画、デザイン、エッセイなどの分野でも活躍した。
1992年には、維新派・てんぷくプロと、七ツ寺共同スタジオ創立20周年&少年王者舘創立10周年記念企画として、名古屋の白川公園で、澁澤龍彦の遺作『高丘親王航海記』を合同野外公演として上演。
1998年からは、演劇ユニットKUDAN Projectも始動。海外公演も展開した。2000年には、『劇終/OSHIMAI〜くだんの件』が第44回岸田國士戯曲賞最終候補にノミネート。2005年には、出演者総勢160名を超える「百人芝居◎真夜中の弥次さん喜多さん」を名古屋で上演し、大きな話題を呼んだ。2013、2015年には、パルコ劇場プロデュース「レミング〜世界の涯までつれてって〜」の上演台本を維新派の松本雄吉と共同で担当。2019年には、書き下ろし新作『1001(イチゼロゼロイチ)』が新国立劇場で上演された。
また、映画的感性も注目され、1994年には、愛知芸術文化センター制作の短編映画「トワイライツ」を監督。オーバーハウゼン国際短編映画祭(ドイツ)でグランプリを獲得し、メルボルン国際映画祭短編部門でもグランプリを受賞した。
1997年に名古屋市芸術奨励賞を受賞。平成18年度愛知県芸術文化選奨。