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『映画はアリスから始まった』名演小劇場(名古屋)で7月22日公開 『アリス・ギイ特集』も7月30-31日に上映

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リュミエール兄弟、メリエスと並ぶ映画のパイオニア

 クローズアップや特殊効果、カラー、音声の同期など、現在に通じる映画技法を生みだし、数多くの映画を手がけた世界初の女性映画監督、アリス・ギイ(1873-1968年)の生涯に迫るドキュメンタリー「映画はアリスから始まった」が2022年7月22日から、名古屋市東区東桜の名演小劇場などで全国公開される。

 併せて、同劇場では、7月30、31の両日、アリス・ギイ作品の特集が組まれ、短編13本が上映される。

 監督した作品は、世界初の劇映画『キャベツ畑の妖精』や、超大作『キリストの誕生』など1,000本以上。アリス・ギイは世界の映画史に大きな足跡を残した。

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 「記録するだけの映像は退屈。映画で物語をつくったらどうかし?」

  リュミエール兄弟がシネマトグラフ(初期の映画装置)を発明した映画誕生の年、1895年。 そのとき、すでに、アリス・ギイは映画の“物語る力”に可能性を見出していた。

 だが、アリス・ギイの名前は、映画史に埋もれ、忘れられた。

 リュミエール兄弟やジョルジュ・メリエスと並ぶ映画のパイオニアとして、ハリウッドの映画製作システムの原型を作り上げたにもかかわらず、なぜ映画史から忘れ去られたのか?

 女性は男性に従属するものであるという当時の社会通念から、正当に評価されず、大半の作品で監督に男性スタッフの名前が記されたからである。

 女性の歴史は、こうやって改ざんされた。アリスを含め、多くいた女性の映画監督は、歴史から排除されたのである。 

 本作は、8年以上をかけて完成。映画界の重鎮や、アリス自身、家族へのインタビューと、緻密なリサーチ、アリス作品の映像素材によって、知られざる映画史を明らかにする。

 ナレーションにジョディ・フォスター、製作にロバート・レッドフォードが名を連ねていることからも、映画界の本作への関心の高さがうかがえる。

アリス・ギイとは?

 世界で最初に物語映画を監督したフランスの映画監督、脚本家、映画プロデューサー。

 1873年、フランス・パリ郊外に一男四女の末っ子として生まれる。父親は南米チリで出版社と書店を営み、暮らしは裕福だった。アリスは修道院の寄宿学校を経て、速記とタイプを身につける。

 だが、父親が事業に失敗。ほどなく、父と兄が亡くなったために、アリスはパリの写真機材会社ゴーモン社に就職し、レオン・ゴーモン社長の秘書になる。

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 1895年、リュミエール兄弟による世界初の映画『列車の到着』を社長とともに見て、「記録するだけでは退屈、映画で物語をつくったらどうかしら」と言ったところ、社長は「秘書の仕事に支障がない限り」の条件つきで、ゴーモン社研究所の裏庭での映画作りを許可した。

 翌1896年、アリスは第一回監督作『キャベツ畑の妖精』を完成。世界初の物語映画の誕生である。

 以後、撮影所長を11年間務め、1000本近い作品を手掛けた。1907年には渡米。1910年、映画製作会社、ソラックス社を発足させると経営は夫に任せ、自分は映画製作・監督に専念した。

 1922年、フランスに帰国。1955年、レジョン・ド・ヌール叙勲。1968年94歳で永眠。

パメラ B.グリーン監督

 米ニューヨーク出身。人生の大半をヨーロッパとイスラエルで過ごしたことで、英・仏・伊、ヘブライ語に堪能。ロサンゼルスを拠点とするエンターテイメント&モーションデザイン会社PICを創設した。

 ミュージックビデオやコマーシャルの監督、制作などで知られる。『映画はアリスから始まった』が初めての長編監督作。

登場人物

・ジョディ・フォスター《ナレーション》(女優、映画監督、映画プロデューサー)
・キャサリン・ハードウィック(映画監督)
・ハワード・コーエン(映画プロデューサー)

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・パティ・ジェンキンス(映画監督)
・ジュリー・デルピー (映画監督、女優)
・ピーター・ボクダノヴィッチ (映画監督、俳優、作家、評論家、映画史家)
・ピーター・ファレリー (映画監督)
・ジーナ・ディヴィス(女優)
・ベン・キングズレー (俳優)
・アニエス・ヴァルダ (映画監督)
・ドレイク・スチューツマン(ニューヨーク大学教授)
・ジェーン・ゲインズ(コロンビア大学)

アリス・ギイ特集 2022年7月30日(土)、31日(日)名演小劇場

「ソーセージ競争」© DR

「マダムの欲望」© DR

《上映作品

「催眠術師の家で」
「世紀末の外科医」
「オペラ通り」
「全自動の帽子屋兼肉屋」
「カメラマンの家で」
「フェリックス・マヨル 失礼な質問」
「マダムの欲望」
「フェミニズムの結果」
「キャスター付きベッド」
「ソーセージ競争」
「ビュット=ショーモン撮影所でフォノセーヌを撮るアリスギイ」
「バリケードを挟んで」
「銀行券」

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>文化とメディア—書くこと、伝えることについて

文化とメディア—書くこと、伝えることについて

1980年代から、国内外で美術、演劇などを取材し、新聞文化面、専門雑誌などに記事を書いてきました。新聞や「ぴあ」などの情報誌の時代、WEBサイト、SNSの時代を生き、2002年には芸術批評誌を立ち上げ、2019年、自らWEBメディアを始めました。情報発信のみならず、文化とメディアの関係、その歴史的展開、WEBメディアの課題と可能性、メディアリテラシーなどをテーマに、このメディアを運営しています。中日新聞社では、企業や大学向けの文章講座なども担当。現在は、アート情報発信のオウンドメディアの可能性を追究するとともに、アートライティング、広報、ビジネス向けに、文章力向上ための教材、メディアの開発を目指しています。

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