2019年12月6日の中日新聞、朝日新聞などによると、愛知県の大村秀章知事は、5日にあった県議会の代表質問で、2022年にある次回のあいちトリエンナーレに向け、運営体制を見直す方針を明らかにした。2019年に開かれたトリエンナーレで、「表現の不自由展・その後」に絡み混乱が起きたのを受け、知事が務めていたトリエンナーレ全体の実行委会長を民間から起用するのが柱。海外の国際展などに倣い、実行委会長を外部の人材にすることで、行政が直接内容に関わる状況を変革する。
「表現の不自由展・その後」は、戦時中の慰安婦を象徴する少女像や、昭和天皇の肖像をコラージュした版画を燃やす場面を収めた動画などが展示され、抗議が殺到。展示が一時中止となり、他の展示も一時中止・変更となるなど、混乱した。専門家によるトリエンナーレの検証委員会は中間報告で、実行委会長を政治家である知事が務める体制であることで、展示内容の選定などに関する判断を芸術監督に委ねざるを得なかったことを含め、ガバナンスやキュレーションの不備を指摘していた。
大村知事は、行政と距離を置き、専門的な見地から役割を担うアーツカウンシル的な機能を実行委に持たせる考えも示した。朝日新聞によると、芸術監督の役割と権限、選出プロセスの見直しなどにも取り組む。
また、中日新聞によると、県は、あいちトリエンナーレの事業収入は、当初予想を7000万円上回る約2億6000万円を見込んでいる。入場者数は、前回を7万人上回る過去最高の67万人だった。その一方で、「表現の不自由展・その後」の10月の展示再開時の安全対策などで追加費用が1800万円あった。収支全体では、国が不交付とした補助金7800万円を収入に含んだ上で、約8000万円の黒字だという。